校舎裏へ
教室に戻り、いつも通りの日常を過ごす。
授業を受け、お昼を食べ、また授業を受ける。
そしてあっという間に放課後である。
・・・僕の下駄箱に入っていた手紙について誰一人コンタクトを取ってこないんだけど、どういうこと?
いたずらにしろ入れ間違いにしろ、何かしら接触があると思ったんだけどな。
ってことはこの手紙は、なんだ?
1.ラブレター
2.果たし状
3.いたずら ×
4.入れ間違い ×
「3と4が違う可能性が出てきたってことは・・・ラブレターか果たし状か」
女子とはほぼ交流がないし、果たし状の可能性が相対的に上がってくる。
他の可能性も考えよう。
「考えたくはないが、罰ゲームで『あいつに告ってこいよ』的な?」
捏造とは言え、ハレンチスケベナンパ野郎と噂されていた僕と付き合いたい女子などいないだろう。
想像しただけで不愉快だが、女子の間での罰ゲームやいじめがあるのかもしれない。
それに僕が巻き込まれてしまった可能性はある。
「いずれにせよ、一応行ってみた方が良さそうだな」
万が一だが、一応ちゃんとしたラブレターの可能性もあるしな。うん。
期待と不安が入り混じる中、校舎裏に向かった。
校舎が大きいせいで校舎裏にはあまり日が当たらずジメジメしていた。
初めて来たがあまり雰囲気の良い場所とは言えないな。
「こっそり様子を確認してみるか」
相手の目的が分からないし、一応様子見をすることにしよう。
校舎裏には林が隣接しているし、そこで見ればいいか。
木陰から様子を伺う。
ん、誰か来たな。
「あれは・・・男だな」
くそっ、果たし状かいたずらの可能性が上がったな。
そんな恨みを買った記憶はないんだけどな。
せいぜい埜上さんと一瞬良い感じになったことを妬んだ猿堂、雉瀬、犬塚の3バカの誰かくらいだ。
3バカだったら先手必勝。力の差を思い知らせよう。
3バカ以外だったら話し合いで解決する方向で頑張ろう。
何かあったときのために魔法を使えるようにデバイスのスイッチを入ておくか。
人影がはっきりと目視できる距離になり、相手の正体が見えてきた。
長身で、髪が隠れるほどの長髪で、耳にはピアス、そしてイケメンだ。
「あれ、影下君じゃん」
現れたのは、同じクラスでいつも腕を組んで寝ている影下君だった。
全く接点がなかったので予想外だった。
「でも何でだ?昨日睨んでたのと何か関係があるのか?」
レオと悠君で話していた時に感じた影下君の鋭い眼光を思い出す。
「知らず知らずのうちに恨みを買ってしまったか?いやでも本当に接点ないしなー」
考えても分からん。
とりあえず話をしてみよう。
バイオレンスな展開になったら魔法を使って逃げよう。
影下君に向かって歩くと、向こうもこっちの存在に気づいた。
こういう時は回りくどいのは無しだ。
直球で聞こう。
「影下君だよね?僕になにか話でもあるの?」
「・・・・・・」
沈黙。
なんで喋らないんだ?
俯いてはいるが表情は真剣そのものだ。
「何か怒らせちゃったのなら謝るけど、僕には見当がつかないんだ」
「・・・・・・」
「えーと、何か喋ってほしいんだけど・・・」
「・・・・・・」
全然喋ってくれない。
何もないまま時間だけが過ぎる。
顔を合わせてからもう1分経つけど、まだ一言も喋ってくれないぞ。
いっそ帰ってしまおうかと思ったところで、影下君が不意に口を開いた。
「・・・大切な話があるんだ」
「・・・話って?」
決意をしたような影下君の顔は少し赤みを帯びていた。
相手の真剣さに緊張が走る。
なにかあったときに魔法を放てるように集中し、周囲の魔素を集める。
仮にいきなり殴りかかってこられても、こっちは対処できるぞ!
いつでもこい!
「・・・ずっと言おうと思ってたんだ。教室でも君を見ていて話そうと思ったんだけど、でも勇気が出なくて。突然こんなこと言われても困ると思うんだけど、実は」
「タイムッ!!!!!」
反射的に叫んでしまった。
ちょっと待ってくれ!
1番?1番なのか?1番のラブレターだったのか?!
なんで顔を赤らめているんだ?!
なんでちょっと涙目なんだ?!
イケメンで密かに女子に人気がある影下君がまさかのBLなのか?
申し訳ないが僕にそっちの趣味は無いんだ!
「ごめん、でも聞いてほしいんだ。実は・・・」
「待って!まだ心の準備ができていないんだ!!」
こんなことになるなら果たし状の方が良かった!
「実は・・・俺も模擬魔法戦に出たいんだ!!」
・・・・・・えっと、どういうことです?
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