嫌ぁな予感
数日後。
「ショウエイ、起きて。・・・ショウエイ、起きてください。」
「う・・があ・・・」
重い瞼を開けるとレンが見下げている。
「うお・・なんだよ。」
飛び起きるショウエイ。
「また鍵開けっ放し。」
レンはあきれ顔で部屋のドアを指さした。
「ううーん・・・」
大きく伸びをする。
「・・・んで、なに?また招集?」
「いえ、調査団が戻ってきたので、そろそろ招集がかかるかなととは思いますが。」
「・・・もう少し遊ばせてくれねーかなぁ・・・」
ブツブツ言いながら身なりを整えていく。
「朝飯食いたい」
「もうとっくにお昼過ぎてますよ。食堂行ってたべましょう。僕はもう終業です。」
「おう。魔法集団はいつも忙しいな。ま・・・遊んでるの俺だけか。」
「ショウエイの耳に入れておきたいことあるので。」
要塞の中にある大きな食堂。
長い木のテーブルがきれいに並んでいる。時間的に兵士も職員もまばらだ。
カウンターに置いてある少し煮詰まったコーヒーを大き目のカップに少し注ぐ。
2人ともミルクをなみなみとコーヒーの入ったカップに注ぐ。
「果物祭りかよ。」
ショウエイは木の皿にカウンターに積まれたフルーツをたくさん乗せた。
レンは、カウンターの奥でパンと卵焼きを焼いてもらう。
カウンターから離れた窓際の回りに人のいない席に着く。
「んで、何の話?」
ショウエイが大きなのコーヒーカップを両手で持ち、ミルクのようなコーヒーをすすりながらレンの顔を見る。
レンがトーストを一つショウエイの皿にのせた。
「この間の化石の話か? パチル峠とか、封印だとかよくわかんねーけど、キリア大尉が言ってた破壊幻魔獣って危なそうだな。」
「昨日、パチル峠の調査部隊が戻ってきたのですが・・・」
「化石持ってきたの?」
「ええ・・・僕もその場にいたので聞いてたんですが・・・いずれ、招集時に聞くと思うので。言ってしまいますが・・」
「なんだよ。もったいぶるなよ。」
「向かっていたのは魔法部隊だったのですが、魔術師のほとんどが、怯えてしまって・・・。」
「・・・くあぁ?・・・調査行ってた部隊って上位魔法部隊じゃねーの??」
「そうなんです。その方たちが怯えるってよほどのことだと思うのです。小さな幻魔獣に襲われたと。」
「・・・小さなって?」
「人型の羽の生えた手のひらくらいの生き物だそうです。」
「ほー。。。絵本に出てきた妖精さんじゃねーか。」
ショウエイがニヤッと笑う。
「攻撃的な幻魔・・・妖精さんだったらしく、その場にいた魔術師たちが、他にもいくつか膨大な危険な魔力を感じて慌てて逃げてきたらしいです。」
「魔力感じ取れない俺だったら・・・逃げれなかったろうな。」
「化石と思われた石なのですが、封印石そのものだったようです。」
「え?でかい魔力がってことは?封印解いちまった?ってこと??」
「そう・・・なると思います。」
「えーと・・・俺、魔法のことさっぱりでわかんねーが・・・封印って石動かしただけで解けちまうの?」
「これは・・・僕の見解なんですけどね。誰かが、封印を故意に説いたのではないかと思っています。もちろん僕には、その封印の解き方はわかりません。」
「ほお。ほお。そこにいた魔術師に愉快犯がいたってこと?」
「・・・うーん。・・・あ、ショウエイ、ワクワクした顔してますよ?」
酸っぱい真っ赤なフルーツを頬張っているショウエイの顔をのぞき込む。
「そ・・そうか? あ、で、その幻魔獣たちは追いかけてこなかったのか?」
「飛竜で逃げていたので追いつかれなかったといっていますが、どうでしょう。。。追いかけてこなかったが正解なのではないでしょうかね。」
「おん・・・追いかけてきてたら今頃、街大混乱だったな。」
レンは真面目な顔で答える。
「ええ。きっと。」
「やっべーなぁ・・・シェン大佐は?なんて?」
「それが・・・さっきのショウエイみたいなワクワクした表情を浮かべていたんですよ。」
「うむー・・・その幻獣らを抑えられる余裕か?」
「だといいのですが。。。僕、何かに巻き込まれそうなザワザワした予感がします。」
「・・・俺も。そんな気がしてきた。」
ショウエイとレンはぶるっと肩をすくめた。
読んでくれてぇ ありがとうぅっ