練習してみた
鳩とおっぱいは平和の象徴
結局マダムたちの誤解はまったく解けず、『ロリっ子をぬるぬるにしている変態』というレッテルを張られながら萌生さんを抱えてアパートへ逃げた。
マダムたちの勢いがどんどん増していき、危うく警察沙汰になるところだった。
いや、もしかしたら逃げた後に呼ばれた可能性はある。
ちなみに萌生さんは何が起きているのか全く分かっていなかったみたいだった。
というわけで公園での練習はできなくなった。
しょうがないので魔法を練習するときは少し離れた河原で練習をすることにした。
魔法について調べまくり、色々分かったこともある。
魔法の発生速度や威力を上げるには、ひたすら魔法を使い続けるのが一番らしい。
原理は解明されてはいないが、使い続けると筋トレで筋力が付くように、魔素を引き寄せる力や変換する効率が上昇するらしい。
魔法に憧れがあった僕は魔法を使っているのが楽しく、暇さえあれば練習に明け暮れた。
「今日はこれくらいでいいかな」
練習を始めて2時間、疲れてきたから切り上げるようと河川を後にしようとした。
すると土手沿いに金髪ソフトモヒカンの身長180㎝くらいの男が現れた。
「よおシュウ、魔法の練習かー?」
「レオー?どうしたこんなところで?」
「ゲーム買いに行った帰りだよ。調子はどうだ?」
「ぼちぼちだね。今日はもう終わりにしようと思ってたとこ」
この目つきの鋭いやつは金剛怜雄。
同じアパートの下の階に住んでいる。
最初はガチモンのヤンキーかと思ったが、意外にも気さくで話しやすく冗談も通じる明るい奴だった。
それに同じ年でさらに今年から同じ高校に通うという偶然。
そういった経緯があり今では遊んだりする仲だ。
「新作のゲーム買ってきたんだ、帰ったらやろうぜ」
「それ『インドアファイターズ』の最新作か!やるやる」
一緒にゲームもできるっていうのもこの世界では友達がいなかった俺には貴重な存在だ。
帰りの準備を整え、手早く家路についた。
雑談をしながら歩いていると自然と来月に入学する学校の話になった。
「そういやレオはどうして魔法学校に入学するんだ?」
このヤンキーみたいなやつがどうして魔法科に入学するのかが気になり、聞いてみた。
「色々あるが、一番は最新の技術だし今後化ける分野になる可能性が高いからだな。あとは単純に楽しそうだから。大抵の奴は俺と同じ理由だろうよ」
「結構打算的なんだなぁ」
この世界で魔法学校に行くのは、とりあえず手に職を付けたいから工業高校にいくみたいなノリなのだろうか?
実際ライフハックとして使われることが多いみたいだそんな感じかも。
「そういや、お前なんでこんなところまできて練習してるんだ?隣にでかい公園があるだろ?」
多分なんの気もなしに聞いてきたのだろうが、答えにくい。
誤魔化すのも変だし、正直に答えよう。
「・・・あそこで練習をすると、警察を呼ばれる可能性があるんだ」
「お前、いったい何をやったんだ・・・。正直に言ってみろ」
「魔法を失敗したんだ。そしたら大家さんがぬるぬるに・・・」
「失敗してぬるぬるってどういうことだよ。あの大家さんを・・・まさかお前、ロリコn・・・」
くっ、話が変な方向に・・・!
だから言いたくなかったんだ。
「違う!断じて違う!僕の水魔法、なぜかぬるぬるするだけなんだ!」
「そんな魔法、あるわけないだろ・・・」
本当のことを言っているのに呆れられた。
この世界で初めてできた友達の差すような視線を受けながらアパートに帰宅した。