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トレジャーハント3日目-1

翌日。



「シュウ、夜の内にちゃんと魔素を取り込んだだろうな?」

「もちろん、かなり調子良いよ。朝ごはんも美味しかったし、絶好調だね」


決闘場所である山岳エリアの麓をレオと二人で目指していた。

しかし、近づくにつれ何故か人が増えている。


「なんか、人多くない?」

「・・・だな」


どうやらレオも理由を知らないらしい。


決闘場所に到着するころには、50人ほど人がいて、妙な熱気に包まれていた。

もしかしてと思い、近くで話をしていた男子生徒3人の会話に耳を傾けてみた。


「どっちが勝つと思う?」

「そりゃ、金剛(こんごう)五十嵐(いがらし)ペアだろ。模擬魔法戦優勝チームのメンバーだぞ」

「だが、芦屋(あしや)も総合成績4位だ。わからないぜ」


やっぱり、どうやら昨日のうちに僕たちの決闘の噂が広がったみたいだ。

この学校の生徒はどうやらこういうイベントが好きな人が多いらしい。

あたりを見渡していると、後ろからテンションの高い人に声をかけられた。


「ふははは!!様子を見に来てやったぞ!!」


この感じは一人しかいないな。


(あらた)君。あと(ゆう)君も来たんだ」


振り返ると中二病全開の改造制服に身を包んでいる蒼天院(そうてんいん) (あらた)君と、僕の友人でもある(ゆう)君、そして慎ましやかに隣に立っているリンさんがいた。


「私を克した者の勝負となれば、見届けなければなるまい。私はな、戦うのも好きだが、見るのも好きなのだ。享受させてもうらうぞ!」

「僕は普通に応援しにきたよ。頑張ってね」

「うん、頑張るよ」


そう言うと二人は身を翻し、戦いの場が一望できる山の上に向かっていった。

ゆうくんはともかく、新くんも新くんなりに応援しにきてくれたということだろうか。

ちなみに、何故かパラソルと椅子が設置されており、傍らのテーブルには果物や飲み物が見える。

うん、相当エンジョイしてるね、君たち。


「新様を楽しませるのですよ。もしがっかりさせたら・・・捻り潰します」


ついでにリンさんから囁くように圧をかけられた。

・・・何を?

とは、怖くて聞けなかった。



その後、決闘開始までの時間に、レオと昨日の夜に立てた作戦の確認をした。

とはいえ相手の情報がほとんど無いので、あくまで昨日の夜に話した内容の確認ということになった。


現状分かっていることは芦屋(あしや)君は学年4位の実力ということ。

山田(やまだ)君の方は魔法演習試験は10位以下だが初回の測定ですでにBランクだったので実力はあるらしい。


そして、一番重要なの情報。


それは二人とも火魔法使いということだ。


「いいかシュウ。相手がパワータイプなのかスピードタイプなのかは分からねえが、結局のところ相手は火魔法使い。・・・なら水魔法使いのお前が有利だ」

「うん、分かってるよ。それで提案なんだけど」

「なんだ?」


相手が火魔法使いということを聞いてから、なんとなく寝る前に立てていたプラン。


「なるべく2対2の状況を作って、魔法の相性でジリジリと相手を削って勝つのはどう?」


レオが驚いた顔をしたが、一瞬置いてニヤリとした笑みに変わった。


「実は俺も同じことを考えていた」


普段は全然合わないんだけど、珍しく意見が合った。


「お前は体内魔素の保有量は多くは無いが、大気中の魔素を取り込み放出するスピードはかなり速い。つまり持久戦向きだ。魔法相性が有利なら、単純な魔法の撃ち合いでも勝算は高いはずだ」


凄い、理由まで含めて同じ意見だった。

それにしても、レオが僕を素直に評価するのは珍しい。


「レオが僕を褒めるなんて珍しいね」

「魔法に関しては、評価している」


あれ、意外な反応だ。

てっきり悪態を付かれるかと思ったのに。


「どうせなら魔法以外も褒めていいんだよ」

「魔法以外は全く評価していないがな」


辛口っぷりにキレがあるし、レオも絶好調だな。


-----------------------------


不意に周囲がざわつき始めた。

視線移すと、山田(やまだ)君と芦屋(あしや)君が見えた。

遠目でしっかりとは見えないが、2人とも昨日より空気が引き締まっている感じがする。


「あいつらか、今回の試合の相手ってのは」

「6組だろ?怖いもの知らずだな」

「まあせいぜい粘ってくれよー」


周囲の反応を見る限り、大多数は山田(やまだ)君と芦屋(あしや)君を、実力差のあるチャレンジャーというふうに見ているらしい。

僕としても、一応模擬魔法戦優勝クラスとしての自負くらいは持ち合わせているから、負けるつもりはない。

というか負けたら夏休みの補習が確定するから絶対に負けられない。

ストレッチをしていたレオがゆっくりと立ち上がり、口を開いた。


「シュウ、準備は出来てるか?」

「もちろん。レオこそ出来てる?」

「ああ、問題ねえ」


うん、レオの方は結構落ち着いているみたいだ。

でもレオは多少テンションが上がっていた方がパフォーマンスを出せると思うんだよなあ。

何かテンションの上がる事ないかな?


「あっそうだ、模擬魔法戦の時みたいに円陣でも組む?」

「てめえおちょくってんだろ。だいたい二人で円陣ってなんだよ」


前回は自分から提案したくせに。


「あれいい感じに気合入って良かったんだけどなあ」


チラチラ。


「・・・ッチ、分かったよオラ!」


そういうと向かい合って肩に手を置いてきた。


なんだかんだこういう時ノってくれるんだよな笑


僕もレオの肩に手を置き返して腰を曲げる。

・・・うん、円陣というより柔軟体操の方が近い気がする。


「何やってんだあいつら?」

「柔軟じゃね?」


どうやら周囲から見ても柔軟体操に見えるみたいだ。

さて、今回は僕が言い出したし、号令は僕がかけようかな。


「絶対勝つぞー!!」

「オラァァァ!!!行くぞ!!!」


やけくそ気味のレオの掛け声が辺りに響き渡った。

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