決勝戦2
『うおおおおお!!!』
『1組と10組が出てきたぞ!』
会場内は凄い熱気だ。
さっきの試合よりも激しい歓声に、こちらの気分も高揚してくる。
「げ、なんかこっちに来てるな」
レオの見ている方向を見ると、蒼天院君率いる1組がこちらに歩み寄ってきていた。
1組全員そろい踏みだ。
「ふはははは、凄まじい歓声だが緊張などしてはいないな?」
「試合前に悪いね。どうしても始まる前に話したいんだと」
元気な蒼天院君と対照的に四津君が疲れた顔をしている。
控室でなにかあったんだろうか?
「なに、時間は取らない。・・・さて我がライバルの白雲 悠よ」
蒼天院君と悠君が向かい合う。
わざわざ試合前に何を言いに来たのか。
因縁がありそうな二人だから、積もる話でもあるんだろう。
「私たちの戦績は49勝48敗1分だ。今回私が勝てば記念すべき50勝目だ!これは私の方が優れているということを決定付けると言っても過言ではない!」
謎理論すぎる。
2勝差って勝率そんなに変わらないし、過言だと思う。
「・・・?そうだね?」
悠君、頭に?が浮かんでるのに適当に返事しないで。
「ふふふ、そうだろう!では、さらばだ!!!」
それだけ言うと、蒼天院君と1組は試合開始の位置に戻っていった。
「それだけかい!」
思わず声に出して突っ込んでしまった。
四津君が疲れていた理由が分かった気がする。
みんなキョトンとしているそんな中、悠君だけ笑っている。
「相変わらずだなあ、新君」
「昔からあんな感じなんだね・・・」
これから決勝だというのに少し気が抜けてしまった。
「それでは選手は所定の位置へ」
決勝の審判は刺島先生みたいだ。
「ルールは先ほどと変わらない。王の体内魔素が規定の数値以下になったら試合が終了だ」
刺島先生の凛とした声に会場が静まり返る。
「準備はいいな?お互い悔いの残らない試合を」
もちろん、やれるだけやるつもりだ。
「それではカウントダウンを始める」
刺島先生のカウントダウンに会場中が声を合わせる。
『3、2、1・・・始め!!!』
いよいよ決勝戦が始まった。
「白雲、中央高台は任せたぞ!」
「うん、やってみる」
今回は7組と戦った時のような場外勝ちなどの判定勝ちは狙わない。
あくまで蒼天院君を倒すことを目標にしている。
なら高所の理は確実に取っておきたい。
それは向こうも同じだ。
「やっぱり来たね四津君」
「頼むぞシュウ。遊撃としての真価を見せてくれ」
「分かってるよ」
予定していた遊撃として行動する。
僕の強みは魔法の発生速度だ。
とにかく戦況を見て味方が有利になるように行動する。
これはその最初の仕事だ。
物陰から水弾を生成し、四津君に放つ。
「悪いね四津君」
「!? 早えな!!」
顔面に当たる既のところを腕で防がれた!
不意を突いた一撃のはずだったけど。
「大将の言った通りだったな。お前の魔法の発生速度には注意しとけって」
蒼天院君が予め注意喚起していたのか。
やっぱりただの中二病じゃないか。
せめて禿げ隠しと噂の四津君の帽子くらい吹き飛ばしたかったな。
「でも、初動はこっちの勝ちだね」
「・・・そっちも早いねー」
こちらが少し足止めをしているうちに、悠君が風魔法で一気に上昇。
高台を取ることに成功している。
「まあでも、お前さんは威力はそこまでだろ?潰させてもらうぜ!」
パァン!
「危ね!」
間髪入れずに空気弾を放ってきたが、ギリギリで避けられた。
僕が先ほどまでいた場所の地面がえぐれている。
総合成績学年9位だけあってなかなかの威力だ。
「猿堂君!大きく右に回ってシュウの援護をしてあげて!」
高台で状況を把握している悠君が号令をかける。
「了解!」
すぐさま猿堂が駆けつけてきた。
これで2対1だ。
「やれやれ、だから高台は取りたかったんだよなー」
少しめんどくさそうな四津君のもとに、リンさんが駆けつけてきた。
「おい四津。迎えに来てやったからとっとと引くぞ」
「ありがたいけど、もうちょっと女性らしい言葉遣いしたらどうだ?」
「新様とそのご家族以外はどうでもいいんだよ」
「クラスメイトにももう少し優しさを分けてくれ」
軽口を叩き合いながらも四津君の空気弾とリンさんの水弾のコンビネーションに上手く距離を取られ物陰に逃げられた。
追うべきだろうか?
その時、高台から戦況を確認していた悠君から焦ったような声が聞こえた。
「シュウ!新君が思ったより前に出てる!少し前に出ていたレオ君と影下君ともうすぐ戦いになりそう!」
「随分早いね!?」
これは最初から王狙いで突撃していたか?
すぐにでも戻って加勢したいところだけど、一旦冷静になろう。
僕がやるべきことを考えるんだ。
「猿堂は先に戻ってくれ!」
「お前はどうするんだ?」
「さっき逃がした二人も蒼天院君に合流する気だと思う。その足止めに行く!」
レオ達とは逆方向に逃げて行ったから、合流するにはある程度時間がかかるはず。
ならここは遊撃として、相手の主戦力2人を足止めするほうがいいだろう。
「分かった、時間稼ぎ頼んだぞ!」
猿堂が来た道を引き返し援護に向かった。
「悠君!四津君たちの正確な位置は?」
「えっと、遮蔽物に隠れながら大外周りで9時の方向に進んでる!結構早いよ!」
それだけ分かれば十分だ。
高台から見られるのを嫌って大外に回ってるなら、僕たちの初期位置を通るはず。
初期位置周辺は遮蔽物が多く設置されているから、途中で待ち伏せ出来る。
「悠君はいざとなったらレオ達の援護に行って!こっちは一人でなんとかするから!」
「分かったよ!」
さて、2対1だけど限界まで足止めさせてもらおう。




