魔法練習1
暇なときはナートゥを踊ってます
朝礼でのランク発表が終わり、クラスが活気づいてきた。
「Bランクおめでとー!いがちゃんやるね!ウチも入りたかったなー」
隣の席の埜上さんが祝福してくれた。
ちなみに五十嵐だから「いがちゃん」らしい。
「埜上さんは惜しかったね」
「実は結構練習してたんだけどねー。次の試験ではBランクに入ってやるんだから!」
埜上さん燃えてるなー。
でも、胸が大きいのに両手でガッツポーズをするもんだからつぶれて凄いことになっている。
いかんいかん、折角消えたスケベ魔人の噂が再燃してしまう。
「おいスケベ魔人。何にやにやしてるんだ?」
「・・・してないよ」
「嘘つけ」
野上さんの胸を気を取られていたらレオが話しかけてきた。
しょうがないじゃん。健全な男子高校生だもの。
なんのことかわかっていない埜上さんがクリクリの目でこっちを見ている。
やめて、そんな純粋な目で見ないで。
「まあそんなことより、お前もBランクに振り分けられたんだから今回の"模擬魔法戦"に選ばれる可能性が高いんだ。練習しておかないと恥かくことになるぜ」
「分かってるよ。レオこそ油断してると足元掬われるよ」
この学校が世間で注目されている理由の一つに"模擬魔法戦"がある。
僕も詳しくは知らないが、魔法のスキル向上のために行われているレクリエーションの一つだ。
魔法を使ったスポーツや戦闘を行う、言わば体育祭。
本来ならクラス全員参加するらしいが、ちゃんと魔法を使えないと出ても危ないだけなので1年の一番最初だけはクラスの代表者5名のみで行われるらしい。
「メンバーが正式に決まり次第、練習するぞ。このクラスはBランク5人と他と比べてかなり強い。優勝が狙えるはずだ」
「おおー、レオっちかなりやる気だねー」
「レオは優勝賞品が目当てなんだよ」
めんどくさがりのレオがやる気を出す理由は一つ。
豪華な優勝商品である。
「えーと、今回の景品は・・・学食の3か月無料券、購買部で使える金券、通学バスの定期券、寮生なら家賃の割引、遊園地の招待券。碧水蒔財閥太っ腹すぎるだろ」
「売り捌けば相当な金になるぞ。狙わない手はない!」
ちなみにこの優勝賞品は大体どこかで闇取引されている。
学生だし、金がないので当然と言えば当然である。
学校側も黙認しているみたいだから問題ないと言えばないが。
「話は聞かせてもらった!このBランクの猿堂ももちろん練習には参加しよう」
聞き耳を立てていたのだろう。猿堂が話に入ってきた。
「ギリギリとはいえお前もBランクだから、参加してくれるのはありがたいぜ」
・・・そういえば、いつも3人で行動しているのに一人でいるのは珍しい。
「雉瀬と犬塚はどうした?いつも一緒なのに」
「あいつらはメンバーの決定までに実力を上げれば選ばれるかもと淡い期待を抱いて自主練中だよ。無駄なことを」
二人とそこまで実力が変わらないのに猿堂のその自信はどこからくるんだ。
下手したらメンバー変わってるかもな。
「とはいえ僕ももっと練習しなきゃなー」
「だったら次の休みにでも一緒に練習しようぜ」
なんとなく言った言葉にレオが反応してきた。
「もちろん良いよ。例の河原でいい?」
話を進めていると埜上さんが肩を叩いてきた。
「ねえねえ、ウチも行っていい?どんな練習してるのか気になるしー」
「もちろん良いけど、そんなに変わったことはしてないよ?」
やってることと言えば普通に魔法を放ってるだけだし。
「やった!じゃあ後で時間と場所を教えてー」
埜上さんも来ることになった。
今度は猿堂が腕を掴んできた。
「五十嵐くーん。実は僕も練習しようと思ってたんだ。一緒に良いかな?」
お前完全に埜上さん目当てだろ。
まあ断る理由もないし別にいいか。
「いいけど、ちゃんと練習しろよ」
「当たり前だ!・・・いや、本当にありがとうございます。」
小声でお礼を言ってきた。
その時、教室のドアが勢いよく開いた。
「「話は聞かせてもらった!」」
今度は教室の入り口で謎にポーズをとっている雉瀬と犬塚が現れた。
「お前ら自主練していたはずだろ!?」
「猿堂くーん。親友を置いて女子と練習なんて酷いんじゃないかー?」
「そうだ!五十嵐君、僕たちも行っていいよね?」
「騙されるな五十嵐!どうせこいつらまともに練習しなグエッ・・・!」
猿堂に関節技をかけながら了承を得ようとする二人の姿はとてもじゃないが親友には見えない。
「まあお前らも一応模擬魔法戦の候補だし、真面目にやるなら来てもいいぞ」
「「ありがとうございます!」」
なんか賑やかな休みになりそうだ。




