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修学旅行・最終章!伝説の総料理長との決戦

京都町家の夜

ひとときの安息。

小さな町家の二階。

エビ美は先輩の膝枕で、

そっとまぶたを閉じている。


先輩(心の声)

(……このまま……

何も起きなけりゃいいのに……

けど……そんなわけ、ないよな……)


ゴゴゴゴゴ……ッ……!!


外からただならぬ気配!!

障子を吹き飛ばし、

黒い影がふわりと舞い降りる――!!


伝説の総料理長、登場

総料理長

「お初にお目にかかります……

“板前無双”の異名を持つ、

百食会 総料理長――

古今亭ここんてい 蟹衛門かにえもん です。」


先輩「……来やがったな……」


総料理長

「伊勢海老の姫……

あなたはこの私が、

この世で最も美味なる『海老真薯』に仕上げましょう。」


エビ美「……いやぁぁぁぁぁ!!

殻ごと食べられるのだけは嫌ぁぁぁ!!」


最後の死闘、開戦!

先輩はエビ美を庇って立つ。


総料理長が構えるのは――

なんと 日本刀サイズの出刃包丁 !!


総料理長

「拙者の包丁から逃れた海産物は……

未だかつて、存在せぬ!!」


斬撃乱舞!

暗い町家の畳が

包丁の軌跡で次々に裂ける!!


先輩は素手でかわし、

八ツ橋と座布団で応戦!!


先輩「俺の彼女を……

食材扱いしてんじゃねぇぇぇぇッ!!」


総料理長

「恋愛感情など、食欲の前では無意味ッ!!

究極の味を追い求める、それが料理人の本懐!!」


先輩、渾身の反撃!

先輩は殴られ、斬られ、

血を流しながらも立ち上がる!


エビ美「先輩、もうやめてぇぇぇ!!

私のせいで……

先輩まで……!!」


先輩「……バカ……

お前のせいじゃねぇ……

俺が……

俺が勝手に……

お前を好きになったんだよ……!!」


総料理長「口説き文句など無駄無駄!!

海老の味噌、今こそ我が舌に――!!」


エビ美の覚醒!!

エビ美

「もうやめてぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!

私……もう……

殻を……!!

殻を脱ぐからぁぁぁぁぁぁッッ!!」


パキィィィィィィィン――!!


夜の町家に響く、甲高い破裂音――

エビ美の背中の殻が

ついに、

ついに、

ついに……!!


まさかの殻脱ぎシーン

月明かりに照らされて、

殻が砕けて、

滑らかな白い肩が……

うなじが……

桜色の人肌があらわになる――!!


総料理長

「な、なにぃぃぃ……!?

完全なる人間態……!?

殻を脱いだ伊勢海老など、ただの少女……

これでは……

海老真薯が作れぬ……!!」


先輩、フラフラになりながらも

殻を失ったエビ美をぎゅっと抱きしめる。


先輩「……これで……

もう……誰にも……

お前を食わせねぇ……」


エビ美

「先輩……

ありがとう……

私……ずっと……

ずっと先輩のものだから……」


総料理長、敗北を悟り

包丁を置いて正座する。


総料理長

「……完敗でござる……

伊勢海老の姫……

どうかお幸せに……」


逃亡の果て、二人だけの朝

夜が明けて、

殻を失ったエビ美は

先輩のシャツを羽織りながら

照れ笑いを浮かべている。


エビ美

「……先輩……

これからは、

ちゃんと……

人間の女の子として……

いっぱい愛してくれますか……?」


先輩

「……ああ……

何回でも言ってやる……

お前は俺の……

世界一可愛い……

伊勢海老の……女の子だ。」


完!!


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