遊撃
連休中は集まれる日は4人で集まりチームプレーの練習をした。
まあチームプレーと言っても初見殺しのダーティな連携しかしていないが。
みんなで集まれない日は個人練習に明け暮れた。
連休の最終日である今日は個人練習だ。
自室でひたすら魔素を体内に取り込みながら、連休初日にレオに言われたことを思い出す。
「お前は魔法の発生速度を生かして前衛から中衛にポジションを取ってくれ」
前衛から中衛か。
僕がその立ち位置ということは。
「サポートに回ってほしいってこと?」
「よく分かってるじゃねえか。ただ、普通のサポートじゃねえ。お前にしてほしいのは遊撃だ」
難しいことを言ってくれる。
「味方のサポートを基本とするが、仕留められそうな敵がいたらこちらから仕掛ける。試合を有利に進めるための要のポジションだ」
「遊撃の役割は分かってるんだけど、なんで僕なの?」
前線に出て暴れたいっていうのが本音だ。
僕が納得していないのを見抜いたのか、レオが逆に質問してきた。
「お前は他のクラスがどれくらいの実力か正確にわかるか?」
「えっと、1組の蒼天院が総合成績で学年一位ってことくらいしか・・・」
「じゃあ問題だ。その蒼天院がどれくらいの魔法威力なのかは知っているか?」
総合成績だけだと魔素の保有量も関わってくるから、正確な魔法威力が考察できないな。
「学年一位だし、レオと同じくらいかそれ以上とか?」
「問題を出しておいて悪いが、俺も知らねえ」
知らねえ問題出すな!・・・と思ったが理解した。
レオはやるとなったらとことんやるタイプだ。
当然他クラスの情報収集だって行っているだろう。
それのレオが知らないってことは、情報が隠されているってことか。
「事前に刺島先生に聞いたんだ。学年で上位10人の詳細な成績を」
「なんて言われたの?」
「『模擬魔法戦の公平性を保つために、他クラスの情報は総合成績の順位以外答えられない。』だとよ」
教師側が黙秘しているのか。
「てことは、同じタイミングで試験会場に居た人しか知らないってことか」
「当たり前だが、他のクラスのやつに聞いても本当の成績は言わねえだろうな。わざわざ自分から不利になることなんてまずしない」
なるほど。レオの言いたいことと狙いが分かった。
総合成績のみ公開されていて、詳細な魔法発生速度と威力が開示されていないということは。
「僕の魔法発生速度を他クラスは考慮できないってことか」
レオがニヤリと笑う。
「その通りだ。お前が新入生試験で打ち立てた魔法発生速度0.3秒は歴代最速だ。このスピードで飛んでくる遊撃を考慮できるわけがない」
聞けば理に適っている。
この戦略眼はさすがと言うべきか。
「分かったよ。今回は遊撃でやることに納得したよ」
模擬魔法戦はこの先も続くんだ。
今回は勝つために役割を全うしよう。
「それと、お前には魔素の体内吸収を重点的に行ってほしい」
「えー、魔法を撃ちまくってる方が好きなんだけど」
「バカ野郎。遊撃が相手の魔法一発でくたばったら意味ねえだろ」
それは分かっているんだけど、身体能力や魔法耐性を向上させるのは魔法を使っている感が無くて好きじゃないんだよなあ。
せっかく魔法を使うんだからド派手なやつを使いたい。
「今のお前は攻撃に特化しすぎで防御は雑魚だ。体内の魔素保有量を上げるのも魔法を使う上で重要なのは分かってるだろ。頼むからやってくれよ」
遊撃をすることに納得した以上、あきれ顔のレオの忠告に耳を貸さないわけにもいかず、最近の個人練習は部屋に閉じこもってひたすら魔素の吸収をしている。
あー、魔法をぶっ放したい。
なるべく強力なやつを撃ちたいー。
早く模擬魔法戦の日になれー。
模擬魔法戦まであと三日。
ブクマ、評価、感想もらえたら嬉しいですー。
貰った日は一日中喜んでます。




