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いいなずけ無双~中身が小学生男子な学園一の美少女と始める同居生活が色々とおかしい~  作者: ひだまりのねこ


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第九十三話 サッカー部のなでしこ


「何やっているんだ!! 味方の動き出しをしっかり見ろ!!」


「す、すいませんキャプテン」


 ふう……このままだと全国は厳しいかもしれないな。


 週末に行われる県大会決勝の相手は因縁のライバル、県内屈指の強豪黒津商業だ。

 

 去年はPK戦を制して何とか勝利できたが、今年の黒津商業は金にものを言わせたなりふり構わぬ補強で選手層が厚い。相当厳しい戦いになるだろう。


 私の怪我さえなければこんなことにはならなかったのだが……。



挿絵(By みてみん)




 私が日本代表に選ばれたことでチーム内の士気も上がっていたんだが……そんな私を中心にチーム作りをしてきた結果がこれだ。誰が悪いわけでもないのだが、この大事な時期に怪我をしてしまった私の責任が一番重い。


 今更後悔しても、すべては遅すぎて、決して取返しはつかない。あの日に戻れたなら。何度そう思ったことか……





「そんなっ!! お見合いなんてまだ早すぎます。日本代表にだって選ばれたのですよ」


姫奈(ひな)、別にサッカーを辞めろといっているわけじゃない。先方も是非にと言っているんだ。会うだけ会ってみたらいい」


 お相手は黒津商業男子サッカー部のエース、黒津玄人(くろつくろと)。黒津商業理事長の孫。


 父上の大事な取引先でもあるし、同じサッカー選手なら話ぐらい構わないかとOKしてしまったのが失敗だった。


 後日会った黒津玄人の印象は控えめに言っても最悪だった。たしかにサッカーは上手いのだろうが、傲慢で甘やかされて育った典型的なお坊ちゃまタイプだ。ルックスだけは黒王子とかなんとか騒がれているだけあって、整ってはいるが、ファンも中身を知ったらさぞかしガッカリするに違いない。


 そして先方に断りの連絡を入れた翌日、私は信号無視をして歩道に突っ込んできた車に跳ねられ、この有様。幸い命に別状は無かったが、膝と足首に大怪我を負ってしまった。   



「うーん……残念ですが元通りになる可能性は極めて低いと言わざるを得ません」


「そんな……それじゃあサッカーは?」


「手術が成功したとして、地道にリハビリを続ければ日常生活に支障が無い程度には回復する可能性はあります。ですが、趣味としてはともかく、競技としてはもう……」


 諦めきれず名医と呼ばれる医者を紹介してもらったが、結果は変わらなかった。


 ただ……


「米国の権威ならもしかしたら可能性はあるかもしれない。伝手はあるから紹介することは出来るけど、費用は億単位かかるからね……」


 とても出せる金額ではない。命にかかわる事ならともかく。



「姫奈、黒津さんからお見舞いの連絡が来た。婚約の話を受けるなら渡米治療の費用を全額負担しても良いと仰ってくださっている。返事は急がないそうだから考えてみると良い」


 有難い話なのかもしれない。心が揺れないと言ったら噓になる。


 だが、今は目の前のことに全力を尽くす。  


 私の選手個人としては事実上終わってしまったのかもしれない。だけど、まだ終わっていない。サッカーはチームスポーツだ。選手としては無理でも、チームが勝てばそれでいい。


 



「それじゃあ皆、身体のケアはしっかりね」


「はい!!」


 朝の練習が終わり一足先に部室を出る。


「……ここで良いんだよね?」


 普段は来ることが無い学食棟の地下。


 噂の助っ人部の部室がここにあるらしい。


 これまで数多くの運動部を助けてきたという超人。その万能さゆえにどの部にも所属せず、人助けをモットーに活動していると聞いた。


 駄目で元々、場合によっては土下座をしてでも……



「失礼する」


 意を決して中に入ると、そこはまるでキラキラ輝く別世界のようだった。


「ようこそ助っ人部へ」


 うおっ!? ま、眩しい……こ、これが噂の桜宮撫子なのか。


 艶やかな黒髪、完璧なスタイル、吸い込まれそうな瞳、可憐な桜色の唇……とても同じ人間とは思えない。なるほど……あの金満会長が入れ込んでいるというのも納得だ。同性の私でさえドキドキが抑えられない。


 そして、弓道部のエース、那須野茉莉と茶道部の千家菖蒲……この二人も凄まじいな。直接対面するのは初めてだが、纏っているオーラが異次元だ。


 助っ人部……ここは噂にたがわぬ神々の住まう処……ヴァルハラであったか。



「白石姫奈先輩ですね。サッカー女子日本代表の次期エース候補でアイドル顔負けのルックス。良く存じ上げております」


「知ってくれているのは嬉しいが、私はもうサッカー選手ではないんだ。実は助っ人部に折り入って頼みたいことが……」


「粗茶ですがどうぞ」


 うわっ!? 今度は銀髪の美少女!? 外国人? 何者なんだこの子は?


「ああ、彼女は星川葵、今日から入部した新人です。先輩、熱いうちにどうぞ」


「あ、ああ……すまない」


 う、美味い……これまで飲んだどんなお茶よりも美味しい。これが……助っ人部の実力の一端なのか!?



「それで? 姫奈先輩は、()()()をご希望ですか?」


 すっと目を細める桜宮撫子。背筋がゾクッとするほどの妖艶さ。そんな表情も出来るのか。末恐ろしいな。

  

「……どちらとは?」


 選手を派遣してもらう以外に何かあるのだろうか? 



「選手の助っ人が必要なのか、その足を治したいのか……ですよ、姫奈先輩」


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― 新着の感想 ―
[一言] ペロペロ……されるんですね(;'∀')
[良い点] 撫子さんがぺろぺろしたら傷なんてあっという間に治っちゃいますからね! れっつぺろぺろ! そして許嫁ゲットだぜ! [気になる点] 「姫奈さんが黒津さんの婚約を断ったのいつだっけ?」 「ええ…
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