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いいなずけ無双~中身が小学生男子な学園一の美少女と始める同居生活が色々とおかしい~  作者: ひだまりのねこ


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第四十話 学食にて


「……まるで、空港のカフェテリアみたいですね」


 葵が学食を見て驚いている。


 俺も他の学校のことは知らないが、たしかにうちの学校の学食は珍しいくらい充実しているらしいことはなんとなくわかる。


 全校生徒千人以上が利用するため、学年ごとに昼休みが少しずつずらされていて、そもそも昼休み時間が長く設定されている。


 一階は屋外席も含めた巨大な食堂。二階はカフェ、三階がサロン、四階から上は会議室や生徒会執行部、各委員会および部室となっている。


 

 お昼時の学食は学生で賑わっているが、すれ違うたびに好奇の目にさらされる。


 まあ当然ながら、葵は目立つ。ただでさえ銀髪銀眼の異世界風美少女なのに、メイド服を着ているから余計にな……。


 

「まあ注目されるのも今のうちだけだから」


「お気遣いありがとうございます。慣れておりますので大丈夫です」


 慣れている……か。そうだよな、これまでも苦労したんだろうな、きっと。


 もしかしたら無表情なのは仮面なのかもしれない。そうやって感情を殺さなければ、やってこれなかったのかもな……なーんて勝手に想像してみる。



「あの……私の顔に何かついておりますか?」


「いいや、何でもない。きっとクラスの連中に質問攻めにされるから、困ったら俺に振ってくれていいからな?」


「……ありがとうございます」


 相変わらず無表情なんだけど、少しだけ声色が柔らかいような気がした。たぶん……だと良いな。



「おーい、星川さーん!! こっちこっち!!」


 直樹を筆頭に、クラスメイトたちが待ちかまえている。どうせ葵を質問攻めにするつもりなのだろう。怖い怖い。


「みこちん、待っていたぞ。一緒に食べよう」


 撫子さんは、いつもどおりだな。いつも通り過ぎてちょっと悲しいぐらいだが、待っていてくれたなんて嬉しくて泣きそう。


 他のみんなは、葵を取り囲んで夢中みたいだから、今のうちに話しておくか。

 


「撫子さん、ちょっといいかな?」


「なんだみこちん、珍しい虫でも見つけたような顔をして」


 ……どんな顔?



 撫子さんに葵が家政婦……いや、メイドとして一緒に住むことになると簡単に説明する。


「おおっ!! 私もメイドさんに憧れていたのだ。興奮するな」


 うん……わかっていたけどいつも通りの撫子さんですね。


「ふふ、ふふふ、奥さまとか若奥さまとか呼んでもらえるのだろうか? 照れるな」


 お、おおお奥さま!? た、たしかに……。実感はないけど、週末には形式上夫婦になるんだよな。


 今更ながら、この女神のような撫子さんと一緒になれるなんて信じられないけど。


 予想はしていたけれど、特に問題なく受け入れてもらえそうで良かったよ。




『うわあ!! すげえ……』

『すごい……それ星川さんが作ったの!?』


 クラスメイトたちが騒いでいる。


 どうやら葵が作ってきたというお弁当が話題になっているようだ。


 豪華な重箱に入ったそれは、もはや弁当ではなくて豪華な弁当……いや、完全にプロの仕事だな。


 ただし、量が若干……いや、かな~り多すぎるような気もするが……。

  


「星川さん、俺は花城 薫、次期バスケ部のエースになる男。良かったらひと口分けていただけないだろうか? 御礼に今度美味しいものでも一緒に……」


「おいっ、薫、抜け駆けすんな、星川さん、俺は斉藤直樹、良かったら俺が……」


 薫と直樹に負けじと、他の連中も我こそはと手を挙げる。



「……申し訳ないのですが、こちらのお弁当は天津さまのために作ってきたものなので……」


 こちらにちらりと視線を向けてくる葵。


 え……? 俺!? 聞いてないんですけど!?



「はああああ!? なんで天津?」

「そうだよ星川さん、あいつには桜宮さんという許嫁がいるんだぜ?」


 うむ、わかるぞ、その気持ち。おっしゃる通りで。



「……許嫁? あら、おモテになるのですね天津さま」


 ひえっ!? 氷の視線が怖いっ!!


「ち、違うんだ、いや、違わないけど、別に隠していたわけじゃ……」


 いやいや待て待て、何を言い訳しているんだ俺は。そもそも葵と俺は別にそういう関係じゃないよな? 後ろめたいことなんてなにもない……はず。



「そういうこと。だから星川さんのお弁当は俺たちが……」


「……問題ありません。私も天津さまの許嫁ですので」


 は……? ナニヲイッテイルノカナ? アオイさん? 


 あ、もしかして向こうの言葉で、メイドのことをイイナズケって言うんだね。なるほど勉強になります!!



「おい天津……一体どういうことだ?」


「命……ちゃんと説明してくれるんだよな?」


 知らん、俺は何も知らないんだ、信じてくれ!! はっ!? そうだ撫子さん……



「そうか、葵も許嫁仲間だったか。よろしく頼む」


「はい、撫子さま」


 固く握手をかわす美少女二人。ちょっと待て、それで良いのか? おかしいだろう?


 いかん……クラスメイトの視線が痛い。


 だ、誰か助けて……




「おい、天津命はいるか?」


 助けの神かと思ったら二年の先輩たち……? あれ……この人たちってたしか……


「はい……天津は俺ですけど」


「生徒会執行部だ。すぐに生徒会室へ来てくれ。会長がお呼びだ」 


  

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― 新着の感想 ―
[良い点] 生徒会「どうする会長、処す? 処す?」
[良い点] おっと生徒会が動き出した! これは面白い展開になりそうですぞ(*'▽')! [一言] 時折見せる天津くんのイケメンムーブ( *´艸`)
[気になる点] なぜ撫子ちゃんが許嫁だって事実に対して怒る(゜Д゜;) 前回許嫁が一人だけいるって把握してたでしょぉ!?(゜Д゜;) [一言] そしてラスト……おいおい職権乱用かぁ(゜Д゜;)
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