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いいなずけ無双~中身が小学生男子な学園一の美少女と始める同居生活が色々とおかしい~  作者: ひだまりのねこ


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第七十一話 すあまとまあす


「はあ……なかなか思うようにはいかないなあ」


 すあまを全国区の人気和菓子にするために頑張ってきたけれど、最近限界を感じることが多くなってきた。


「泣き言なんて珍しいなすあま。チャンネル登録者数も順調に伸びているし、何が不満なんだ?」


 動画作成や撮影はまあすがやってくれている。おかげでここまで人気チャンネルになれたわけだから感謝しかないんだけど……。


「まあす……たしかにアイチューバ―としては大成功しているんだけど、それはあくまで手段であって、私たちの目的は、すあまを日本全国に広めること、日本と言えば外国人が『スア~マ』っていうくらい、すあまをメジャーな存在にすることでしょ?」


「言っている意味がわからないな? すあまの知名度を上げることには成功しているじゃないか。あとその目的はすあまの野望であって、私は正直すあまが食べられればそれでいい」


 たしかに私たちの動画によって、すあまの知名度そのものは上がったと思う。まあすは食べ専だからそれでいいのかもしれないけど。


「でもね、すあまのお店は年々減っているんだよ? こだわりの原料を作る農家さんたちも高齢化で廃業が相次いでいるし、そもそも個人商店が多いすあま業界では、全国に進出しようという人もほとんどいない。このままだとジリ貧なの。十年後、すあまが食べられなくなっても良いの?」


「なるほど……それは困るな。だったらいっそのこと、このチャンネルで通販をすればいいんじゃないか? すあまがもっと過激な、すあま製の水着でも着て、食べてね、とでも言えば爆売れしそうだが?」

 

「なんで私がそんなことしなくちゃいけないのよ!! あくまですあまで勝負しなければ意味がないでしょ? それに私はすあま屋さんになりたいわけじゃないの。全国どこに行ってもすあまをお店で食べられるようにしたいだけなのよ」


 既存店の売り上げを圧迫してしまったら意味が無いし、そもそも私たちに回してくれるほどの余剰生産力もない。


「まったく頑固だな、すあまは。売れれば何でもいいと思うが? 売り上げはすべてを癒すんだぞ」 

   

 まあすの言いたいこともわかるんだけどね。でも、そんなやり方ではきっと長続きしない。 



「それだけじゃないんだよ、登録してくれるのは嬉しいんだけど、すあまのチャンネルなのに、みんな私のことばかりで、すあまのこと気にしてくれる人って本当に少ないんだ……」


 百万いる登録者の大半は、すあまが和菓子であることすら知らないという現状。


「すあまは可愛いからな。それは仕方がない。それでもきっかけになれば良いじゃないか。中にはすあま好きの人も少数だがたしかにいる。さっき届いたメッセージなんて、まるでお前が書いたみたいな熱い内容だったぞ」


 双子だから髪色以外容姿は同じのまあす。なるほどたしかに我が妹ながら可愛い。それよりもメッセージがめっちゃ気になる。


「え? なになに? そんなメッセージ来てたの?」



 まあすに教えてもらったメッセージを読んで、不覚にも泣いてしまった。 


 私にはわかる。この人は本当にすあまのことを考えて愛しているんだって。


「一緒にサイセン十万贈ってきたからな。本気で応援したいと思っているんだろう」


 じゅ、十万!? 登録者は多くてもサイセンを贈ってくれる人は少ない。私が水着を着ればサイセンで暮らせるとまあすは言うけど、そんな言うならお前が着てみろと言いたくなる。どうせ同じ顔なんだし。

 

「この人まだ高校生だよね? とんでもない大金持ちでもなければ大金だよね」


 ありがたいけれど、同時に申し訳なくもなってくる。


「天津命……16歳……か。隣の県在住みたいだな」

 

 ふうん……きっと名前のせいだろうな……無性に気になってしまうのは。だって天津って…… 



「すあま、まあす、すあまケーキ届いたわよ」


 母の声で我に返る。そうだった。今日は私たちの誕生日。もちろん誕生日ケーキは、大きな特注のすあまだ。ろうそくを刺す時の感触がたまらないんだよ。


「すあま、ろうそく半分くれ」


 夢中でプスプスろうそくを刺してゆく。




「ええええっ!? わ、私たちに兄弟が!?」


 16歳の誕生日、母から告げられた内容は衝撃的なものだった。


 父親のこと、一族のこと、ある程度は聞いていたけれど、兄がいるなんて初耳だった。


 どんな人なんだろう? 


「命くんの存在は秘密だったからね。教えてあげられなくてごめんなさい」

 

 ……命? あれ……? たしかあのメッセージの人ってたしか……?


 まさか……!!


「ああ、間違いなくメッセージ送ってきた人がお兄さまだろうな……ぐふふ」


 まあすの様子がおかしい……はっ!? そうだった、まあすは重度のブラコン気質。想像上のお兄さまを愛でているほどの変態だった。


「お母さま、お兄さまと結婚できるって本当か?」


「ふふふ、まあすは気が早いわね。もちろんよ。会いに行くつもりなら住所教えるわよ」


 一族間では兄弟でも結婚できる……むしろ血が濃くなることもあって推奨すらされているらしい。何でもありじゃない……一族。


 ああ……鬼に金棒、ねこにまたたび、まあすにお兄さま。


 次にまあすが言い出すことはわかっている。



「すあま、お兄さまに会いに行くぞ」


 普段引きこもって部屋から出てこないくせに、こういう時の行動力はなんなのか?



 まあ……私も気になってドキドキしてしまっているから、まあすのこと言えないんだけどね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] これで命君にもすあまを食べるチャンスが! ……いや、食べられるチャンスの方が増えるかな……(笑)。
[気になる点] なんだよ重度のブラコン「気質」って!(笑) 兄なら何でもいいのか、兄なら。
[良い点] まあす、そういう趣味の子でしたか。 それにしても近親相姦が推奨されているとは……一族怖い。
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