呼び出された
好きなお酒はジンです
校長室に着いた僕は、厳かな雰囲気のある扉の前で深呼吸をしていた。
大丈夫。事故だってちゃんと説明できれば、なんのお咎めもないはず。
扉をノックする。
「入っていいぞー」
「失礼します・・・」
中には紺色のスーツとオールバックの髪型が良く似合う、大人な男性がいた。
この人が校長なのか。思っていたより若いな。
多分30半ばくらいだろうか?
「いやー待ってたよ!君が五十嵐 秀介君ね。私が碧水蒔高等学校校長だ。よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
手を出してきたので大人しく握手をした。
かなりフランクな人だった。
「緊張してるね?大丈夫だよ、ちょっとお話するだけだから」
「あの、なぜ呼ばれたのでしょう?」
「そうだね、時間も少ないし早速本題に入ろうか」
校長に促されて椅子に座る。
校長がテーブルを挟んで正面に座ると、突然真剣な顔になった。
ただ事ではないという表情を見て、背筋に冷たいものが走る。
この真剣な感じ、ちょっと話をするだけの表情じゃない!
まさか・・・僕、退学なのか!?
「刺島先生の下着の色は何色だった?」
「何いってるんですか?」
予想していなかった質問に素で返事をしてしまった。
「噂になっているのを聞いたよ。見たのなら正直に教えてほしい」
「凄い真剣な感じ出してますけど、教えないですよ!」
「頼む!刺島先生って凄い美人でしょ?ずっと前から狙ってるんだけどガード固いし、デートに誘ってもいい返事が貰えなくて・・・白・・・黒・・・ピンク」
色を言いながら何故か手首を掴んできた。
「なぜ急に手首を・・・まさか脈を測ろうとしてます!?止めてください!」
手を振りほどいてきっぱりと断ると、校長ががっかりして肩を落とした。
どんだけ知りたかったんだ・・・
ふいにノックの音がして、刺島先生が入ってきた。
「失礼します。・・・どうかされましたか?」
「いやなに、ちょっと五十嵐君と話をしていただけだよ」
校長が急に渋い声を出し姿勢を正してハードボイルド感を出してきた。
露骨に刺島先生に良い恰好しようとしてる。
「では、先の件について詳細な報告書を」
「こちらです」
刺島先生が渡した紙を校長が真剣な表情で読む。
「やはり検出されたか」
「ええ、これが解明できれば魔法技術が革新的に進みます」
なんか僕を置いて話が進んでる。
校長が改めてこちらを見てきた。
「さて、五十嵐君。君は魔力の発現についての勉強はしたかね?」
「一人ひとつ、火、水、風、土のどれかが発現するというくらいしか・・・」
「その通り。ひとつしか発現しないんだ。銅と鉄の二つを生成できたりする人はいるがあくまで土の魔法の範囲内だ」
一体何の話をしようとしているんだ?
「実は君の水魔法からモンモリナイトが検出されたんだ」
「モン・・・?なんですかそれ?」
「ハンドクリームやシャンプーなどに入れられている粘性のある成分だよ。原材料はモンモリロン石だね」
モンモリロン石?
それってつまり・・・
「君は水と土、二つ発現していることになる。これは現在の魔法の歴史を塗り替える出来事だよ」




