7.農業営団と交通営団
<登場人物>
40歳くらいの男性ルーカス農業営団団長
50代くらいの男性で、まきひげを生やしているオスマン交通営団長
<登場場所>
農業営団
交通営団
7.農業営団と交通営団
翌朝、分かっていたことだが、またミュースリー。
野菜も出ない。
食事後、会議室のテントに行き、内政大臣を捕まえる。
「さすがに地震でもミュースリーだけでは、よくないよ。野菜とかの流通はどうなっているのだ?」
内政大臣曰く、
「この国には農業営団というのがあり、農産物の管理をしている。町にこの国の本部があるので、聞いてみるとよいですよ。」
私は一応国王なのだが。
話を聞くと、以前はこのような組織がなかったのだが、大飢饉が数十年前に起き、冒険者ギルドのように、国を超えた組織として成立したとのこと。
飢饉などの食料の融通をしているらしい。
ちなみに「営団」は、完全な民間でもない、国の組織でもない、間に入って中立を保っている存在とのこと。冒険者ギルドも、正式には「相互協力営団」というらしい。
その他営団は、漁業営団、肉類畜産営団、台車で荷物など定期的に運搬する交通営団、住宅の供給管理をする住宅営団、等があるらしい。日本にも、いくつかこのような組織があったようだが。
今日も町に出かける。今日のお供は内政大臣と王子。
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イルンの南側町はずれに農業営団がある。大きな農産物を入れるサイロ?の様な石積みの塔がある。
受けつけに入ってすぐ、団長室に通された。団長室に入ってビックリ、日本のJ〇農〇の旧ロゴに似たマークがある。丸の中に麦と右側にはラテン文字のȸが3つ、ついている。
麦と果実が豊作を表しているらしい。
団長がやってくる。
「お待たせしましたな。小麦の育成状況を確認していたもので。団長のルーカスと言います。」
見た目40歳くらいの男性で、団長の左手には、サンプルの小麦の苗が。
今、早春とのことで、麦の芽が出終わり、伸びてきているシーズンで、初夏に穂が枯れ、収穫となる。
だが、サンプルはどれも成長した苗の茎が細いような気が。
私が市議会議員だったころ、農〇の票固めを行うため、大麦畑と麦みその製造工場を視察したことがある。視察に行った頃は2月。
大麦も秋に種をまき初夏に刈り取る作物。
脳内検索して、1つの仮説が。
冬の寒い時期にたい肥をやるのはいいが、出てきた麦の芽を踏んで、霜による根浮きを防ぐのと、茎を傷つけ、吸引水分量を減らすことにより、凍結や乾燥に耐性を持たせる作業をしていないのでは?
「これは毎年栽培する麦のサイズですか?」
「ええそうですが。今年はいつもに比べ寒いのですが、順調に育っています。」
麦踏みのことを何度も説明する。
「1列の苗床だけでもいい、とにかくテストでやってみてくれ。」
「わかりましたが。」
団長の顔はぽかーんとしている。
「ところで、地震で麦以外の作物の流通が滞っているようだが、現状を教えてほしい。」
この時期、通常キャベツ、かぶ、レタス、カリフラワー、ブロッコリーが取れるらしい。
だが、地震で町のいたるところの道がふさがり、市場に配達できないらしい。
王城も直接農業営団からではなく、市場経由で納入されるらしい。
「直接届けられないか?王城に。」
「分かりました。」
この後、団長に誘われ、農場を視察する。
レタスが丸い球ではなく、ラッパ状で、食べると、ほろ苦かった。
キャベツも丸くない。
かぶは白い球ではなく、紫が混ざっている。
カリフラワーはすでに収穫後とのこと。
今日から野菜が食べられる。
そのあと、街中に戻り、荷物輸送を手掛ける交通営団に向かった。
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交通営団は、荷台車がいくつも停車している車庫の隣にあり、まさに運送会社。台車を引く、牛やロバなどの飼育小屋も併設している。
日本では地下鉄でこのような組織はあったようだが、まったく違う。
建物に入ると、受付に声をかけられ、団長室に連れていかれる。
農業営団と同じパターンである。
部屋に入ると団長が待っていた。
50代くらいの男性で、まきひげを生やしている。小太りである。
「オスマンといいます。」
「いま、瓦礫を町の外に運ぶ人員がほとんどで、人員が足りていない状況です。冒険者ギルドからの応援も来てもらっています。」
石の瓦礫は重く、荷台に持ち上げるのでも苦労しているそう。
食料の運搬が滞りがちなわけである。
人を運搬する台車はあるにはあるが、荷台車を改造したもので、幌と、長椅子を置かれただけであることを説明される。台車ばねがなく、乗り心地悪そう。
牛引きの台車が最大運搬量で、2頭の場合、人だと最大12人乗れるそう。
人の運搬料が少ない。
将来的にここで、軌道馬車や路面電車の運営をしてもらうことになると思う。
それまでに、運搬力の高い、動力と乗り心地のいい客車を開発しなければならない。
「我々は今人員募集をかけていて、早く町が復興できるよう、対応しています。」
早々に、交通営団を退散する。
作者のうしねこです。
日本でも昔「営団」組織はあったようですが、この世界にもある様です。
それにしても、誰も国王に対し丁重にもてなすことはせず、親しみを持って接していますね。
知事が転移する前、民衆に対し、この様に接していたのでしょうか?