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再会した

ギャルすこ

2年前に新設された学校だけあって、中はかなり綺麗だ。

前の世界で通ってきた学校は築何年になるのかも分からないくらい傷やボロボロだったから、普通に嬉しい。

壁や床はもちろん、下駄箱に至るまで目につく箇所はどれもピカピカだ。


碧水蒔(へきすいじ)財閥はこの学校運営に相当力を入れているみたいだね」

「だな。床や壁を見るに相当頑丈そうだ。どこで魔法を使っても良いようにしてるんだろう。この溝は排水溝か?水魔法対策も出来てるな」


対戦ゲームをしているときもそうだが、レオはよく観察する。

論理的に考えて行動していくのが彼のスタイルだと思う。

「ピカピカだ、やったー」くらいにしか思わなかった僕とは大分違うな。


そんなレオにつられた訳ではないが、歩きながら僕も辺りを観察してみる。


「・・・それにしても、広すぎないか?」

「外から見た時も相当でかいと思ったが、中に入ると一層感じるな」


校舎内が広すぎる。

廊下の幅だけで10メートルくらいあり、奥の方は遠すぎてちゃんと見えない。

教室の数もかなり多い。


「移動教室が今から不安だよ」

「確かに、ちょっとやりすぎだな」


教室につく頃には少し疲れていた。

校舎の入口から教室に着くまでに1キロくらい歩いている気がする。


目の前のドアを見ると「1年10組」と書かれていた。

少し緊張しながら教室のドアを開けた。


教室の中にはまだ10人くらいしかいなかった。


すでに机に突っ伏して寝ている長身の女子生徒。目を瞑り腕組をしているイケメン。後ろの方で話している3人組の男子たち。前の方で話している3人組の女子たち。スマホを弄っている茶髪ギャル。

あれ?と思い立ち止まる。


「どうしたシュウ?」

「いや、なんでもないよ」


なんか、あのギャル見た事ある気がする。

この世界に知り合いはほぼいないし、きっと気のせいだろう。

立ち止まってる僕を追い越し、レオが黒板を指さす。


「シュウ、黒板に座席表があるぜ」

「ほんとだ。僕の席は・・・」


一番後ろの窓際から2列目の席だった。

隣の席にはスマホを弄っているギャルがいた。

ぱっちりとした目に、ウェーブのかかった茶色のミドルヘアーが良く似合っている。

そして胸が大きい。


やっぱりどこかで見たことあるような?


どこかで会った気がするが思い出せない。

とりあえず自分の席に座るか。


椅子に座った音でスマホに集中していたギャルがこちらに気付いた。


「あ、隣の人ー?よろー♪」

「あっ、よろしく・・・」


今までギャルっぽい子と接点が無かったので少し警戒してしまい素っ気ない感じになってしまった。

漫画やラノベに夢中で女子とあまり会話してこなかったことが仇となったか。

すると突然、ギャルが顔をグイっと近づけてきた。


「ちょっと顔見せて・・・んー???なんかどっかで見たことあるような?」


いや近い近い!

吐息が顔に感じられ心臓が暴れだす。


「・・・あーー!!コンビニで急に手を握ってきたナンパくんじゃん!!」

「コンビニ・・・あっ!」


・・・思い出した。

魔法本にテンションがおかしくなって本ごと手を握ってしまったバイトギャルだ。

あの時はコンビニの制服だったから気が付かなかった。


遠くで会話に気が付いたに気が付いた男子グループがひそひそ話を初めた。


「今ナンパって聞こえたぞ」

「あいつがあのギャルっぽい子をナンパしたのか?」

「許せねぇあんな胸のでかい子に」


まずい、ヤバい流れになってる。訂正しなければ。


「いやいや!ナンパなんてしてないって!あれは本を・・・」

「えー!急にあーしの手を握ってきてそれはなくない!?」


今度は女子3人のグループからひそひそ話が聞こえる。

一様に嫌なものでも見たかのような顔だ。


「自分から手を握って来たんだって?」

「それキモイナンパじゃん」

「分が悪くなったからって体裁取り繕うと必死じゃん」


冷たい視線が突き刺さってくる。

やばい流れになってしまった。


ちなみにレオは助けてくれず、笑いながらこっちを見ている。

あの薄情者には後で嫌がらせをしよう。


そんな状況を見たギャルが手を叩いて笑う。


「あっはっは。ごめんねぇナンパ君。別にいじめようと思って言ったわけじゃないんだけどねえ」

「それならあんな大声で言わなくてもいいじゃん・・・」

「あーしの手を握ったのは本当なんだからいいじゃん?こっちもびっくりしたんだから」

「ぐっ・・・それを言われるとなんも言えない」


痛いところを突いてくる。

あの時は初めて魔法の手がかりを見つけたから、ちょっとおかしくなってただけなんだ。


「ほら!いつまで落ち込んでんの?あーし埜上 華(のがみ はな)って名前なの。ほら仲直りの握手ー」


眩しい笑顔でギャルが手を伸ばしてきた。

確かにいつまでも落ち込んでるのは性に合わないな。

急に手を握ってしまったこっちも悪いしな。


決して、笑顔が可愛くてドキッとして許してしまったからではない。


五十嵐 秀介(いがらし しゅうすけ)、よろしく!」


半ばやけくそになりながら手を握り返すと、人懐っこい笑みを見せてくれてまたドキッとしてしまった。


「あんな可愛い子と手を握ってるぞ」

「許せねえ」

「魔法の演習中にやっちまおうか」


クラスの男子から嫌な言葉が聞こえた気がするが、気のせいだったことにしておこう。

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