オペレーション
連休中の練習日当日。
碧水蒔高校第2演習場。
ドーム球場ほどの大きさの建物に僕、レオ、悠君、そして影下君が集まった。
「影下 肇だ。よろしく」
影下君は先日とは違い、普段教室で見る感じで堂々としていた。
最初はちゃんとしてるんだよな。最初は。
突然の顔合わせにレオと悠君が耳打ちしてくる。
「おいシュウ、これはどういうことだ?」
「いつも間に仲良くなったの?」
ちょっと驚かそうと思って当日まで何も言わなかったんだけど、予想以上に驚いてくれたみたいだ。
「色々あって、影下君も模擬魔法戦に立候補してくれることになったんだよ」
レオが顔をしかめる。
「そりゃ、戦力としては助かるけどよ。どんなやつか全然知らねえしなあ」
「見てればわかるけど彼すごく面白いよ」
「なんだそりゃ?」
そんな話をしていると、悠君が影下君に近づき手を差し出していた。
「僕は白雲 悠。話すのは初めてだよね。もし良かったら友達になれないかな?」
「とぅもだちっ・・・。ぐはぁ!」
影下君が突然床に崩れ落ちた。
悠君の聖人オーラに耐え切れなかったか
「影下君!?」
悠君が慌てて駆け寄る。
「ど、どうしたの突然!?」
「・・・財閥の御曹司なんか金と権力で人間関係上手くいってる俺の敵だと思ってたんだ。・・・ごめんっ!」
「そ、そうなんだ・・・」
悠君ちょっと引いている。
突然の出来事にレオは笑いをこらえている。
「ね、面白いでしょ」
「くっくっく、思ってた感じと違ったが、確かにこれは面白いやつかもな」
レオは気に入ったみたいだ。
良かった、上手くやっていけそうだ。
改めて練習の為に4人で集まり、レオが話を始めた。
「よし、本来ならすぐに練習する予定だったが、影下が模擬魔法戦に出れるってことでまずはそっちの話だな」
悠君が同意して影下君が君を見る。
「そうだね。なんとなくは知ってるけど、影下君がどんな魔法を使えるのかとか、得意分野とか聞きたいね」
「俺は風魔法を発現している。申し訳ないが通常の魔法はよく言っても中の下ってところだからそこでは戦力にならない」
「得意分野はどう?」
「体内の魔素を生かした身体強化だ。パワーもある程度はあるが、スピードの方が自信がある」
そう言うと影下君の体内の魔素が激しく動く気配を感じた。
瞬間、姿がブレる。
「こんな感じで、短い距離を瞬間的に移動することができる」
正面で話していた影下君の声が背後から聞こえた。
え、早すぎるだろ!
「はやっ!今の全然見えなかったよ!」
レオと悠君も見えなかったみたいで、かなり驚いている。
「ああ、驚いたぜ!なんだよやるじゃねえか!」
「これだけ早ければ戦略が格段に広がるね!」
影下君が褒められてニヤニヤしている。
普段褒められることがなさそうだから相当嬉しそうだ。
足が早いやつは人気者理論、ここまで早ければあながち間違いではなかったな。
影下君の話がひと段落し、自然と模擬魔法戦の話になる。
「そういえば、ルールってまだ発表されてないの?」
「ああ。だが過去行われた対戦ルールから、どれがきそうかくらいまでは絞れてるがな」
さすがレオ、こういうところは抜け目ないな。
「ちなみにどれがきそうなの?」
「まず代表が5人選出ってところで、実はもう2つまで絞れてるんだ。」
思ったよりも絞れてるんだな。
「まず一つ目。5人の中に1人を王として選出し、5対5の魔法合戦で先に相手の王の体内魔素を空にした方の勝ち。通称『王取合戦」
「王さえ倒せればいいって感じかな」
「そして二つ目。5対5でどちらかのチームの全員が体内魔素が空になるまで戦い、生き残りがいたチームが勝ち。通称『殲滅戦』」
「文字通り殲滅すればいいんだね」
このどっちかってことか。
「もちろん、新しいルールが追加される可能性はあるから、あくまで予想だがな」
「それで、レオはどれが可能性が高いと思う?」
レオが腕を組み考え、口を開いた。
「8割くらいの確率で『王取合戦』が来ると予想している」
かなり高いな。
「ずいぶん自身があるんだね」
「さらに言うと『殲滅戦』はまず来ない。残りの可能性は新ルールと予想している。」
「それは何で?」
「考えてみろ。最初の魔法試験でBランクが5人いるクラスは俺たちの10組だけだ。そんな中で『殲滅戦』なんてやったら、個々の能力だけで圧勝だ。それは教育者という立場がある教師陣からしたら良くないだろう」
確かに、そもそもBランクがいないクラスも存在しているくらいだし、個々の能力が重要な戦いになったら僕たちはまず負けないだろう。
「だが『王取合戦』ならチームプレーで王を一人倒せばいいから、個々の能力差があっても十分チャンスが生まれる」
チーム力を生かして一人を倒すということなら、全員を倒すよりよっぽど可能性が高いってことか。
「以上のことから『王取合戦』を予想している。さっきも言ったが新ルールが来たらこの予想はなんの意味もねえ」
ヤンキーみたいな見た目をしているくせに、頭は切れるんだよなあ。
悔しいことにゲームでもよく負かされるし。
「というわけでチームプレーを中心に練習していこう。念の為この練習内容は口外するなよ。もちろんクラスのやつにもだ」
レオがニヤリと笑みを浮かべる
悪い顔してるなー。
普段はムカつくことも多いが、こういう時は頼りになる。
「それで練習内容だが------」
レオが話始めた練習は搦手も良いとこ、ダーティーな作戦の練習だった。
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