008 2つ目の手紙
2つ目の手紙は字が震えていてますます読みにくかった。紙もところどころ汚れている。
母さん
なかなか家に帰してもらえない 私は本当に何もしてない 取り調べこわい 男の人は「白状しなさい」て言う 「どのようなことをしたと思ていらしゃるのですか」と聞いても「自分でわかっているだろ」と言っておしえてもらえない 叩かれたり痛いことされる どうすれば信してもらえるかわからない 夜番の下官ストゥルーンはとてもいい人 紙とインクくれるし万年筆も貸してくれる この手紙を検閲しないて届けてくれる ストゥルーンが手紙を届けてにきたら少しだけお金あげて とても良くしてくれるから 母さん信じて 私は本当に何も知らないし何もしてない 母さん会いたい 母さんの手伝いして林に薬草とりにいきたい 家に帰りたい 母さんわ元気にしてる 朝晩まだ寒いから気をつけて
愛をこめて エステラ
読み終わって手紙のところどころについた汚れが血だということに気が付いた。
……拷問……されたんだ……。
瞬きができないまま私はエステラの震えた文字で書かれた「叩かれたり痛いことされる」という一文をずっと見つめていた。