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戦国転生日吉丸公記~秀吉に転生したけどなぜかイケメンな件について~  作者: まーしー
第二章 遠江国の藤吉郎 天文二十年~二十二年(1551~1553)
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05 仕官への道

 

 天文二十年(1551年) 遠江国 遠津淡海(とおつあわうみ) 今切(いまぎれ)


 村を出て半年、史実の秀吉に倣い遠江の今切まで来た。

 今切という地名は文字通り「今切れた」という意味で、明応七年(1498年)に起きた明応地震によって砂堤が崩れた場所らしい。

 それで遠津淡海(現在の浜名湖)と遠州灘と繋がったことで汽水湖になったそうだ。


 そんなことを考えながら渡し船を待っていた所、言い争うような声が聞こえてきた。



「おい!渡し船の駄賃少しまけてくれねぇか? 俺ら博打ですっちまって今素寒貧なんだよ」


「そない言われても。 あっしらも商売なもんで…」


「なにも払わねぇってわけじゃねえんだよ。 今払わねぇってだけでよぉ」


「お代をもらわねぇとこっちも船をだせないだよ…」


 どうやら酒に酔った男が二人で船頭一人を囲み、渡し船の代金に難癖をつけているようだ。

 酔っ払いは野盗のような風貌で、周りの人はあまり関わりたくないのか遠巻きに見ているだけだ。


 しばらく言い争っていたが、だんだん酔っ払いがエスカレートしてきた。


「てめぇ! こっちが下手にでてやぁいい思うて生意気いっちょるな?」


「別にてめぇ殺して船さうばっちまってもええんじゃ!!」

 そう言って一人が短刀を懐から出し船頭に向けた。野次馬はこれから起こる惨劇を予期して悲鳴をあげる者もいた。


 だが惨劇は起こらなかった。

 俺が短刀を出した野盗を思い切り蹴り飛ばしたからだ。男は勢い余って地面に倒れ短刀を手放した。


「なにすんじゃごら!」


「人が黙って見てりゃあ… 丸腰の船頭を相手におめぇ それでも男か?」


「よくもやりやがったな! てめぇからやってやる!」

 俺が目の前の二人は激昂して襲い掛かってきた。


 実戦は初めてだが、目の前で無辜の民が傷つけられるのを、黙って見ていることはできない。

 それに野盗二人程度で苦戦していたら、武将として戦場に出ることは能わないだろう。

 俺は覚悟を決めて戦うことにした。



 俺は先に突っ込んできた男に下段回し蹴りをし、体勢が崩れた所を狙い拳を振りぬいた。

 拳は鼻先に当たり、男は鼻血を吹き出しながらもんどり打って倒れた。


 簡単に一人やられたことで驚いたのか、もう一人の動きが止まった。

 その隙を逃さず、男の後ろに回り腕で首を絞めた。


 しばらく暴れていたが、男は酸欠でやがて動かなくなった。

 ちょうどその時俺がさっき殴り飛ばした男が起き上がってきた。


 俺は足元の短刀を拾いながら男を睨むと、敵わないと悟ったのか意識を失った仲間を置き去りに、そのまま男は逃げていった。


 この野盗をどうしたものかと考えている所、後ろから声をかけられた。

 俺が振り向くと、そこには馬に乗った武士がいた。


「先程の見事な大立回り見ておったぞ。其方はどこかの家人か?」

 話しかけてきた武士は恐らく40代といった所か、身なりも整っていてそこそこの武家なのかもしれない。


「いえ、どこにも仕えておりませぬ 武家に仕えるため、故郷から旅を続けております」

 もしかしたら仕官の誘いか?と思いながら話を続ける。


「そうか。 わしは頭陀寺(ずだじ)城主の松下(まつした)左兵衛(さひょうえ)長則(ながのり)と申す。 もし其方がよければその剛力をわしの下で振るってみないか?」


「某は尾張の百姓の出ですが、それでもよろしいでしょうか?」


「よいよい、其方の戦いぶりを見て気に入ったのじゃ。 名を何と申す?」


「拙者は木下藤吉郎と申します。 これより松下左兵衛殿を殿と仰ぎお仕えいたします」


「うむ藤吉郎か。 これからよろしく頼むぞ」


「はっ!畏まりました」


 やはり仕官の誘いだった。

 松下と言っていたが確か秀吉が最初に仕えたのが、松下加兵衛って人だったと記憶している。


 同一人物なのか縁者なのかは分からないが、無事に仕官することが出来たことを今は喜ぼうと思う。


章管理をして見やすく(?)してみました。いかがでしょうか?

皆様のおかげで歴史ジャンルの日間ランキング3位、週間ランキング19位にランクインしました。

これからも本作をよろしくお願いいたします。

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