チーム
労働が押し寄せてくるので今週は投稿頻度がまばらになりそうですー
今回のレクリエーションは僕たちのペアが実力的に一番だと思っていたけど、並ぶ程の実力者が出てきてしまったか。
レオの考えを聞いてみたい。
「それでどうするの?芦屋君たちもトレジャーハントやる気満々だっとけど」
「・・・今回は戦うようなルールじゃねえ。あくまでお宝の争奪戦だ。だが、実力者と同じ方向に行くのは得策じゃねえな。警戒しすぎかもしれねえが、なるべく別の方向を探索しようと思う」
景品の数が膨大とはいえ、学校側もその全部を回収できるように設定はしていないだろう。
簡単にとれるお宝は一気に無くなり、取得困難なものだけが残るようになってくるはずだ。
実力者と同じ方向に行くだけで、外れを引かされる確率が高くなる。
その点を踏まえると慎重策を取るのはベターだろう。
「僕も賛成だよ。芦屋君の方が実力者っていう情報も掴んでるしね」
「向こうも同じ考えなら、こちらにはあまり干渉しないはずだ。とりあえず、探索ルートは変えずに行く」
「じゃあ森林~山岳ルートだね」
碧水蒔ハイランドには大まかに6つのエリアがある。
人工物が多いグランピングエリアと、そのすぐ横に見えるテーマパークエリア。
自然が豊富な高原エリア、森林エリア、河川エリア、山岳エリアだ。
そんな中、僕たちは森林エリアから山岳エリアへ向かうルートを選択した。
理由としては、お宝の設置場所は観光スポットを中心に設定されていると予想したことと、単純にライバルが少ないからだ。
テーマパークエリアとグランピングエリアは人が多いので論外。
残りの高原エリアと河川エリアは探索が容易の為、これも除外。
そういう理由で森林エリアから山岳エリアを探索するのが競合相手がいないと判断した。
さらに森林エリアはお宝の設置されそうなスポットが多いので期待値が高い。
「それと、お前が3バカとバカをしていた時に分かったことがある」
「純粋にスポーツに興じていただけだよ?」
ちょっとPK対決をしていただけなのに、ひどい言い草だ。
僕の主張を完全無視したレオが手首のデバイスを操作する。
「このデバイスだが、説明されていない機能がいくつかあった」
「GPS機能と景品獲得機能以外にってこと?」
「そうだ。これを見てみろ」
レオのデバイスのホーム画面のようなところに、知らないアイコンがあった。
刺島先生の話では一切触れられていない。
そこには『景品交換』『景品分配』『決闘システム』と表記があった。
しかし決闘システムとは穏やかじゃないな。
タップしたら説明が表示されたので、一つずつ読んでみる。
「『景品交換』。指定したデバイスと景品を交換する。読んで字のごとくだね」
「お前は点数が欲しくて、俺は金の類が欲しいからこれは使いそうだな」
僕は点数があれば金券はいらないし、欲しかった機能だ。
「『景品分配』。まずグループを設定する。その中に所属している人が景品を獲得した際は、グループ全員に等分割された景品が送られる」
5人のグループが500円の購買部の割引券を手に入れたら、全員に100円の割引券が加算されるって感じかな。
今回の僕たちは欲しい景品が分かれているからいらない機能だ。
レオが最後の機能を読み上げる。
「そして『決闘システム』。勝負方法と景品を設定して、勝った方が設定した景品を奪える」
模擬魔法戦といい、この学校は好戦的過ぎる気がする。
実戦が魔法の実力を伸ばす一番の方法だから、しょうがない面もあるけど。
「負けた方はたまったもんじゃないね」
「お互いに合意が必要みたいだから、一方的に勝負をしかけて景品を奪うってことはできないみたいだから大丈夫だろう」
さすがに山賊みたいなマネはできないみたいだ。
レオが腕を組み、何かを考え口を開いた。
「シュウ。この機能を聞いて思った事は無いか?」
「思った事?うーん・・・」
一見すると決闘システムが凄い印象に残るが、僕はそれよりも気になっている機能がある。
「『景品分配』の機能ってさ、なんか引っ掛かるよね」
「どういうことだ?」
レオはあまり違和感を感じていなかったみたいだけど、僕には変な印象があった。
「今回のイベントって僕たちみたいにチームを組むのが圧倒的に少数だったと思うんだ。けどレクリエーション開始間際に急にチームをサポートするような機能が与えられるって、良くわからなくない?」
「・・・確かにそうだな」
もちろん、ただ単にさほど重要じゃない機能だったから後回しにされていた可能性もある。
このレクリエーションでは成績に反映されないらしいし、気楽に友達と参加してほしいという学校側の気づかいかもしれない。
ただ、ここまで知らされていなかった機能が、交換、分配、決闘と人と関わるものだけというのも事実。
頭を悩ませ、僕たちが出した結論は。
「うん、わかんないね」
「だな。意味があるのかもしれねえけど、現状ではなんとも言えねえな。分配も決闘も俺たちはする必要が無いしな」
「交換機能以外使わなさそうだよね」
分からないということだけ理解しておいて、やれることをやろう。
不意にデバイスが震え始めた。
もう時間みたいだ。
「すぐにトレジャーハントが始まるな。森林エリアのスタート地点に行こうぜ」
「分かった」
椅子から立ち、コテージを後にする。
僕の社会科の点数を賭けたレクリエーションが始まる。




