357. 仮死状態のユリア
357. 仮死状態のユリア
リディ「しばらく姿を見せなかったロカルノ主宰が生きていたとはね。」
ユリア「…」
ユリアは重い口を開く。
ユリア「もしかしたら、彼はこの場所を検知するかもしれない。」
リディ「それはどういうこと?」
ユリア「彼は、いや、彼の世界では、電波と言う魔力を出して、
特定の電波干渉波を出す存在を検知するんだけれど…。」
オリビエ「???」
ユリア「…私が原因になるかもしれないということ。」
ユリアは間をおいてから、
ユリア「外部からの電波をキャッチしたら、場所を特定させないために、
活動を停止させなければならないことになりそう。
活動を停止させるというのは仮死状態になるということだから。
悪いんですが、その時は驚かずにフォローをお願いします。」
リディ「活動を停止?仮死状態??」
オリビエ「ユリア殿は、機械の一種のアンドロイド種族と局長から聞いているので、
ちょっとやそっとのことでは驚かないが、仮死状態になるとは。
電波が停止したことをどうやって知り、仮に電波が無くなったとして、
ユリア殿を復帰させるにはどうしたらいいのか、教えてもらえます?」
ユリア「電波の有無の検知と再起動のタイミングは私がします。
私から出る電波の出力を最小限に抑えるため、体を動かしたり、複雑なことを考えたり、
言葉をしゃべったりはできませんが。」
オリビエ「そうなんだ。わかった。」
この話の後、食料がないかどうか小屋を探したところ、
乾燥しきったチーズしかなく、リディが外の井戸から組んできた水と合わせて、
その日の夕食はとても簡素なものとなった。
オリビエ「固いわね、これ。」
リディ「口に入るものが無いよりはマシさ。」
食事の後、ユリアが起きて警備を行うことになり、
2人は寝ることにした。
ただ、2人が翌日起きると、ユリアは死体の様に動かなくなっていた。
リディ「昨日ユリアが話していた、私たちを捜索する電波が出ているのか。」
リディは小屋の裏にあった、薪を運ぶ台車にユリアを乗せて、移動することにした。




