380. 戦闘準備
380. 戦闘準備
反物質のスペースデブリを放出してから3日程経過し、
惑星の近くにいると思われる敵艦の周辺に近づいていった。
ユリアとエリアが反物質をセンサで追いながら監視していたが、
磁場が揺らぎ、反物質が突如消えた。
ユリア「国王、敵艦が反物質を消失させました。その時のエネルギーの揺らぎを捉え、
敵艦の位置を特定しました。敵艦にも質量がありますので、遮蔽をしても、
質量による周辺空間の揺らぎを特定できれば、敵艦の位置がわかるわけですね。」
「そうなのか。敵艦は反物質を消失させた後、移動をしているか?」
ユリア「そうですね、反物質が流れてきた方向に進み始めました。
つまりこちらに向かっているということですね。
相手にこちらを検知させないために、敵艦の位置に対して、
この恒星には『盾』になってもらっていますが、
距離を詰められた場合、こちらに策があります。
この恒星に、この艦からのエネルギーをぶつけて、無理矢理『フレア』を起こす方法です。
敵艦にとって、近づいていく軌道の範囲内に、フレアを出す恒星がある、と認識をさせるのです。
フレアによって、磁場の乱れから敵艦の遮蔽が乱れますので、回避ルートをとるかどうか、
見極めるというのが、次のアクションです。
まあ、この艦の最大の利点は、『高出力のエネルギーを放出するディフレクタ』ですので、
その手法を取ってみます。
エリア、一つお願いがあるのだけれど、機関室に行って、ディフレクタから高出力のエネルギーを数発撃てる様、
エネルギーの生成プログラムを起動して、準備してほしいのだけれど。
敵艦はスピードを上げていますので、
この調子だと8時間後に、この恒星からのフレアが届く範囲に到達します。
それまでにお願いします。」
エリア「わかりました。可能な限りやってみます。」
エリアは操縦室の外へ出ていった。
続いてアシモフとガントンも出ていこうとするが、国王は制した。
「今はエリアの邪魔になることは、控えてほしい。」
アシモフとガントンは思いとどまる。
アシモフ「わかった。」
ユリア「国王、作戦を説明しますね。」
まずは、敵艦がフレア到達範囲に入ったところで、
この艦からは恒星に向けて、ディフレクタでエネルギーを放出する。
そして、惑星のフレアによって、敵艦を攻撃する。
この艦から直接攻撃するよりも、効果があるそうだ。
それとほぼ同時に、この艦の周辺に向けて、再度ディフレクタでエネルギー放出する。
惑星のフレアからこの艦を守り、ディフレクタのエネルギーと惑星のフレアの反発力で、
この艦を急発進させ、敵艦との距離が離れる様にする。
そして、敵艦に向け再度ディフレクタで、エネルギーを放出し、攻撃するという作戦らしい。
ディアンヌ「要は、魔法を生成する巨大なエネルギー源を3回出現させ、
このような作戦を行う訳ですね。」
ユリア「そうです。3回目のエネルギー放出で、もし敵艦が攻撃可能だった場合、
何回かディフレクターのエネルギー放出を武器やこの艦を覆う盾として使いますので、
それで、エリアにディフレクタのエネルギーを書き集められる様にお願いをしたのです。」
「あとはユリアとエリアに任すしかないな。現時点では。」
ユリア「最善を尽くします。」
その後、2時間程経過し、エリアから、ディフレクタ最大出力の8回分のエネルギーを確保できる旨、
機関室から連絡が入る。
現時点では、エネルギーを蓄えるこの艦のメインキャパシタがこれ以上のエネルギーを保てないとのことで、
補助キャパシタでも、蓄えられる様、改造に入ったとのこと。
ユリアは、恒星をスキャナで確認し、どの部分にエネルギーをぶつけたら、
フレアが最大になるか、調べている。
国王を始め、ユリアを除いた惑星ドラクルスの住人には、
ただただユリアとエリアが行っている、戦闘前の作業を見守るしかなかった。




