375. 惑星リノベーション船
375. 惑星リノベーション船
国王達はエリアに対し、この船のことについて事情を聴いていた。
エリア「この船の目的ですか?」
国王「航海記録には、惑星の環境保全を行っていたということが書かれていたが。」
エリア「そうです。この惑星は恒星から距離が遠く、
大気組成の調整と恒星からのエネルギーを増幅してこの惑星に送っていました。
いわゆるエアコンですね。」
国王「エアコン?!」
エリア「実は私、地球と言う惑星で製造されまして。」
国王「地球!…」
地球の文化のデータパックは最初期に導入済みです。
だからエアコンという言葉を知っているのです。
いわゆる、地元の言葉と言いますか…。」
エリア「あなた、元々は地球人ですよね。
見た目は、この惑星の人物ですが。
先程の反応を見ているとわかります。」
国王「まあ、そのことは後で話す。
まずはエリアとこの船の経緯について説明してほしい。」
エリア「わかりました。まず、私のことから話をします。
私は、今から4312年後に製造されました。
地球の西暦でいえば、西暦7012年4月12日ですね。
南極のアンドロイド製造工場で生まれました。」
国王「その頃の地球はどうなっているのか、教えてくれないか?」
エリア「この頃の地球は国という概念はなく、
人間が生きていく上でのサービスを提供する区画に分けられています。
ユーラシア区、北米区、南米区、オセアニア区、アフリカ区、南極区ですね。
それらの区を地球中央政府がまとめています。
当然この時代では、地球以外にも多くの住みやすい惑星を探し、
そこに移民し暮らしていたのですが、なかなか環境の整った惑星が見つからず、
惑星の大気組成や恒星からのエネルギー、まあ、太陽光エネルギーみたいなものですね、
これを調節できる船を作り、それらをアンドロイドと一緒に過去に送って、
惑星を住みやすい様に、気候や大気を整え、植物や動物を進化させ、
リノベーションする、そんな船なんです。
この船は。」
国王「まあ筋は通っているな。でも、この船に惑星人のクルーが乗っていた様だが。」
エリア「それはですね、私が製造された時代よりも前で、時間を超えられる様になった後の時代、
大体、西暦3260年くらいですかね。
宇宙海賊が現れ、このリノベーション船が狙われる様になったのです。」
国王「西暦7012年に作られた船が西暦3260年に作られた船に乗っ取られるのか?」
エリア「それはこの時代の海賊に、資源を代償に技術や物を与える他の惑星の組織が現れ、
この組織が宇宙海賊をサポートしているのです。」
エリアは自分が寝ていた作業台の脇の戸棚から銃?の様な武器を取り、
エリア「私がこの船でこの惑星の環境保全業務についていた時、宇宙海賊が乗り込み、
この武器でやられたのです。
宇宙海賊の正体ですが、西暦9860年からやって来たソリア惑星人です。
実際にはソリア惑星人に洗脳された地球人を含む、他の惑星人が手先に使われます。
」
国王「何で他の惑星人を洗脳して、手先に使うんだ?」
エリア「ソリア惑星人、酸素と窒素が毒性物質だからです。
彼らはアルゴンとクリプトン混合ガスを吸って生きているからです。」
エリアは、少し間をおいてから、
エリア「彼らの常套手段は、惑星資源の調査を行った後、
有用な物質があるとわかった場合、我々の環境保全船を奪い、
このガスで惑星を満たし、資源を確保する、という方法です。」
国王「ロカルノ主宰達はソリア惑星人に洗脳されていたのか。
でも、ロカルノを倒した今、ソリア惑星人はどういう手口に出てくるか?」
エリア「何人も洗脳者を送り込んできますね。」
国王「今までのロイド伯爵や、タオ委員達がそうか。」
エリア「何人も先王者達を倒してきたんですか?」
国王「そうなるな。」
エリア「洗脳されるものを、酸素と窒素のポケットを作ったソリア船に誘拐し、洗脳するんですが、
ソリア惑星人が、国王を危険人物と認識した場合、国王自身、または身近な物を転送で誘拐される場合が出てきますね。」
ユリア「対策を考えないと、大至急。」




