360. リディの息子、リギルト
360. リディの息子、リギルト
ギルド受付「ようこそいらっしゃいました、こちらで依頼を伺いま…。
く、臭い…。」
オリビエ、ユリア、リディーの3人は帝都マルティニーの冒険者ギルドに来ていた。
リディ「その、なんだ、裏庭で水浴びをさせてはもらえないだろうか?」
リディはギルドカードを提示する。
ギルド受付「わかりました、早く行ってください。次…」
リディ「時々血まみれになる冒険者がいるからな、そういう時は個々の裏庭で水浴びできることになっている。」
3人は裏庭で水浴びをする。
オリビエ「少し冷たいわね。でも贅沢は言ってられない。」
リディ「そうだね。」
ユリア「私は冷たさや暑さを感じることはできないのですが、温度はわかります。」
オリビエ&リディ「…。」
とりあえず、全身を体で洗い、清潔になった3人は、ギルドで毛布を貸してもらい、焚火で服を乾かす。
リディ「本当は着替えたいところだが。」
オリビエ「ほとんどの荷物を馬車に置いてきてしまったので、しょうがないですよ。」
リディ「とりあえず、これからのことだが、まずは息子のリギルトと合流する。
先程ギルドで確認したところ、ここから5区画先の宿屋に滞在していることがわかったから、
この後そちらに行く。」
オリビエ「よし、わかった。」
3人はギルドの受付に礼を言い、リギルトと合流するため、その宿に向かう。
3人は歩きながら、話をする。
ユリア「ところで、宿のお金はどうするんですか?」
リディ「実はだな、下水道で狩ったモンスターの討伐依頼が出ていたから、
その報酬をもらったんだ。」
オリビエ「えっ、いつの間に?」
リディ「毛布を借りに行った時だ。」
オリビエ「よく服がびしょびしょで行きましたね。受付に。」
リディ「いや、毛布を貸してくれたギルド員が気を利かして、処理してくれたんだ。」
オリビエ「で、幾ら位の収入になったの?」
リディ「まあ、2週間は3人で宿に滞在できる金額かな?3食込みで。」
オリビエ「そうなんですか。」
リディ「よし、ついたぞ、ここの宿だ。」
リディは受付で、とりあえず1週間の宿泊契約をした。食事付きで。
その時、リディはギルドカードを見せて、リギルトの宿泊している部屋を訪ねた。
ユリア「リディさん、何か話していますね。」
オリビエ「そうだな。」
しばらくして、宿泊のチェックインが終わり、リディが戻ってくる。
リディ「とりあえず、1週間部屋はとれたわ。
場所は3階で、リギルトの隣の部屋だ。
リギルトは夕方戻ってくるそうだから、その時に部屋を訪ねてみましょ。
その前にお腹がすかない?」
オリビエ「そうですね。」
リディ「では、食事にしましょ。今日、ほとんど食べていないから。」
それから宿のロビーの隣の小さなレストランで、食事をとることにした。
3人とも別々のメニューで、ものすごい勢いでがつがつと食べ始める。
そんな様子をユリアは見て、
ユリア「そんなに急いで食べると、のどを詰まらせますよ。
それと、急いで食べると太るそうです。」
2人は食べる手を止めた。
オリビエ「そ、そんなことないじゃない。体を動かせば、太らないのよ。」
リディ「…。」
2人は再び食べ始める。
オリビエ「?!」
ユリア「だからはやく食べない方が良いと言ったでしょう。」
オリビエは明らかにパンをのどに詰まらせた様だ。
ユリア「背中をたたくと良い様ですよ。」
オリビエ「んー-、んー-。」
ユリア「では行きますね。」
オリビエ「んーんーー、〇△◎□×ー---!!」
オリビエは気絶してしまった。
リディはその様子を眺めながら、食事を素早く済ませ、
ユリアは気絶したオリビエを肩に担ぎながら、確保した部屋に向かう。
その後、オリビエが気絶から回復する1時間ほど休んだ後、
隣の部屋に人が、いやエルフが入る音がしたので、
3人で、リギルトに会いに行く。
リディはリギルトの宿泊する部屋のドアをノックする。
しばらくしてドアが開いた。
リギルト「か、母さん。」
リディ「リギルト、久しぶり。少し状況をリギルトにも話さなきゃね。」




