第5話 石碑
はじめまして!
小説投稿始めました。みゅーずと申します。
異世界冒険ファンタジー×音楽の新ジャンルを開拓したいです。
私と同じく音楽好き、冒険ファンタジー好きな皆様、ぜひ序章だけでも読んでみてください!
エリアス一行は、小さな石碑の前にたどり着いた。
石碑周囲は水草やコケに覆われ、遠目から見ると全くそこにあると気付かない。まるで自然の一部として溶け込んでいた。
太陽の光が石碑の表面に差し込み、微かに輝く模様が浮かび上がっている。
エリアスは石碑に近づき、その表面を注意深く見つめた。なにやら見慣れない記号やシンボルのようだった。
「リリス。」
「ええ。古代楽音語だわ。」
リリスはそういうと、石碑に刻まれた言葉を読み上げた。
「この湖の深淵に、守護者の力が眠る…やったわ!みなさん!」
「ああ!でも、こんなに見つかりにくい場所にあるなんて…隠されていると言っても過言じゃないな。やっと見つけた。」
二人は、疲労感を感じながらも、目的地にたどり着いたことに安堵した。
「それにしても、湖の深淵か…。リリス、湖の中を調べる必要があるな。」
「そうね。」
リリスは頷くと、なにやら聞きなれない言葉の呪文を唱え始めた。
彼女の声は澄んだ音色で、湖面に響き渡った。すると、リリスの指先が輝き、自分とエリアスの周囲に淡く青く光るバリアを形成した。
「準備できたわ。しばらくの間は、水中でも呼吸ができるし、体温も保たれるはずよ。」
リリスはエリアスに微笑みかけた。
水中で呼吸ができるようにするための魔法「アクアル」は、彼女が幼い頃からおばあさんに教わってきた古代魔法の一つだった。
「この効果範囲は小さいので、護衛の皆さんは少し待っててくださいね。」
「おう、分かった!気をつけてな!」
護衛団は、隊長の一声でその場に陣形を張ると、その場で二人を待つ休息の体制を取った。
「よし、リリス。行こうか。」
護衛団の動きを確認した後、二人は湖の水面に向かって一歩を踏み出した。
湖の水は澄んでいて、太陽の光が水面から差し込んで美しいサファイアの輝きを放っていた。水中は静かで、水草がゆらめき、魚たちが彼らの周りを泳いでいた。彼らの呼吸の音と水の流れの音だけが耳に響いた。
湖底に向かって進むうちに、周囲の景色が変わっていった。徐々に、暗く冷たい水が二人を包み込んだ。水草が密生し、奇妙な形の岩が散らばっていた。進む先には、青い光がほのかに輝き、道を示していた。
「見て。あそこに何かあるわ。」
リリスが指差した先には、巨大な石棺が見えてきた。
石棺は古びた模様で装飾されており、その周囲には青い光が漂っていた。表面には、石碑に刻まれていたものと同じく、見慣れない文字が刻まれていた。
「やったわ。この石棺に、セレナーデ・ヴァイオリンの力が封印されているって。」
「よかった。でも、どうやって解放すればいいのか…」
エリアスは石棺を見つめながら考え込んだ。
その時、湖底の影が揺れ動いた。冷たい風が吹き抜けたかのように感じられたかと思うと、突然、石棺の前に光が集まり、形を作り始めた。
そして光の中から、美しい人の姿が現れた。
「私の名はセレナーデ・ヴァイオリン。この封印を守る守護者。」
彼女の声は澄んだ音色で、湖全体に響き渡った。
守護者は、透き通るような青い光でできた存在だった。長い髪や優雅なドレスが、水の流れに呼応するように揺れていた。瞳は深い青であり、智慧と力が宿っているようだった。
「セレナーデ様…あなたが封印を守っていたのですね。」
リリスは驚きと敬意を込めて言った。
「はい。この封印には、私の記憶が宿っています。そして封印を解くためには、私の試練を乗り越えなければなりません。」
守護者は静かに語った。
「試練…どのような試練ですか?」
「私とともにヴァイオリンを奏で、その音色で私の心を表現することです。音楽は心の反映です。あなたたちの音楽が私の心と共鳴するなら、封印は解かれるでしょう。」
エリアスとリリスは互いに頷き合った。
「ヴァイオリンの演奏なら任せて!」
「エリアス、いつも通り、あなたの旋律に合わせてサポートするわ。」
リリスは自信に満ちた表情で言った。
「よろしく、リリス。全力で演奏するよ。」
エリアスはバイオリンを構え、弓を滑らせた。
伝説の旋律に繋がる第一の試練が今、始まろうとしていた。