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いいなずけ無双~中身が小学生男子な学園一の美少女と始める同居生活が色々とおかしい~  作者: ひだまりのねこ


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第百三話 新しい生徒会長


 金満会長の突然の解任、退学処分、そして逮捕……


 衝撃的なニュースは一瞬にして学園内を駆け巡った。



「ねえ菖蒲、すごいニュースよ。さっき金満会長が逮捕されたんですって。当然退学処分で会長も解任されたそうよ。まあ以前から何かと黒い噂のある人だったから、やっぱりね、としか言えないけれど」


 遅れて茶道室へとやってきた部長の薫姉さまが、嬉しそうに話しかけてくる。会長の事すごーくお嫌いだったのですね。わかりやすいです。まあ私も大大大嫌いなんですけどね。


 命さんや撫子のことはもちろんですけれど、何度も露骨なアプローチをかけてきましたからね。私が撫子の親友だと知っていながら、どういう精神構造をしていたらそんな真似が出来るのでしょうか?


 はあ……私の旦那さまが命さんで本当に良かった。


 あの優しい笑顔……細身なのに意外とたくましい身体、命さんに菖蒲と呼ばれるたびに、身も心もとろけそうになるのです……。ああ……想像したらまた会いたくなってしまいますね。家に帰ればまた会えるというのに。短時間でも離れているのが苦痛になってしまいました。来年こそは命さんと同じクラスになって、隣の席になったら一日中横顔を眺めて過ごすの……ふふ……



「……菖蒲? 聞いているの?」


「ふえっ!? あ、ご、ごめんなさい、会長の、いえ、元会長のお話でしたよね、薫姉さま」


 危ないです。うっかり妄想の世界に旅立つところでした。


 でもどうやら誤魔化せなかったみたいですね……薫姉さまが私の顔をじぃっと覗き込んできます。


「……菖蒲、私に何か隠していることあるでしょう?」


「そ、そそそんなこと……」


「隠しても無駄よ。菖蒲のこと昔から知っているんだから。男ね? 男が出来たのね? ね、例のお見合い相手の人? それとも……まさか別の人だったりして? ねえ誰にも言わないから教えなさい」


 駄目です……薫姉さまにはすべてお見通しのようです。まあ薫姉さまには機会を見て話すつもりでしたから別に構わないんですけど、単純に恥ずかしいのですよね。




「えええっ!? 天津ってあの宗主家の? まさかうちの学校に次期当主がいたなんて……そっか……だから菖蒲ったらそんなに幸せそうだったのね。あちゃ~、私ももう少し待っていた方がよかったかなあ……あ、もちろん冗談よ? 今のお相手さんには満足しているからね」


 運命なんてものが本当にあるのかはわからない。


 でも、私と命さんはたしかに運命で繋がっていると思うのです。


 だってほんのわずかでもすれ違っていたら、私たちは結ばれることはなかったに違いないのですから。


「……菖蒲、思ったよりもだいぶ重症みたいね……」


 薫姉さまったら一体何のお話をしているのでしょうか。私は怪我なんてしていませんよ?


「あら……? 薫姉さま、その指の傷は?」


 包帯でぐるぐる巻きの指が痛々しい。ああ、ご自分の怪我の話でしたか。


「ああこれ? 花嫁修業の一環で料理を特訓しているんだけど、うっかり包丁……でね? ざっくりやっちゃったのよ」


 ふふふ、薫姉さまはしっかりしているようで、意外とおっちょこちょいなところがありますからね。


「薫姉さま、私がその指、治してさしあげます」


「え!? 治すって……ああ、菖蒲、昔から不思議な力あったものね。でも無理よ? 結構深い傷だから」


 そう、今までの私なら擦り傷や浅い切り傷を治すのが精一杯でした。でも今は違うのです。命さんと結ばれたことですべてを癒す力に覚醒したのですから!!


「大丈夫です。今の私には命さんとの愛の結晶の力が満ちているのですから」


「ふえっ!? 菖蒲、愛の結晶ってまさか……もう?」


 何故か驚いている薫姉さまの手をとり、治療を開始する。


「ちょっと菖蒲、その話詳しく……いだだだだだだ、めっちゃ痛いいいいいいいいい!!」



 ごめんなさいお姉さま。私の癒しの力、なぜかとっても痛いみたいなのです。ふふふ。



◇◇◇



「……茉莉、絶好調じゃないか!! この調子なら全国狙えるかもしれないな」


 遅れて弓道場へやってきた部長。たしかに私は絶好調だ。というより、力に覚醒したおかげで、もはや外す気がしない。


「部長……遅かったですね。何かあったんですか?」


「ああ、緊急の部長会が招集されてな。あの金満会長が逮捕されたそうだ。当然退学処分で、会長も解任。まあどう考えても裏で何かやってそうだったからな。これで少しは予算が回ってくるようになると良いんだが……」


 へえ……とうとう捕まったんだあのクズ男。天津を殺そうとしたのは論外だけど、撫子に言い寄っているのに、私にまで粉かけてきてたからな……ああ、思い出しただけで身震いしてくるわ。本当にいい気味。二度と日の当たるところに出てこないで欲しいわね。この国の平和のためにも。


「そうなると会長はどうなるんですか? また選挙?」


「いや、交換留学でアメリカから戻ってきた副会長の空津零が金満会長の任期満了までは代理を務めることになる。帰国早々大変そうで心底同情するよ。彼女とは同じクラスなんだよね」


 ん……? 空津零って……あの空津零よね? 直下五家の。


 まさかこの学園に直下五家の令嬢が在籍していたなんて……。まあ天津家の嫡男も居るわけだから、居てもおかしくはないのかもしれないけれど。


 ちょっと待って……直下五家だし、そんなことはまずないとは思うけれど、万一空津零先輩がフリーなら絶好の許嫁チャンスかも? しかも超大物級許嫁じゃない。


 これは撫子に知らせないと……。



「部長、すいません、少し席を外します」


「ああ、むしろお前は練習しすぎだからな。少し手を抜くくらいで丁度良い。今日はもう上がっていいぞ」


「ありがとうございます。部長」


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― 新着の感想 ―
[一言] そしてまた……ウフフフフフ(*´艸`*)
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