表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/155

第十三話 何でも揃う斉藤商店


「正樹おじさん、賃貸の件、ありがとうございました」


 美術部の活動が終わって、帰りに斉藤商店に立ち寄る。正樹おじさんには本当に助けてもらっている。



「おお、命くん。良いんだよ、困ったときは遠慮なく頼ってくれ。これでもおじさん結構顔が広いからね」


 そう言ってウインクするイケオジの正樹おじさんは、直樹の父親で、父さんの親友だった。


 そのせいか、俺のことはやけに可愛がってくれているような気がする。元々愛想が良い人だけどね。



「それより命くん、雨野先生は本当に可愛らしいね。中学生にしか見えないよ、ははは」


「ははは……本人気にしているみたいですけどね」


 おじさんは気遣いの出来る人だから本人の前では絶対に言わないだろうけど。


 正樹おじさんはそうなのかい、と笑いながら言葉を続ける。



「他に何か困っていることあるんじゃないのかい?」


 ああ、まったく正樹おじさんには何でもお見通しだな。



「あの、実は家政婦さんを雇ったり出来ないかな、と思っているんですけど……」


「ああ、たしかにあの広さだもんね、何か希望とか条件とかある?」


 一瞬メイド服姿の撫子さんが頭をよぎったが、全力で抹消する。


「いいえ、特にないです」


 本当は美少女とか美少女とかネコミミとかうさミミとか希望はあるんだけど……いやこれは妄想だな。



「そうかい、そうだな……相場は大体こんなものかな。任せてくれるなら心当たりに声をかけておくよ」


 おじさん、というか斉藤商店の人脈は異常なほど広く、多岐に渡っている。ここで買えないものはないというのが噂になっているほどに取り扱い品目が多いのもそのおかげなのだろう。


 きっとおじさんの中ではすでに候補が上がっているのかもしれない。


 まあ正樹おじさんに任せておけば間違いはないだろうし、ここは素直にお願いすることにした。


 


 そのまま帰ろうと思ったが、ふと、思いつく。



「おじさん、絶対に無いとは思いますけど、すあまと胴長、ザリガニ釣りセットなんて置いてないですよね?」


 次回があるかわからないが、撫子さんとお揃いというか、一緒にザリガニを捕りたいという不純な動機だ。


「すあまって、和菓子の? もちろんあるよ。胴長とザリガニ釣りセットも先日取り寄せたばかりだから、すぐに渡せるけど?」


 ……あるんだ。まさか、撫子さんもここで買ったんじゃ!?


 心なしか正樹おじさんがにやにやしている気がする。


 まさか勘付いてはいないだろうな?



 おじさんに家政婦さんの件をお願いして店を出る。ついでに庭の設備点検もお願いした。胴長とザリガニ釣りセットはその時に一緒に届けてもらうことにして、すあまを二箱だけ持ち帰る。



 撫子さんのお見舞いに行くのだ。


 先生の話だと本当にただの風邪みたいなので、正直ホッとしたけど、やっぱり昨日の今日だからどうしても責任を感じてしまう。


 彼女に会いにゆく口実が出来たっていうのもあるけれど、神社で神様に御礼を言いたいのだ。


 撫子さんとの縁をありがとうございます……ってね。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] みこちんの家も斉藤商店もほんまチート級の優良物件とちゃうか(゜Д゜;)
[良い点] 何でも揃ってる斉藤商店すごいですね! すあまもあるならぜひ買いに行きたい( *´艸`)
2022/10/23 07:51 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ