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修学旅行編・深夜の縁結び神社

夜11時――


旅館の窓からそっと抜け出したエビ美。

修学旅行の目玉イベント、縁結び神社の夜参りに

こっそり先輩と二人だけで来てしまった――。


エビ美(はぁ……はぁ……。

本当はクラスのみんなと来る予定だったのに……

でも、先輩と一緒にお願いしたい……

“食べられない恋”を……)


鳥居をくぐると、

無数の絵馬が揺れる静かな参道。

夜風が涼しくて、背中の殻が少し冷たい。


先輩「……来たな、エビ美」


エビ美「先輩……! こんな時間に……大丈夫ですか……?」


先輩は無言で、

そっとエビ美の手を握った。


先輩「……一度でいい。

誰にも追われず、誰にも食われず……

お前と普通の恋がしたいんだ……」


エビ美「……先輩……」


胸の奥がぎゅっと熱くなる。

境内には誰もいない。

二人の吐息だけが、灯籠の明かりに溶けていく。


先輩「……お願いしよう。

この恋が……ずっと続くように……」


エビ美「……うん……

もう……誰にも……食材だなんて言わせない……」


二人は並んで賽銭箱の前に立つ。


エビ美(お願い……

先輩と、ずっと一緒に逃げられますように……

できれば……普通のキスも、したいです……)


カラン、カラン――


鈴の音が夜に響く。


先輩はそっとエビ美を引き寄せ、

頭に手を置いた。


先輩「……今夜こそ……お前にキスする……」


エビ美「……うん……先輩……」


震える唇が近づく――


──ガサッ。


絵馬の奥から、不穏な物音。


エビ美「……!?」


先輩「……誰だ……!」


暗闇の中から、

白装束に烏帽子を被った男が一人、ゆらりと現れた。


???「……神の前で欲をかくとは……

許されませぬぞ……伊勢海老様……」


エビ美「きゃあああああああ!!

また板前ーーー!?!?」


神主姿の板前が、

お祓い棒の代わりに出刃包丁を持っている!!


神主板前「ここは縁結びの神社……

ですが、貴女には“食材”という宿命が……

この御神刀で、苦しまずに……」


先輩「黙れぇぇぇぇ!!

エビ美は俺が守る!!」


賽銭箱を盾にして逃げる二人。

追いかける神主板前の白衣が、月明かりに不気味に光る――!!

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