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戦国転生日吉丸公記~秀吉に転生したけどなぜかイケメンな件について~  作者: まーしー
第四章 織田家の藤吉郎(近習編) 天文二十三年~天文二十四年(1554~1555)
36/65

34 宴も酣

切れ目の関係上、今回かなり短いです。

 

 天文二十三年(1554年) 五月半ば

 尾張国春日井郡 清州城 広間



「市の婿になれと言うておるのだ。 市は直に三国一の美人になると母上らが言うておった。 そんな市の婿になれるなど至上の喜びじゃろう?」


 市と名乗った童女は、そう言ってえへんと胸を張った。



 なんとまぁ、ませた子どもなのだろうか… というか本当に市姫なのだろうか?

 お市の方と言ったら、もっとお淑やかな美人を想像していたのだが…

 でもあの信長の妹なだけあるといった所か…?




「お市? なぜこのような所へ貴方が居るのですか?」


 俺がそう思っていると、後ろから女性の声が聞こえた。

 優しい声だったが、男だらけののむさ苦しい空間だったので、不思議とその声はよく通った。



「げっ 御義姉様…」

 市と名乗った童女は、その声を聞いた瞬間に苦虫を嚙み潰したような顔をした。



「全く、夕涼みに出ると言って行方を暗ますとは… 侍女らが探していましたよ?」

 そう言って目の前の女性はため息をついた。


 今御義姉様って言ったよな? しかも信長の妹である市に気安く話しかけられる人物。 まさかこの女性は?



「なんじゃお濃、お主も来とったんか? それに市よ、お主を呼んだ覚えはないぞ?そして今しがた聞き捨てならぬことも言うとったな?」

 いつの間にか俺の近くまで来ていた、信長がそう言った。


 市姫に気を取られており、信長の接近に気が付いていなかった俺は慌てて平伏した。



 やはりこの女性は濃姫か!!

 斎藤道三の娘にして、信長の正室である謎多き女性。

 濃姫は通称であり、本名は「帰蝶」や「胡蝶」と言われているが定かではない。


 輿入れの際、父である道三と交わした「短刀」のエピソードから、相当気が強い女性かと思っていたが、目の前の濃姫を見ると、どちらかと言うと朗らかな印象を受けた。




「うぅ…兄上ぇ…」

 信長に凄まれて市姫は泣きそうだ。 見ていて気の毒になってきた、流石に助け船を出すか?



「と、殿! 殿の妹御とは知らず 大変申し訳ございませんでした!!!」

 ぶっちゃけ俺は巻き込まれた側だが、ここは一先ず謝っておこう!



「よい。 別に貴様には怒っておらぬ。 このような所に紛れ込んで… 全く、このお転婆娘は誰に似たのやら…」


「一体何方なんでしょうね~? 妾から見た所瓜二つに見えますが~?」


 そう言ってため息をつく信長に対し、濃姫はいたずらな笑みを浮かべながら信長を覗き込んだ。

 軽口を叩きあう所を見ると、どうやら夫婦仲は良好らしい。


「で、あるか。 まあ良い お濃よ、市を侍女の元へ連れて行け。 そこで絞られてくるのだな」


「かしこまりました。 さあ行きますよ」


「いやじゃ~! 市も混ぜてほしいのじゃ~!!」

 そう駄々をこねる市を、濃姫は半ば引きずるようにして戻っていった。



「藤吉郎!!!」


「はっ!!」

 やれやれと思った俺だったが、信長がいきなり俺に話しかけてきた。 やっぱり怒っているのか!?


「先程のは童女の戯言よ。 くれぐれも本気にするではないぞ?」


「は!? いえ!承知致しました!!」


 違った!! この人ただのシスコンだ!?


 そうして一波乱あった宴会だったが、その後は大きな事件もなく過ぎていった。

 面倒は御免被るが、またこうして楽しい酒を飲みたいものだ…


追記:4/22

32話「天道」から34話「宴も酣」までの西暦がずれておりました。

その為、章の表記も変更致しました。(該当箇所は既に訂正済みです)

誤 天文二十三年(1554年) 正 天文二十四年(1555年)

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― 新着の感想 ―
[良い点] あぁ~( ̄▽ ̄)善き善きですぞおぉ~♪  ……しかし信長の反応が…自分にはシスコンからの反応と言うより、自分が目をつけた♂男を取るなと感じた(穿った考え)。
2024/04/21 16:05 ざまぁ好き
[一言] お市様登場か。 資料によれば一般のコレまでのイメージと真逆で、お市様はかかあ天下な好戦的な性格だったようで。 漫画の「センゴク」では史実準拠な気の強い女性として描かれていたようだけど、このお…
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