序幕
はじめまして!
小説投稿始めました。みゅーずと申します。
異世界冒険ファンタジー×音楽の新ジャンルを開拓したいです。
私と同じく音楽好き、冒険ファンタジー好きな皆様、ぜひ序章だけでも読んでみてください!
ここはメロディアシティ。
星光の中にその優美な姿が浮かび上がっている。
楽音の国の首都として知られるこの街は、音楽と魔法が織り成す独特の雰囲気に包まれている。石畳の通りには音楽家たちが行き交い、各家の窓からは様々な楽器の音色が漏れ聞こえる。
街の中央広場では、音楽家たちが集い、美しい旋律が夜空に響き渡っていた。星々が輝く中、街の住人たちは音楽に心を奪われ、まるで時間が止まったかのように感じていた。
突然、空が暗転し、不気味な黒雲が街を覆った。
雷鳴が轟き、地面が揺れ始めると、人々の間に恐怖が広がった。
闇の勢力が現れたのだ。
異形の姿をしており、闇の中から音もなく忍び寄り、街を襲撃し始めた。
「何だこれは…!」
エリアスの父、アレクサンドル・ハーモニアは、驚愕しつつも冷静に家族を守ろうと決意した。
彼は優れた音楽家であり、強力な魔法の使い手でもあった。
彼の妻、エリーナもまた、音楽と魔法に精通していた。
「エリアス、ここにいて。絶対に動かないで。」
エリーナは震える声で、まだ魔法と音楽を覚えたての幼い息子に言い聞かせた。
エリアスは母の言葉を理解し、恐怖に怯えながらも身を隠した。
二人は、戸棚からブローチとブレスレットを取り出しさっと身に着けると、メロディアシティの中心部に向かって飛び出した。
街は混乱の渦中にあり、人々はパニックに陥っていた。暗黒の勢力は次々と建物を破壊し、無差別に襲撃を繰り返していた。彼らの目的は一つ、伝説の旋律を破壊し、楽音の国を完全に支配することだった。
中央の城からは、防御の旋律が奏でられていた。国の防衛音楽隊が動員され、彼らは街の至るところで防御協奏曲を奏でていた。トランペット、ホルン、ドラムなど、様々な楽器が一斉に響き渡り、その音楽は魔法の盾を生み出し、街を守っていた。
「防衛音楽隊も来ている。少しは時間を稼げる。」
防衛音楽隊の指揮者が力強く指揮棒を振るい、そのリズムに合わせて隊員たちが一糸乱れぬ演奏を続けた。音楽の力が結集し、街全体に防御のバリアが張り巡らされた。
「エリーナ、行くぞ!」
アレクサンドルは、どこからともなくきらびやかな装飾が施されたヴァイオリンを手に取ると、強く素早く、そしてどこか優しげに、弓を走らせた。
エリーナもまた、どこからともなく美しい金色のピアノを取り出し、演奏を開始した。彼女の指が鍵盤に触れると、音色は一瞬にして力強く、しかし美しく響き渡った。
すると彼らの周囲には音符が舞い上がり、それが輝く光となって敵の周囲を包み込みはじめた。
ヴァイオリンの音色は、まるで夜空に舞い散る星のようだった。鋭くリズミカルで、音符一つ一つが魔力を帯びて敵を包み込んでいった。また、ピアノの旋律はまるで風のように柔らかく、しかし大地を駆けるがごとく力強く鳴り響き、敵の動きを次々と封じていった。
リズムとメロディーが次々と形を変えていき、防御音楽隊の演奏と交錯して、夜空に輝く交響曲を作り出した。
その音楽魔法は、ただ美しいだけでなく、力強く優しく敵を無力化するものだった。
闇の勢力はその圧倒的な力に抗うことができず、一時的に退却を余儀なくされた。
しかし、その時、闇の主であるドレッドナイトが現れた。
黒い鎧をまとい、その姿はまるで闇そのもののようであった。瞳には冷酷な光が宿り、その一瞥だけで恐怖を感じさせた。
「ハーモニア一族の末裔よ、貴様らの力など、我が前では無力だ。」
ドレッドナイトは冷笑しながら言った。
彼は手をかざし、強大な闇の魔法を放った。その力は凄まじく、アレクサンドルとエリーナは防御の旋律を奏でるのが精一杯であった。
「エリーナ、後ろだ!」
アレクサンドルが叫ぶが、遅かった。
ドレッドナイトの死の魔法が直撃し、エリーナは吹き飛ばされてしまった。彼女は苦痛に耐えながらも、最後の力を振り絞ってエリアスを守るための魔法を発動した。
「エリ…ア…ス…」
エリーナの声がかすかに響き、彼女の身体は光となって消え去った。
アレクサンドルは妻の最期を見届け、怒りと悲しみで心を燃やしながらドレッドナイトに立ち向かった。
「貴様を許さないっ!」
アレクサンドルは叫び、全ての力を解放した。
彼の演奏は街全体を包み込み、闇の勢力を一掃する光となった。
しかし、アレクサンドルもまた、力を使い果たして命を落とすこととなった。
闇の勢力は、一時的に退けられたものの、完全に消え去ることはなかった。伝説の旋律を破壊することには失敗したが、その旋律は7つに分かれ、大陸全土に飛び散った。
エリアスは、あの夜の出来事を忘れることができなかった。
両親を失った悲しみと、彼らが守ろうとしたものの意味を知るために、彼は音楽と魔法の研鑽に没頭した。
彼の心には、両親の遺志を継ぎ、国を救うという強い使命感が刻まれていた。