71. 白黒写真の開発
<白黒写真のためにイスナルド医療学校長とアシモフ設計事務所長に依頼したこと>
➀硫酸バリウムの白色結晶をゼラチン液に混ぜ、塗布した紙に、樹脂コーティングした印画紙を作ってほしい。
➁臭化銀を含むゼラチンを塗ったガラス板を遮光した状態で作ってほしい。
➂ハイドロキノンが入ったアルカリ溶液を作ってほしい。
➃酢酸液とチオ硫酸ナトリウム溶液を作ってほしい。
➄ネガフィルムを引き延ばし、印画紙に転写する装置を作ってほしい。
➅ネガフィルムのガラス板を装着できるピンホールカメラを作ってほしい。
71. 白黒写真の開発
先日の政府庁舎ビルが完成した時など、記念行事を写真に残せたらなあ、
と思い、設計事務所と医療学校へ赴き、相談する。
イスナルド医療学校長とアシモフ設計事務所長は頭を抱えながらも、
だいたい相談には乗ってくれる。
白黒フィルムの原理として、まずポジフィルムの作成を目指す。
これは、臭化銀を含むゼラチンをガラス(できれば透明なプラスチック膜)に塗ったもので、
光にあてると、あたったところの臭化銀が分解して銀の黒い粒子に代わる性質を利用している。
光が強く当たれば当たるほど、銀の黒い粒子にかわるが、この時点ではごく少量の変化量にとどまる。
そのため、まだこの状態だと、目視では変わったかどうかわからない(この状態を潜像という)ので、
変化したところの臭化銀をさらに分解するハイドロキノン等の薬剤を使用する。
これにより、光の当たったところの像の明暗がはっきりとする。
やり方は、暗室内で撮影した臭化銀を含むゼラチンを塗ったガラス板をアルカリ性のハイドロキノン溶液に入れる。
徐々に臭化銀が分解されていくが、分解しすぎると、黒くなりすぎ、像が分からなくなるため、
適度な時間を見計らって、最も像の明暗がついたところで、酢酸溶液を入れて、溶液をアルカリから中性にする。
ただし暗室から出すと、残っている臭化銀が分解されていくので、チオ硫酸ナトリウムで臭化銀を溶かす。
この状態のガラス板を水洗いし、溶液を流して、完了である。
できた白黒の濃淡が逆になっている像が移っているネガフィルムを印画紙に焼き付ければ、写真の完成である。
印画紙も臭化銀が混ぜられたゼラチンが塗られており、
ネガフィルムと同じ工程をたどり、
➀ネガフィルムと印画紙を重ね、光を当てる。この時、ネガフィルムを引き延ばす工程も行う。
➁ハイドロキノンを入れたアルカリ溶液で濃淡をつける。
ちょうどいい濃淡のところで、酢酸溶液を入れる。
➂このままだと、残った臭化銀が変化し続けるので、チオ硫酸ナトリウムで溶かし、流す。
➃水で洗い流して、完成。
ところで印画紙の原版はバライタ層と薬剤の吸収しにくい樹脂コーティング処理を行ったもので、
バライタ層は硫酸バリウムの白色結晶をゼラチン液に混ぜ、塗布したもの。
その上から樹脂コーティングを行う。
そこでイスナルド医療学校長とアシモフ設計事務所長に依頼する。
➀硫酸バリウムの白色結晶をゼラチン液に混ぜ、塗布した紙に、樹脂コーティングした印画紙を作ってほしい。
➁臭化銀を含むゼラチンを塗ったガラス板を遮光した状態で作ってほしい。
➂ハイドロキノンが入ったアルカリ溶液を作ってほしい。
➃酢酸液とチオ硫酸ナトリウム溶液を作ってほしい。
➄ネガフィルムを引き延ばし、印画紙に転写する装置を作ってほしい。
➅ネガフィルムのガラス板を装着できるピンホールカメラを作ってほしい。
一週間後、出来上がったとの連絡があり、再度、設計事務所と医療学校へ。
薬剤は医療学校が、引き延ばし機やピンホールカメラは設計事務所が作ったらしい。
設計事務所と医療学校の中央にあるカフェテリアで、
ピンホールカメラでイスナルド医療学校長とアシモフ設計事務所長と一緒に撮影したのち、
ネガフィルム板の現像、印画紙への転写と現像を行ってみると、
写っている。
白黒ではあるが、私と両名とカフェテリアの像が写っている。
今後、ピンホールカメラとネガフィルムガラス板、現像の商売の定着や、
ガラス板ではなく、樹脂のネガフィルムができれば、映画のフィルムと映写機で、
映画館もできる。
今後がいろいろと楽しみである。
作者のうしねこです。
今度は白黒写真です。
国王の無茶ぶりに、イスナルド医療学校長とアシモフ設計事務所長は無理やり…ではなく、
何とか協力してもらっています。




