バスのなか
過去話をちょっと整理しました。
修正だけで内容は変わってないですー
まだ大量に修正箇所があるので、多分週1くらいで修正します。
酒飲みながら書くもんじゃないね(戒め)
林間学校までの残りの時間は、レオと一緒に予想される課題やその対策を練ったり、トレジャーハントに参加しそうな生徒の中で実力のありそうな人の情報を共有したりして当日に備えた。
とは言っても課題に関しては色々予想はしてみるものの分からず仕舞いで、結局魔法の練習に力を入れるしかなかった。
有力生徒の情報も、あまりの豪華景品につられて参加人数が莫大になってしまったため整理しきれていないのが現状だ。
唯一得られた有用な情報としては、総合成績1位の蒼天院 新君と総合成績2位の悠君が参加をしないという事だ。
悠君は「あまり長距離を歩くのは医者に止められてるんだ」という健康上の理由だった。
あまり深くは聞かなかったが過去に足を怪我したと聞いているし、その為だろう。
新君は「ふっ・・・仮に宝 をすべて集めたとしても蒼天院である私には無用なものだ」という金持ち発言をしてきてちょっとムカついた。
本人に煽る意思はまったくないのだろうが。
新君が参加しないなら、新君にべったりの従者のリンさんも参加しないだろう。
模擬魔法戦で活躍した選手が参加しないのは僕たちにとっては好都合だ。
参加人数が増えた時は厳しいレクリエーションになることを予想していたが、上位勢の一部が参加しないと分かった今、実力的には僕とレオのコンビに対抗できる人はかなり少ないとみている。
まあ今回はあくまでレクリエーションだから、模擬魔法戦みたいに戦闘になることはなさそうだけどね。
そんなこんなで情報収集と対策に集中していた毎日だったが、いよいよ林間学校当日を迎え、今はバスに揺られている。
既に都会から抜け出し、田んぼや畑が続く田舎道を碧水蒔高校の高級大型バスが10クラス分10台並んで走る様は圧巻だ。
SNSを暇つぶしに見ていたら、一般人が撮った碧水蒔財閥が所有するバスが10台並んで田んぼを走っている画像がシュールでプチバズしているくらい見ごたえがある。
僕も事情を知らずに財閥が保有しているバスが田舎道を走っていたら何事かと思うだろう。
実際はただの林間学校なのだが「碧水蒔財閥上層部しか行くことが出来ない社員旅行」だの「他の財閥へ戦争をしかけに行く」など邪推するものや「田んぼから油田が見つかりその調査」とかいう荒唐無稽なものまで様々だ。
僕も何かボケようとコメントを考えていたところで、椅子を揺さぶられた。
「おーい、いがちゃん聞いてるー?」
後ろの席にいた埜上さんだった。
「ごめん、何か言ってた?」
「碧水蒔ハイランドに言った事あるー?って話」
「旅行とか全然だったからないよー」
返事をしながら後ろを向くと、埜上さんとその友達の長身の黒髪ロングの佐野さんがいた。
「せっかくかわいい華ちゃんが話かけてくれたのにー、五十嵐君寝てたのー?」
「いやーレクリエーションの考え事しててさ」
佐野さんは結構話しやすい。
初めて話したのは模擬魔法戦の頃で、あらぬ噂を払拭しきる前から話かけてくれたレアな子だ。
たまたまかもしれないが、教室でレオや悠君と話していると何故かこっちを見ていて目が合ったりする。
見間違いかもしれないが、そういうときの佐野さんは目つきが怖い気がする。
埜上さんは大体この佐野さんと、ちんまい黒髪ショートの叶野と一緒にいることが多い。
叶野さんは今は別の席にいるが、林間学校の班分けでも同じ班にいるくらい仲良しだ。
「埜上さんと佐野さんは行った事あるの?」
「私は無いけど、華ちゃんはこの辺が地元らしいよー」
「へーそうなんだ」
都会っ子っぽいイメージだったからちょっと意外だ。
「だよねー、こんなギャルっぽい見た目なのにねー」
佐野さんの茶化しにちょっと恥ずかしそうな顔をしている。
「おばあちゃんがこの辺に住んでて、子供の頃はこの辺りに住んでたんだー。碧水蒔ハイランドも行った事あるよー」
「埜上さんって都会っ子のイメージだったから結構意外だね」
「子供の頃はおばあちゃんの畑の手伝いとかよくしてたし、この間電話したときも『今度帰ったら魔法で水撒いてあげるねー』って言ったら『華は凄いねー』って喜んでくれたんだー」
見た目が完全にギャルだから勝手に田舎とか自然とか好きではないと思ってた。
ギャルでおばあちゃんっ子っていうのもギャップがある。
ちょっと可愛いなと思ったところですかさず佐野さんが茶化してきた。
「これはギャップに五十嵐君惚れちゃったんじゃないのー?」
「・・・おばあちゃん思いで優しいなーって思っただけだよ」
考えていたことを当てられ返答が少し遅れて怪しい感じになってしまった。
すると佐野さんが変なことを言い始めた。
「冗談だよ。本命は別にいるもんね」
「? なんの話?」
「大丈夫、性別なんて些細なことだから。私はとても素晴らしいことだと思うし、応援してる!」
そう言うと僕の隣の席で寝ているレオと、反対側の席にいる悠君を交互に見ている。
・・・あれ?佐野さん、何かとんでもない誤解をしていないか?
しかも息使いがどんどん荒くなって顔が赤くなってきた。
困惑している僕をおいて、佐野さんがどんどん暴走していく。
「それでずっと気になってたんだけど、五十嵐君ってどっちが本命なの?」
「その視線の動かし方をした後だととんでもないことを言っていることになるんだけど」
レオと悠君を見た後だとまるで僕が二人を好いているみたいだ。
もしかしたらと思ったけど、佐野さん腐りすぎでは?
レオとカップリングなんて冗談じゃない。
こんなゴリゴリのヤンキーみたいな男は絶対にごめんだ。
悠君はちょっと可愛いところがあるけど、一応男だからね。
「そんなこと言って、金剛君といつも一緒に帰って毎朝同じ時間に登校してるなんてデキてる以外にないでしょ。白雲君とも入学初日で抱き合ってたし」
「おんなじ寮だから一緒に来てるだけだよ!悠君とも抱き合ってたんじゃなくて転びそうなところを支えただけだから!」
誤解以外の何物でもないのだが、佐野さんは心の底まで腐っていて「それは五十嵐君が勝手に言っているだけだから」と本人を差し置いて意味の分からない主張をし始める始末。
会話が通じないと諦めて、この不穏な話を切り上げた。
ちなみに埜上さんは何を言っているのか全く分かっていなかったみたいで、話に置いてけぼりにされたとちょっと拗ねていた。




