魔法演習試験3
先生は黒、ギャルはピンク
「雑魚どもが!|『魔法発生のスピード』試験はこの雉瀬様の勝ちだ!」
「まぐれの1.9秒が調子に乗りやがって!俺と0.3秒しか変わらねえじゃねえか!」
「クソ!深夜アニメのせいで寝不足じゃなかったらこんなやつ!」
「次からは大人しくネット視聴しておけよー!3.2秒君!」
「俺はリアルタイム派なんだよ!」
雉瀬、猿堂、犬塚の3人が騒いでいる。
あまりにも低俗な煽り合いだが、調子に乗っているロン毛の雉瀬は現在一位だ。
みんな2~4秒の間にいる中での1.9秒は頭一つ抜けている。
「最後は五十嵐だな。前へ」
とうとう僕の番だ。
「さて、残りはクソハレンチナンパ野郎の五十嵐だけ、か。俺の一位は揺るがないな」
雉瀬の野郎、まだ一度も会話したことないのに滅茶苦茶言ってるな。
だが残念だったな雉瀬よ。
お前の天下はここで終わりだ。
的に向かって右手を前に出し、構える。
「このクラスで最速は俺様で決ま・・・なにぃ!!!」
構えるとほぼ同時に僕の水魔法が的に命中した。
「タイムは・・・0.3秒か。新入生でこのスピードは歴代最速だな」
「はーはっはっは!どうだ雉瀬!これが春休みを魔法練習とゲームのみに充てた僕の力だ!」
「ク、クソがあああああああ!!!」
いやー愉悦愉悦。
この試験が始まる前はどうなるか不安だったが、みんな案外遅くて「あれ?僕結構いけるくね?」と思ったのは間違いじゃなかった。
「さすがに毎日練習してただけはあるなお前」
「秀介凄いね!始めて二か月でここまで出来るなんて、何かコツでもあるのかな?」
「すごーい!今度あーしにも教えてよ!」
クラスメイトの賞賛の声が気持ちいいなぁ!
向こうの3バカにドヤ顔しとこ。
「埜上さんまであんな奴に・・・!」
「俺たちにも明るく笑顔で挨拶をしてくれる埜上さんが・・・!」
「次の『魔法の威力』は負けねえ・・・!」
埜上さんめっちゃ人気だな。
穏やかではない敵意を感じつつも次の試験が始まった。
「次は『魔法の威力』だ。1分以内に魔法を生成し、的に向かって放て」
さっきとは打って変わって時間をたっぷり使っていいみたいだ。
ただ『魔法の威力』はちょっと勝てないな。
僕も悪くはないと思うんだけどレオがなあ。
ズドン!!!
丁度その時、レオが生成した2メートル近い岩が演習場の床にめり込んだ。
「結構いい感じじゃねーか?」
相変わらずとんでもないな。
あんなのぶつけられたらケガじゃすまない。
「相変わらず凄いねレオ」
「まあ威力は負けねえな」
これはレオがぶっちぎちの一位かと思われたが、思わぬ伏兵がいた。
パァン!!!
悠君が放った風魔法が演習場の的を粉々にした。
風魔法は出力が出にくいのに、凄い威力だ。
「えへへ、驚いた?実は威力はちょっと自信があったんだ」
先ほど放った魔法とは正反対の爽やかな笑顔を見せてくれた。
「キャー!二人ともすごーい!」
これには埜上さんもハイテンションだ。
反対に3バカたちはローテンションだ。
この3人も魔法の威力こそ悪くなかったが、二人に比べるとどうしても劣っていた。
「俺たちの『入学してすぐなのに魔法を使いこなせてモテモテ大作戦』がこんなところで・・・」
「親戚に土下座してまでデバイスを借りて練習したのに・・・」
「深夜アニメを見ずに練習していればよかった・・・」
くっそしょうもない野望を打ち砕けて良かった。
「次は秀介だね。頑張って」
「うん、行ってくるよ」
悠君のエールを受けて前に出た。
ただ少し不安である。
威力が低い、ということじゃない。
僕の魔法には問題があるということだ。
的にぶつけるだけなら問題はないんだけど。
指定の位置に着く。
1分という時間を有効活用するため、とにかく集中。
魔法の威力は、今までの魔法を扱ってきた経験と集中力がものを言う。
魔法を使えば使うほど威力は増していくし、集中すればするほど魔素が集まってくる。
一朝一夕では成果が出ないのが魔法の威力だ。
僕もここ2か月は魔法を練習をしていたが、2年扱ってきたレオと悠君にはまだかなわない。
だがやれることはやる。
よし、魔素の集まりは良い感じだ。
今までやってきた中で一番良い。
だが集中力を欠いたらすぐに暴発してしまいそうだ。
そろそろ1分。
自分が今できる最大限の魔法ができた!
魔法を放とうとした、次の瞬間。
「べえーーーくしょん!!!」
後ろで、、猿堂が特大のくしゃみをした。
何でこのタイミングで!?
あ、やばい。
完全に集中力が切れた。
今までの経験的に間違いなく暴発する。
このままでは横にいる先生と、魔法をよく観察しようと前に出てきていた埜上さんに思いっきり当たってしまう。
「逃げて・・・もがあ!」
「えっ!」
「きゃっ!」
僕の今までで最高の魔法が暴発した。
辺りに結構な量の水が溢れ出した。
やばい、二人を巻き込んでしまった。
・・・しかし、先生の方から可愛らしい悲鳴が聞こえたのは幻聴だろうか?
自分の水魔法に一瞬飲まれたが、すぐに体を起こし周りを確認した。
「あーしどうなったのぉ・・・なにこれえ・・・ぬるぬるするう・・・」
「なんだ・・・この粘性は・・・?」
僕の水魔法の暴発に巻き込まれた二人が倒れていた。
一応無事っぽい、が。
僕の水魔法には問題がある。
威力を上げようとすればするほど、水がぬるぬるするという謎の問題が。
「あいつ、やりやがった・・・!」
「なんてやつだ・・・!」
「俺たちじゃ、あそこまでできねえ・・・!」
3バカが目を見開き、感動して泣いていた。
視線の先にはジャージがはだけ体操服が肌に張り付き、下着が透けてしまっている二人の姿がそこにあった。




