作戦会議
「体内魔素の量が低いっていうところはありえるだろう。だが、壊滅的とまでなると現実的じゃねえな」
「それはどうして?」
レオが呆れたようにため息をつく。
そんなことも知らないのかと言いたげな顔だ。
「いいか?魔素の吸収っていうのは基礎の基礎だ。一般的に出回っている魔法教本を見てみろ。魔素の吸収っていうのは大半が一番最初に書かれている。魔法を安全に使う上で耐性力ってのは必要不可欠だ。それをすっ飛ばして魔法を使うどころか性質変化まで習得するってのはあまりにもバカげている」
レオは論理的な思考力が強い分、イレギュラーな展開に少し弱い。
レオが事前に用意していた作戦は、あくまで蒼天院君が「魔法の威力が高い」とか「体内魔素が多い」という「普通ならこんな感じで強い」という前提で立てられていた。
それが性質変化というイレギュラーによってすべて使えなくなった。
つまりレオは論理的に考えすぎて、「総合成績学年1位が体内魔素は低すぎる」ということに思考が回らないんだ。
もちろん、僕の考えが外れている可能性もある。
けど、自信はある。
なぜなら。
「でもねレオ。・・・僕はしたことがなかったよ」
「なにをだ?」
「だから、魔素の吸収。レオに言われるまで一度もしたこと無かったよ」
「「「はあ?!」」」
レオだけじゃなくてその場にいたみんな驚いている。
そこまで驚かれるのは予想外だ。
「冗談はよせ」
「いや、冗談じゃないよ」
どうやら信じていないみだいだ。
「だって魔法って筋トレみたいに使えば使うほど強くなるんだから、魔素の吸収なんてしないでずっと使いまくってた方が楽しいじゃん?」
魔法が上手くなる原理はまだ解明されていないけど、使えば使うほど強くなるということは分かっているからひたすら使ってた。
というか、この学校に入学するまでみんなそうだと思ってた。
魔素を体内に取り込まなくても空気中に大量にあるから魔法は使えるし、魔法の耐性って実感わかないし、身体能力の向上も興味なかったし。
「じゃあ蒼天院も魔素の吸収をほとんどしてないと思える理由は?」
「だって蒼天院君魔法大好きでしょ?さっきの試合相当ノリノリだったし」
中二病全開の彼なら僕と同じく魔法を使うのが楽しいと感じてると思うんだよなー。
「・・・・・・」
みんな、黙っちゃった。
僕としてはそんなに変なことを言ったつもりはないんだけど。
レオは目を閉じて深呼吸してる。
「・・・だからって・・・いや、可能性はあるのか?そもそも性質変化してるのにBランクって、それくらいアホな理由がないと帳尻が合わないか・・・?そうすると、Aランクに認定しなかった学校側の意図も理解できる・・・。いやしかし・・・」
ポツポツと喋りだしたレオは先ほどより冷静な顔をしている。
まだ踏ん切りはついていないみたいだけど。
「レオ、どうするか決まった?」
「ああ、クソ!分かったよ、シュウの予想を軸に作戦を考える!今のところ一番可能性が高いっていうのも事実だしな!」
やけくそ感が漂うが、覚悟が決まったみたいだ。
「ここは蒼天院に一撃与える方向で作戦を立てる!」
体内の魔素が少なければ魔法耐性が無いから、一撃当てれば大ダメージを取れるっていう狙いか。
方針が決まったことで、みんなも少し安心しているみたいだ。
「シュウ!お前言い出しっぺなんだから、働いてもらうぞ!」
「望むところだよ!」
いよいよ決戦だ。




