78. ある日のある冒険者
<チーム名:ブラックゲート>
戦士 シュミット、人間男性、LV72
狩人 マーシャル、人間女性、LV64
回復士 アーサー、エルフ女性、LV70
魔導士 ルード、人間男性、LV86
78. ある日のある冒険者
<イルン東方緩行線電車の中>
マーシャル「ビトリアから、イルンのギルドまで行くのに、ほんとに楽になったわね。」
アーサー「ほんの1年前までは、移動手段が馬車か徒歩しかなかったのに。
こんな大きな建物が、高速で移動し、その中に乗るとは思いもしなかったわよ。」
マーシャル「ホームグランドのビトリアの冒険者ギルドは規模が小さく、
依頼がない時は、イルンの冒険者ギルドまで、いつも行く身としては、
この電車開業、ほんとに便利ね。途中、イルン東駅と中央市場駅で、
路面電車に乗り換える必要があるけれど、ほとんど歩かずに2時間もかからずに行ける。」
シュミット「体がなまるな。」
ルード「全てあの国王発案だそうだ。大したものだ。あの体験した銃もすごい。」
マーシャル「あの国王、あのイルン東駅の高層ビル…だっけ?
あれも発案したそうよ。
なんであんな高い塔が1年もかからずに建てられるのよ。
ところで、依頼確認の帰り、東デパートに寄っていい?
洗濯機という装置が発売され、もう石鹸でモンスターの返り血を
浴びた服を洗わなくていいのよ。」
シュミット「俺は、返り血ぐらい少しぐらい浴びても、構わないんだがなあ。」
マーシャル「デリケートじゃないわね。機械がすべて洗ってくれるそうよ。
実演をしているので、見てみたいわ。」
アーサー「東デパートか。あそこのレストランで今度新しいメニューが出たそうよ。
『秋のキノコのうどん』
一度食べてみたいわ。
あとそう、リールインペリアルホテルも開業したそうよ。
あそこの3階のレストラン『Urban』でこの秋の限定メニューがあるそうよ。
今日あそこで一泊しない?」
シュミット「何言っているんだ、電車で自分の家に30分で帰れるじゃないか。なんで止まるんだ。」
マーシャル「それだったら、私も止まってみたいわ。24階のスカイレストランで
『夜景』というものを見てみたいわ。
最近復旧してきた、建物のライトがたくさん見え、星みたいで、きれいなのよ。」
ルード「無理言いなさるな。先日の国王の依頼以降、
ここ最近、実入りのいい依頼を受けていないではないか。
節約しなければならん。」
ほかの乗客「その剣のさや、私の荷物にあたって、邪魔なのよ。」
シュミット「すみません。」
ルード「網棚に置いたらどうだ?」
シュミット「すでにタワーシールドを置いていて、置くスペースがないよ。」
シュミット「とにかくだ、今日は依頼を確認し、東デパートで洗濯機の実演を見たら、
すぐ帰ろう。」
アーサー「電車は23:30まで走っているわ。多少の寄り道ぐらい大丈夫よ。」
シュミット「今度だ。」
マーシャル&アーサー「けちー。」
シュミット「ああケチだよ。だから馬車ではなく、電車を使っている。
馬車だと、ビトリアからイルンまで9600Liかかるところ、電車だと1人820Li。
(1Liに≒1円)4人で3280Li。回数券を使うと、1人640Liで、7040Li節約だ。」
アーサー「それで美味しいもの食べましょうよ。」
シュミット「分かった、じゃあ東デパートのレストランで食べよう。」
マーシャル&アーサー「やったー。」
作者のうしねこです。
今回はある冒険者の最近の日常の1コマです。




