決勝戦1
入場口の前。
「お前ら、準備は良いか?」
レオが改まってみんなに声を掛ける。
「今回は蒼天院の防御力が全くないということに賭けて戦う。誰でもいい、とにかく一撃を入れてくれ!」
皆一様に頷く。
「蒼天院に一撃を入れられたら、間違いなくモテる。ここは猿堂様が決めさせてもらおう」
「もちろんお前でもいい。勝ったら学食の3か月無料券、購買部で使える金券、通学バスの定期券、寮生なら家賃の割引、遊園地の招待券・・・。俺は何がなんでも欲しい」
珍しくレオが猿堂の軽口に乗った。
それだけ必死ということだろう。
「・・・俺も活躍したら、友達できるかな」
「確実にできる。なんだったら俺が友達になってやる」
というか逆に今まで友達じゃなかったんかい。
影下君も嬉しそうな顔をするんじゃなくて、友達として扱われていなかったことを悲しみなよ。
「お前も今回活躍したらクラスの女子から声かけられるかもな」
「誰のせいでこうなったと思ってるんだ!いつか痛い目見せてやるから覚悟しておけよ!」
何故か猿堂が何か言いたげな微妙な顔をしている。
「・・・もう痛い目見せてるんだけどなー」
「猿堂なんか言ったか?」
「いや、忘れているならいい」
「?」
「猿堂、あまり余計なことを言うな。・・・俺も忘れたいんだ」
「そうかすまん・・・」
何故かレオも微妙な顔をしている。
よくわからんが、まあいいか。
「お前が一番一撃を与える確率が高いんだ。頑張ってくれよ」
「言われなくても。僕の今後の学校生活は今日にかかってるんだ」
もう入学してから1ヵ月経つのに女子生徒に話しかけられたのたった3人だぞ!
しかもまともに話したのは埜上さんだけだし。
灰色の高校生活は今日で終わらせてみせる。
「白雲も、蒼天院に勝負を付き合わされてるだけだと思ってたけど、なかなかやる気十分みたいだな」
「ふふ、そうだね。新君と勝負するの楽しみだよ」
普段は落ち着いている悠君もいい表情をしている。
みんないい感じにやる気に満ちている。
「よし、それじゃあ行くぞ!」
レオが試合場の扉に手をかける。
「ちょっと、忘れてるよ?」
手を前に出す。
「・・・さっきやったからいいだろ」
「何言ってんの?さっきは自分から手を出したくせに。やっぱり恥ずかしかったの?」
「クソ、やっぱキャラじゃねえことはするもんじゃねえな」
そういいつつ手を重ねてくる。
「これに勝ったらモテモテだ!」
「友達・・・ほしい・・・」
「楽しみだね」
「よし、お前ら!絶対勝つぞ!」
「「「 オー!!!! 」」」
一方、1組。
「大将、お前が前線出るって正気か?」
四津が呆れた顔をする。
「当たり前だ。ふふふ、相手に不足はない。我がライバル白雲 悠がいるのだ。それに面白そうなやつが2人もいる。私が行かずして誰が行く?」
「はあ・・・。ただでさえさっきの試合でお前が勝手に性質変化使ったから手の内ばれてんだ。大体、お前の防御力がペラペラなのばれたらやばいだろ?一撃貰っただけでまずいのに前線はねえだろ」
「甘いな四津よ。私の防御力が一般よりやや劣るという事実は、向こうは気付いている。そんなことも分からないのか?」
蒼天院は何故か上から目線で四津に告げた。
「じゃあなおさらなんで前線に出るんだよ?!ルール分かってんのか?お前がやられたら終わりなの!」
「おい四津。新様が前に出ると言っているんだ。私たちはそのサポートだけしてい
ればいい」
本来止めるべきなのに、従者のリンは蒼天院の援護に回る。
「あーあ!このチームほんと嫌になっちゃうな!お前らも見てないでなんか言ってくれよ!」
残りのチームメイトはおどおどしている。
「まあ私たちはねえ」
「Cランクだし、そっちの決定し従うよ」
「それだと俺が多数決で負けちゃうんだよ!」
「はい、じゃあ新様が最前線で決定ですね」
四津がチームメンバーに振り回されていた。




