第2話 地下図書庫
はじめまして!
小説投稿始めました。みゅーずと申します。
異世界冒険ファンタジー×音楽の新ジャンルを開拓したいです。
私と同じく音楽好き、冒険ファンタジー好きな皆様、ぜひ序章だけでも読んでみてください!
メロディアシティの中心にそびえ立つ王宮は、その荘厳な姿で見る者を圧倒していた。
石造りの城壁は高く、城内には美しい庭園や噴水があり、昼間は陽光に輝き、夜には灯火が優雅に照らし出す。入れるものは、王族や護衛、特別な許可を持つものに限られている。
エリアスとリリスは、城の地下にある図書庫に向かっていた。
「エリアス、ここに本当に手がかりがあるのかな?」
リリスは、少し不安げな声で尋ねた。
「きっとあるさ。セブおじさんがここを頼りにするといいって。」
エリアスは力強く答えた。
彼の家系は、王家と深い関係を持っており、特別な許可を得てこの図書庫に出入りすることができた。父もこの場所で多くの研究を行っていたことを、セブおじさんから聞いて知っていた。
セブおじさんは、名をセバスチャン・ハーモニアといい、エリアスの父アレクサンドルの弟である。両親を失った彼を引き取り、成長を見守ってきたのだ。
地下図書庫への入口は、城の隅にひっそりと隠されていた。石造りの階段を降りると、冷たい空気が二人を包み込んだ。長い廊下の先には、重厚な木の扉があり、その向こうには数え切れないほどの書物が並んでいる。
「ここだ、リリス。古文書が保管されている場所はこの奥だ。」
エリアスは、ヴァイオリンを取り出すと、耳なじみのない不思議な音階を奏でた。すると、目の前の扉が、ギィとひとりでに開いた。
扉を入った奥には、古びた書物や巻物がびっしりと詰まっている棚が並んでいた。
二人は、手分けして調査を始めた。埃をかぶった本を一冊一冊丁寧に取り扱いながら、7人の音楽家「楽音の守護者」についての情報を探していった。
やがて、リリスが一冊の古びた本を見つけた。
「エリアス、これを見て。『楽音の守護者とその遺産』って書いてあるわ。」
リリスは興奮気味に本を広げた。
「これだ…これが手がかりになるかもしれない。」
エリアスは慎重に本を読み進めた。そこには、7人の音楽家がどのようにして伝説の旋律を生み出し、それを守るためにどのような場所に封印を施したかが書かれていた。しかし、具体的な場所については曖昧な記述しかなかった。
「楽音の守護者たちは、それぞれの故郷や特別な場所に封印を施したようだね。でも、具体的なことは書かれていない…」
エリアスは悩んだ。
「でも、この情報は重要よ。楽音の守護者ゆかりの土地を調査してみましょう。もしかしたらそこで手がかりを見つけられるかもしれないわ。」
「そうだね。そうしよう。」
エリアスは、楽音の守護者に関する記述や地図を旋律に記録すると、本を閉じてもとあった本棚にそっと戻した。
二人が図書庫を出ると、人影が見えた。
「エリアス、リリス。調査はうまくいったか?」
彼は若い王子であり、エリアス一家と長い付き合いがある友人でもあった。長い金髪と青い目が印象的で、優雅な装いをしていた。
「ありがとう、王子様。おかげで重要な情報を手に入れることができました。楽音の守護者たちが伝説の旋律を守るために封印を施したという土地に、手がかりがありそうです。まずはそこに行ってみようと思います。」
エリアスは答えた。
「なるほど。分かった。我々は、君たちが伝説の旋律を集めるために、できる限りの支援をするつもりだ。王都を手薄にするわけにいかないから私は同行できないが、城の兵士たちを数名、君たちの護衛として同行させよう。」
王子は力強く言った。
「ありがとうございます、王子様。」
リリスも感謝の意を示した。
「では、明日の朝、準備を整えて出発しよう。」
王子と別れた後、二人はエリアスの家に戻り、旅の準備をしながら、次の計画について話し合った。
「まずはどの場所に行くのか、計画を立てないとね。」
エリアスはリュックに服や魔力回復薬を詰め込みながら言った。
「そうね。」
リリスは地図を広げ、考え込んだ。
「古文書にはそれぞれの故郷や特別な場所と書いてあったけど、具体的な場所は書かれていなかった。まずは心当たりがある場所から調べていこう。」
エリアスはリリスの肩に手を置き、励ますように言った。
「セレナーデ・ヴァイオリンの生まれた場所が、湖のほとりにある小さな村だという記述があったね。これは、おそらくエルウッド村のことだと思うよ」
「そうなのね。それじゃ、まずはエルウッド村に向かいましょう。」
「ああ。」
「…それじゃ、昨日のあれ、またお願いしてもいい?」
リリスは少しほほを赤らめながら、エリアスに目を向けた。
「もちろんだよ。じゃ、早速はじめるね。」
エリアスはさっとヴァイオリンを構えると、軽やかなメロディを奏で始めた。するとリリスの体が輝き始め、衣服がゆらゆらと揺れ始めた。
「こんな風に体をきれいにできるなんて。本当に便利ね。」
リリスは、昨日始めて体験したエリアスの新しい音楽魔法に、目を輝かせている。
「これでよし。すっきりしたね。」
エリアスは、自身も同じように汚れを落としたあと、忘れ物は無いかとリュックへ目をやった。
「よし。今日は早めに寝て、明日の朝早くに出発しよう。」
エリアスはリリスに向かって提案した。
「ええ。」
リリスも頷き、隣の部屋へと向かった。
夜が更け、メロディアシティは子守歌のような静寂に包まれていた。二人は、新たな冒険への期待と不安を胸に抱きながら、深い眠りについた。