少年時代
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25年前くらいに書いていたものを構成しなおして、つらつらーと書いていきます。
すみません、その頃に影響を受けたゲームとか丸わかりな話になっていると思います(´ー`)
読みにくいところとかあると思いますが、すみません ごめんなさい。
更新途切れるかもですが、何かに残しておきたくて書き始めました。
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殺気だった帝都から少し離れた田舎の村。
広くない畑の間の道。
どんよりした天気だが、子供たちの元気な声が響き渡る。
木の棒を振り回しながら走り回る子供たち。
「一本取ったら今日のおやつは没収な!!」
「ちょっと待ってよー!ショウエイに勝てるわけないじゃないか!!」
「ひーっ」
チャンバラというより、黒髪の少年が、2人の赤毛の少年たちを追い回している。
「ショウエーイ!!見て見てーーっ!」
綺麗な金髪の少女にも見える少年が、ショウエイたちを追いかけて走ってきた。
「ん?」
ショウエイが振りかえる。振り回していた木の棒が、追いかけられていた少年の額寸前でピタッと止まる。
「うぎゃひっ!!」
ショウエイたちのもとに金髪の少年が駆け寄ってきた。
「ほら!みて!!!火の玉出せたー!!!」
「お!おーーーーーー!レン!すげーな!!!」
小さな手の平の小さな青い炎をショウエイに差し出す。
「レン!すげー!火の魔法使えるようになったんだな!!」
へばっていた少年たちもレンの手のひらの小さな青い炎をのぞき込む。
「これ熱くないの?」
「触っていい?」
「僕は熱くないけど、触ったら熱いかも?」
「触ってみようぜ・・・熱くないよ!ぜんっぜん熱くない!すげーー!!」
珍しい虫でも捕まえてきたようにはしゃぐ少年たちの輪。
「俺の剣術とレンの魔法で世界征服だな!」
「そうだね!!!二人で世界征服!!」
ショウエイとレンは小さな拳を大きく掲げた。
「兄ちゃんたちにはついてけねーよ。」
「ほんとほんと」
レンの魔法の火の玉をまじまじと見ていた少年二人も笑いながら小さく拳を掲げた。
「みんなー戻ってきてー!イチゴがあるよー!」
畑の近くにある教会に隣接する建屋の出口から、女性が少年たちを呼んでいる。
「おっしゃー!イチゴ倍増ゲットー!」
ショウエイが棒を振り上げながら走っていく。
「ちょっと待ってよーー!最後のはカウントなしだよーー!!」
少年たちが出口の横にある井戸で順番に手を洗い、建屋に入っていく。
子供たちが狭いテーブルにつく。
六人の歳の近い子供たち。
四人の少年、二人の少女。
体の小さなおさげの女の子が、子供たちを呼んだ女性のお手伝いをしている。
もう一人の女の子は足をパタパタさせ、テーブルに肘をついてその様子を見ている。
子供たちを呼んだ女性、この子たちの母にしては少し歳をとった女性だ。
ちょっと形の悪い、真っ赤なイチゴを人数分分けている。
均等にのせたお皿を、子供たちの前に並べていく。
「はい。みんな手は洗ったわね。」
静かに手を組み頭をさげお祈りをする。
子供たちもそれに続く。
「農場のグリンおじさんからいただいたのよ。おいしく食べてね。」
「バチェ。一本分なっ」
ショウエイが隣の少年のイチゴを一つ、自分の皿にのせる。
「あ!」
「スリュウは二本分だぞ。」
今度はその隣のお皿からイチゴを二つ取って自分の皿にのせた。
「あー・・ん・・・」
ショウエイはイチゴをきれいに山積みしてご満悦。
それを見ていた女性が、改めて、みんなに言う。
「あ、そうそう。綺麗に咲いていた花壇のチューリップ、誰かが花びらだけきれいに落としていました。 さて誰でしょうねぇ?」
みんなの視線が一斉にショウエイに向いた。
「・・・・」
遠くを見るショウエイ。
みんなじっとショウエイを見る。
「うー・・・はいはい 俺が、や・り・ま・し・たっ!」
「はい。じゃあイチゴは没収ね。」
女性がショウエイのお皿からイチゴを3つ取った。
「あー!ばばあ!俺のイチゴーー!!」
「ショウエイが目隠しして花壇のあたりで棒を振り回していたの、私は見てたわよ。」
にっこりしながらショウエイと目を合わせた。
「ち・・・・」
口をとがらせながら椅子に座りなおすショウエイ。
「さ、おいしくいただきましょう。」
女性が3つのイチゴを それぞれあったお皿に戻した。
酸っぱいだの甘いだの言いながら、勢いよく食べだす子供たち。
「ショウエイ、あなたは剣の才能があるのはよく知ってるわ。でもね、棒を振り回すのは危険なのよ。
人を傷つけたり、殺めたり・・・だからちょっと考えたの。」
「んなにゅ?」
イチゴを頬張りながら返事をするショウエイ。
「ストロゴさんに剣術を教えてもらいなさい。」
「!!んぐっ」
目をまん丸くしてショウエイは女性の顔をみた。頬張ったイチゴを丸呑みした。
「まじか?」
「ええ、あなたにやる気があるのなら教えてくれるそうよ。」
「あるある!!!ちょーあるっ!」
テーブルの上の皿をひっくり返しながらさっきまで食べていたイチゴより 女性の話に食らいつく。
「その代わり。―ちゃんと学校の授業に出ること。稽古は学校が終わってからとお休みの日。夕飯前にには戻ってくること。あ、あとで裏の雨どいを直しておいてね。
もちろん、朝はいつも通り、きちんと動物の世話と家の作業よ。ストロゴさんの家まではちょっと遠いけど、できる?」
「うんうん!できる!できる!ちょーできる!」
いつもぶっきら棒に返事をするショウエイだが、目を輝かせ女性の目を見つめる。
ストロゴはこの村のはずれの山に住んでいる少し変わり者の男だ。
剣の達人といわれ、この小さな村では知らない者はいない。
そんな人に剣術を教えてもらえるなんてショウエイ少年にしてみれば、ヒーローに弟子入りするようなものだ。
「あと・・・レン、あなたもちゃんとした魔法を覚えてもらわないとね。いつか火事にされそうで怖いわ。」
女性はくすっと笑って、お行儀よくイチゴを食べているレンの前に、分厚い本を差し出した。
「なにこれ?」
レンはその本を受け取り、こちらも目を輝かせる。
「魔法書だ!!!」
「あまり良いものを買ってあげられなくてごめんね。」
「ううん!!すごい!! ありがとーマム!」
「今日は7年前にレンがここに来た日よ。お祝いって言ってはなんだけどね。いつも年下の子たちの面倒をみてくれているご褒美。」
「なになに?」
イチゴを頬張りながら周りの子供たちもその本をのぞき込む。
「・・・さっーぱりわかんなーい。」
隣に座っている女の子が不愛想に 本のページを横目で見ながら言った。
「クレイも魔力あるんだからきっとわかるようになるよ。」
レンが本から視線を離さず言った。
「あたしは、魔力なんていらないもん。剣で強くなるんだもん。」
「あら、クレイは国のテストで魔法力があるって言われてるのよ? もったいないよぉ!わたしは魔力もないし・・・」
おさげの女の子がクレイにくっつきながら言った。
「使えなきゃ意味ないじゃん?」
クレイは、おさげの女の子に笑って言った。
「そのうち絶対使えるよー!」
「そうね。・・・そしたら一番最初にミルの病気なおしたげる!」
「わあい!」
この子たちはこの修道院で生活している孤児たちだ。
マムと呼ばれている女性は村の学校でもある、修道院の院長。
厳しい生活で八方を得ず預けて行ったのだろうか、それぞれの事情でここにいる子供たちだ。
決して裕福ではないが、6人の子供たちは楽しく暮らしていた。
レンとショウエイは1番年長で同じ学年だ。
クレイとミル。女の子2人はレンたちの1学年下。
バチェとスリュウは2学年下。
ショウエイは小柄で、やんちゃですばしっこい。かなり我が道を行くマイペースだが、実はとても仲間思いだ。
レンは女の子と間違われるくらい物腰も優しい。小さいころから国のテストで高い魔力を秘めていることがわかり、たまに魔法学校がスカウトに来る。生まれが良いのか、小さいころから物静かで穏やかだ。
クレイは、ショウエイのチャンバラ相手。国のテストでは潜在魔力があると判断されているが、本人は全く自覚がない。ショウエイよりやんちゃかもしれない。
ミルは心臓が悪く体が弱い。でも明るくとても優しい女の子。
バチェとスリュウは、血のつながった双子だ。まじめにマムのお手伝いをするいい子たちだ。
子供のころに魔力があっても、実際、形にできるのはほんの少し。
そのために高いお金を払い魔法学校に通わせるのは平民には無理な話だ。
しかしレンは、自分の力でどんどん魔法を覚えていく。
実際魔法学校に行ったとしたらどれだけのものなのだろう。
ショウエイは全く魔力はないが、高い身体能力と剣術のセンスを持っている。
レンとは、とても仲が良い。レンと世界征服を夢見ている少年だ。
これはショウエイとレンの数年後のお話です。
読んでくれて ありがとう