王取合戦4
「もうだめだ。おしまいだあ・・・」
「くそ!1試合目はすぐに終わって活躍の機会が少なかったから、これでは女子にモテるかどうか怪しいじゃねえか・・・」
影野君と猿堂がネガに入ってしまった。
というか猿堂の活躍してモテたいって本気で言っていたのか。
先ほどまで割と余裕な感じを出していたクラスメイト達もそわそわしている。
「食券代を3か月分擦ったってばれたら母ちゃんに殺される・・・」
「こっから何か月も昼抜きはいやだああ」
「相手選手の弱みを握っている奴はいないのか?!」
ギャンブルで大量にかけたやつらはお通夜だな。
追い詰められすぎて一線を越えようとしてるやつは一体どんだけ賭けたんだ。
こいつら一回痛い目を見た方がまっとうな人間になるんじゃないか?
つんつん。
隣の席に座っていた埜上さんがほほをつついてきた。
「いがちゃんいがちゃん。結構ピンチなの?」
「うーん、相手が予想よりも強かったから楽な試合にはならなさそうって感じかな」
「でもみんな相手の蒼天っちと同じランクなんだし、大丈夫っしょ!」
蒼天っちって。
また言いにくいあだ名をつけたな。
「そうだね。性質変化は強力だけど、何とか頑張るよ。一応蒼天院君と同じランクだしね」
「その意気だ!ウチも全力で応援してるからねー♪」
そう言うと埜上さんが僕の手を握ってぶんぶんと振り始めた。
ついでに埜上さんのおっぱいもぶんぶんと揺れている。
目線を外そうと思っても吸い付いて離れない。
「シュウ、そろそろ控室に向かうぞ!」
「っ!オッケー今行くよ!」
危ない、これ以上見てたら多分ばれてた。
埜上さん、無防備だから気を付けてほしい。
健全な男子高校生には刺激が強い。
若干名残惜しいと思いつつも控室に向かった。
「正直に言うと、対抗策が思いついてねえ」
控室に着くなり、開口一番で珍しくレオが弱気なことを言った。
「結局分かったことと言えば、蒼天院の性質変化、風魔法1と水魔法4の偏った編成くらいだ」
情報が少なすぎて手を打ちにくいな。
「これだけだと、明確な対策は立て難そうだね」
「ああ、何か気づいたことがあるやつはいるか?些細なことでもいい」
気付いたことか。
あると言えばあるな。
「気づいたことっていうか、気になっていることならあるんだけど」
「なんだ?言ってみろ」
「蒼天院君って性質変化してるのにAランクじゃないんだよね?そんなことってありえるの?」
すごい気がかりだった。
蒼天院君は性質変化で水を凍り付かせるっていう強力な魔法を使えるのに、ギリギリでBランクの判定を受けている。
普通は性質変化を使えればAランクに認定されるレベルだ。
これは普通におかしいと言える。
「確かに、あれほど強力な魔法を使えるのにBランクはおかしいな」
「でしょ?だから何か弱点があるんじゃないかって思ってるんだけど」
つまりAランクに認定できなかった何かがあるんじゃないだろうか。
「あ、わかった!」
猿堂が閃いたかのように声を上げた。
「魔法の発生速度か威力がかなり低いんじゃないか?それならBランクっていうのもつじつまが合う」
確かにつじつまは合うが、それはないと言い切れる。
「試合見ただろ?チームで合わせて攻撃していたから速度は遅くないし、威力が低かったら水は凍らねえ」
「あ、そうか・・・」
「まあ何かしらが劣っているっていう線はあるから、的外れってわけでもなさそうだがな」
劣っている部分。
もしかしたらって思うやつは一つある。
というか確信レベルであってると思う。
「ねえレオ、僕、結構自信があるんだよね。蒼天院君の弱点」
「! なんだ言ってみろ?」
蒼天院君は多分、僕と同じだ。
魔法に憧れていた僕がこの世界に転移して魔法を目の当たりにしたように、2年前に魔素が発見されて中二病全盛期に魔法が突然現れたんだ。
だとしたら、狂ったように魔法の練習をする。
体内に魔素を吸収して身体能力を上げようなんて一ミリも思わないはず。
なにせ僕もレオに言われるまで、1回も魔素吸収をしたことが無かったから。
つまり。
「体内魔素量が壊滅的に低いんだと思う。それこそ、性質変化っていう強い力をもってしてもBランクになってしまうくらいに」




