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383. その後

383. その後


私、国王が空のはるか上、宇宙から戻って、1週間が経過した。

この惑星に変化はなかった。


私は、1週間待ち続けたが、2人が戻ることはなかった。


ディアンヌは再度魔法が使えなくなることよりも、

あの2人が戻ってこないことの方が悲しい出来事の様で、

元気がない。


いや、元気がないのは、あの空の上にいた、全ての者がそうだった。

あの、いつも元気でみんなを明るくする冒険者ギルド長のリアでさえ、

殆ど会話が無く、ため息をつくばかりだった。


中世の様な時代から、いろいろな物や知識が生まれ、

一見この世界は豊かになった様だが、

あの宇宙での体験と知識は、

それをはるかに凌駕する物だった。


仲間を失ったことに対する悲しみは、どんな状況でも、

忘れることができない。


あの宇宙での体験から2週間、3週間経過していき、

徐々に元の生活に戻りつつあるが、

心に失ったものを補うことは、なかなかできなかった。


この世界は再び魔法を失い、科学技術を重視する方向に政策がとられることとなった。


デモニア連合国として、リール国、ギエフ民国、フクセンブルク公国の3国が新しく生まれ、

はじめの内は、元の3国でギクシャクしたやり取りがあったが、徐々に1つの国として、まとまりつつある。


3国の連合国が成立して1年後、正式に国家元首は私が勤めることになった。


その頃には、北側に位置しているホスナブルック王国が、デモニア連合国の一員となり、

南の山岳国ボルン帝国は、無血の政変が起こり、新政府が樹立する。


デモニア連合国から大使が派遣され、鎖国が終了、正式に国交が結ばれ、

人や物の行き来が活発になる。


私は、そのほかの国にも積極的に外交を行い、

国交や条約を結んでいった。


リール国で生まれた技術や産業、科学は、デモニア連合国中に広がり、

同盟や条約を結んだ国にも波及する。


これらは、もう私一人で、コントロールできる領域ではなくなっており、

国中の国民が学び、研究し、新しい物を生み出している。


私個人の私生活で変わったことは、

まず、王妃のシモーネとの間に1男1女が生まれた。


名前は、男児はモネロ、女児はレネとした。


そして、実はもう1人と結婚した。

それはリアで、リアの母であるリディ、いや、リアの家族のリギルト、リリアン、リナ公認の元の結婚となった。


この世界ではエラい者は一夫多妻、またはその逆で、多夫一妻でないと、いけないらしい?

リアの家族はイルンに引っ越し、家を構えることになった。

そして、紹介を一族で引き続き営んでいる。


リアとの間にも1男1女が生まれ、リディ一家の習慣に従い、

「リ」を1文字以上入れることとし、

名前は、男児はリゲル、女児はリーゼとした。


そのほかのメンバーのその後は、

ディディエ王子は、本人の希望により、政治の世界から一切離れ、

大学で物理学の研究者となった。


ハーヴェ内政大臣やプレボー大臣、トーステン財政大臣は相変わらず、

国の大臣を務め、忙しく働いている。


アリドラ軍務大臣は、大臣を辞め、なんと、冒険者になった。

いつか冒険者をしてみたかった、とのこと。

しかし、50歳で冒険者になるとは。

軍務大臣は、元フクセンブルク公国親衛隊の副隊長、

レイチェル新軍務大臣が務めている。


ホファー外政大臣は引退し、

キャンピングカーを買い、

妻と世界中を回っている。


サヴァリアント局長は相変わらずだが、

なんと、ボルン帝国を一緒に旅した、エージェント01Mオリビエは外務大臣になる。

いや、オリビエはエージェントとして、世界中をまわっていたので、外務大臣に向いているのか?


科学技術大臣はイリーナが今は務めている。


イスナルド医療学校長とアシモフ設計事務所長は、

相変わらずで、2人共いつも言い争い、部下には任せられないと、

設計や研究を自らしている。

あの2人は似ていて、ひょっとして仲がいいのか?


リアが私と結婚し、冒険者ギルド長を辞めたため、

なんと後任は冒険者チーム、ブラックゲートのルードがギルド長に就任した。

意外と言うか、まあ、一緒に冒険した仲の者が冒険者ギルド長になったので、

特に問題は起きなかったが。


冒険者チーム、ブラックゲートの他のメンバーの戦士シュミットは、

同じ仲間の回復士アーサーと結婚をし、

狩人マーシャルはイルン内で、

雑貨屋を始めたとのこと。


ブラックゲートは解散したが、時々、元メンバーで集まり、

昔話をしているとのこと。


この世界で魔法を使える目途が完全になくなり、

ディアンヌは魔法錬金営団長を辞め、

なんと、意外な人と結婚をした。

なんと息子、ディディエ元王子である。


と言うことは、

私の娘、ディアンヌと言うことになり…。

リアにとってもディアンヌは娘、と言うことになる。

娘、娘、娘…。


リアも、

リア「どうやって、今後ディアンヌと付き合えばいいのかしら?」

なんて言っている。


ここだけの話、私や、まして息子にとっても、

ディアンヌは年上なのに…。

複雑だ。


ディアンヌの師匠のミネアも、

ミネア「まさか国王の息子と結婚するとは。」

と言って、驚いていた。

彼女は今、完全に引退し、イルンの町で悠々自適の生活を送っている。


リアやディアンヌと仲が良かったクリスチーネコック長は、

なんと、リールインペリアルホテル総支配人ウルリッヒの後任となる、

リールインペリアルホテル新総支配人となる。

リアやディアンヌも、『あの子が』と驚いている。


オスマン運輸大臣は、大臣を辞め地元に戻り、

モンリュソンの市長となった。


今、運輸大臣は、ギエフ民国出身のエリス元ギエフ建設大臣が務めている。


また、もう1人、市長になった者がいた。

それは、ヒシーニ建設大臣で、前市長でヒシーニ建設大臣のいとこであった、

オカムル市長が亡くなり、それが彼が地元に戻り、市長になる決意をしたきっかけだった様だ。


今、建設大臣は、元フクセンブルク公国冒険者ギルド長のカールフォンヘッセンが務めている。


私国王が宇宙から戻って3年後、

私は国王の座から降りることにした。


この新しい国、デモニア連合国が、完全に選挙による民主主義国に移行し、

新しい国のトップは、民間から選ばれた大統領になる。


国民からは、国の象徴として、国王として残る要望もあったが、

前世の時から含めて、もうずいぶん長い間、政治を行ってきた。

さすがに疲れた。


それに、1人の人間がいつまでも、国のトップに居座ってはいけないのだ。


引き続きイルンに暮らすが、

郊外に、ほどほどの大きさの家と、

警備を数人つけてもらい、その家に引っ越し、完全に政治の世界から引退をした。


妻のシモーネとリアも了承済だ。

私が政治の世界を離れたので、シモーネは大学で働き、リアは一族の紹介で働く。

私も、これまでのことを本に書き、作家として、暮らしている。


思い残すことと言えば、

最後まで、ユリアとエリアが戻ってこなかったのが、

唯一の心残りだ。

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