修学旅行編・深夜の縁結び神社〜偽装エビ美で板前を撒け!作戦〜
逃亡中の裏路地
板前軍団が石段を駆け下りてくる!
エビ美と先輩は必死で細い路地に身を潜める!
エビ美「はぁ……はぁ……
もうダメです先輩……殻が汗でプリプリしてきました……
こんなにプリプリじゃ、絶対見つかる……!」
先輩「……なら、偽装するしかない」
エビ美「……え?」
先輩の秘策!
先輩は裏路地の民家の物置から、
古びた祭り用のエビの被り物と
たこ焼きの着ぐるみを強奪!!
先輩「これを着ろッ!!」
エビ美「……は!?
なんで私がたこ焼き!? エビじゃなくて!?」
先輩「本物のエビ美はエビに化けない!
だからあえてたこ焼きに化けるんだ!!」
エビ美「ロジックが狂ってるのに説得力だけはあるーーー!!」
偽装開始
エビ美 → たこ焼き着ぐるみ
先輩 → エビ被り物 & 背中に釣り竿で「特大伊勢海老」看板
先輩「よし、作戦開始だ……!」
エビ美「……これ……私が囮ですか……?」
先輩「違う、囮は俺だッ!!
俺が“偽エビ美”として板前を誘導する!!
お前はその隙に旅館へ戻れ!」
エビ美「せ、先輩……ッ……!
そんなの危険すぎ……」
先輩「大丈夫だ。
俺にはこいつがある……!」
取り出すのは京都土産の八ツ橋50枚
エビ美「八ツ橋だけで生還する気ですかぁぁぁぁ!!」
作戦発動!
先輩(偽エビ美)
「おーい! ここに超特大の伊勢海老がいるぞぉぉぉ!!
誰か捌きたい奴、来てみろやぁぁぁ!!」
板前軍団
「いたぁぁぁぁぁぁ!!
伊勢海老ぉぉぉぉぉ!!」
路地裏に殺到する板前たち!!
先輩は八ツ橋を投げつけ、
逃げつつも、偽エビ美パフォーマンスを続行!!
先輩(心の声)
(エビ美……今のうちに……
お前だけは……絶対に食わせない……!
どうせなら……今度こそ……キス……)
たこ焼きエビ美は泣きながら物陰に
エビ美(先輩……
なんでそこまで……
私……本当にただのエビなのに……
でも……先輩に……
ちゃんと……ありがとうと……キス……したい……)
裏路地の月明かりの下――
エビ被り物の先輩が板前軍団を引き連れ、
路地の奥へと消えていく。
たこ焼きエビ美は一人、震える手で
背中の殻を抱いて立ち尽くす。