早起きはお得
次の日。
連休中の学校の施設の使用は基本解放されているが一部は事前に連絡が必要ということが分かった。
魔法関係の施設は結構人気らしく、申請が遅いと使えないこともあるらしい。
念のため、朝一で申請をしようと思い早めに登校した。
あくびをしながらほとんど人がいない校門を通り、玄関で靴を履き替えようとしたときそれを発見した。
「なんだこれ?」
下駄箱の中に、手紙が入っていた。
『放課後校舎裏に来てください。』
手紙にはその1文だけ書いてある
差出人の名前はない。
「これは・・・どれだ?」
1.ラブレター
2.果たし状
3.いたずら
4.入れ間違い
「まあ3が本命、時点で4かなー」
残念ながらラブレターを貰うほど女子と交流があるわけではないし、そもそもナンパスケベ野郎と言う噂が流れていたくらいなので距離を置かれている方だろう。
考えててちょっと悲しくなってきたな。やめやめ。
まあいたずらか入れ間違いって感じだろう。
「いたずらだと、あの3バカが筆頭だな。実力では勝てないからせめて嫌がらせしてくる可能性がある」
あいつらはやる。多分。
「しかし、入れ間違いだと捨てるわけにもいかないし、ちょっと困ったな」
せめて差出人が分かれば返せるんだけどな。
周りを見渡しても誰もいない。
「しょうがない。一時的に預かっておこう」
間違えたことに気づいてコンタクトを取ってくるかもしれないしね。
とりあえず申請しないといけないから職員室に行こう。
「---失礼しますー」
中にはまだ数人しか先生がいなかった。
いなかったら出直しになるところだけど・・・お、いた。
職員室内を見渡すと、教員用の机が大量に並んでいるその一つに刺島先生がいた。
刺島先生はなんか資料を作ってるのかな?
集中してパソコンを操作している。
正直、先日の保健室の事件で顔を合わせにくい。
なんとか夢ということで誤魔化せたが、僕ははっきり体とかパンツの感触を覚えているので気まずい。
軽く深呼吸をして話しかけた。
「刺島先生、いま大丈夫ですか?」
「はい、なんでしょ・・・い、五十嵐か。ど、どうしたんだ?」
「休み中の設備の使用の申請に来たのですが」
「そ、そうか。休み中でも自己研鑽に励むとは感心だな」
申請用紙を渡す。
普段は威厳たっぷりなのに、僕と話す時だけ目が泳いでいる気がする。
まさか、保健室での出来事が夢ではないと疑われているのだろうか?
だとしたらかなりまずいが、藪をつついて蛇を出すことになりかねないし、あくまで自然体でいよう。
「しかしラッキーだったな。実は昨日の時点で残りの枠が1つだったんだ」
「え、本当ですか?!」
噂通り学校の設備は人気だったらしい。
危なかった、早起きして良かったー。
確認をしていた先生がこちらに申請用紙を返してきた。
「申請者の名前が空欄になっているぞ」
「あ、記入を忘れてました。今書きます」
鞄からペンを出そうとしたとき、先ほどの下駄箱に入っていた手紙が床に落ちてしまった。
「何か落ちたぞ・・・こ、これは!?」
刺島先生が拾ってくれた。
内容を見た先生が驚いた表情をした。
「あ、すいません、今朝下駄箱に入ってたんです」
「ラブレターというやつか、モテるのだな・・・」
「多分いたずらか入れ間違いですよ」
悲しいけど、クラスの女子とは埜上さん以外交流がほぼない時点でラブレターは無い。
「・・・そうなのか?」
「残念ですけど、間違いなくそうです」
申請用紙に名前を書きながら答えた。
何故か先生がほっとした顔をした気がしたが、気のせいだろう。
申請も終わり職員室を出る。
さて、教室戻ってひと眠りでもするかー。
---職員室。
私、刺島 真愛は頭を抱えていた。
「私はアホか。生徒がもらったラブレターがいたずらや入れ間違いと分かって、何故安心しているのだ・・・!」
理由は分かっている。
この前の保健室で倒れた時に見た妙にリアリティのある夢のせいだ!
夢の中に出てきた五十嵐を見ると、見たことないはずの異性の裸を思い出してしまう。
というか、そもそもなぜ五十嵐が出てきたのか。
あんないやらしい夢に出てきたということはつまり。
私は五十嵐のことがす、すすすっす、好きなのか?
「私は教師、私は教師、私は教師。生徒の裸など想像しないし、恋に落ちたりなどしないしないしない・・・」
刺島 真愛25歳
恋愛経験のなさに真面目さが拍車をかけて勘違いの渦に自ら飲み込まれていく。
ブクマ、評価、感想もらえたら嬉しいですー。
貰った日は一日中喜んでます。




