34. アナログ電話の試作
<新規技術>
クロスバー交換機、クロスバースイッチ、公衆電話
34. アナログ電話の試作
ある朝、シモーネがアナログ電話の試作が出来上がったというので、
会議室で試作品を確認する。
そこには、受話器と送話器(受話器と呼ぶ)、ダイヤルが着いた、木製の箱が2つ置かれていた。
2つの箱は線でつながれている。その真ん中には、交換機のシンプルなサンプルがある。
線は10mほどあり、1つの箱を隣の部屋に持っていく。
受話器を取りダイヤルを回すと、信号の異なるパターンにより、
対象の電話機のベルが鳴る。ベルが鳴った受話器をとると、
相手方と会話ができる。
いつもの面々が会議室に集まってきた。
そしてしきりに、この電話機のサンプルを試す。
その間に、交換機の仕組みを確認する。
交換機の中身は主にリレーで、
ダイヤルのナンバーによって、信号のonの間隔が異なる。
コンデンサなどの容量差による信号の遅延などを利用して、
特定の時間on信号を送り続けないと、リレーがonにならない回路を作成している。
トランジスタが現状無いので、特定の電子部品しか使用できない。
回線が増えたらのことを考えると、日本にいたころのトランジスタとCPU、デジタル機器の便利性を痛感する。
「各部屋に欲しいですね。」
と王子が言う。
「番号を間違えると、ほかの人にかかってしまう場合があるんですよね。間違えない様に番号をメモしておこう。」
内政大臣が言う。
「大量の銅線と電話機、交換機を作るということですよね。構造上、1組が会話していると、回線が埋まってしまい、
ほかの人が離せないので、回線を増やす必要がありますわ。」
シモーネが言う。
「電話局に交換機を設置しなければならない。」
と私は言う。
電話の復旧は交換機次第でもある。
クロスバー交換機の構造を改良していけば、対応電話番号数を増やすことができる。
クロスバースイッチは、縦方向に並行したいくつかの信号と横方向のいくつかの信号を設け、
交差する部分にリレーでスイッチを設ける。
これらのスイッチ群を制御することで、複数の電話の選択交換機として使用できる。
原理はコンピュータの原型である。
その原理を以前シモーネとイリーナには説明している。
そして出来上がってきた交換機の試作機はチャンネルが縦横2本ずつの交換機である。
「あと、公衆電話も作らなければならないな。」
「公衆電話はとはなんですか?」
「硬貨を入れると、一定時間だけ話ができる電話機で、駅やデパートの様な、
公共の場所に設置されている電話だ。」
「1鉄貨(10リール)3分間話ができる。使い方は、鉄貨を入れて、電話番号ダイヤルをする。
形状と重さを確認したのち、
正しい鉄貨であれば、3分間だけスイッチがONになり、電話で会話することができる。」
「砂時計かゼンマイ機構で時間を設定する必要がありますね。」
「とにかく試作品を作ってみてくれ。」
という。
作者のうしねこです。
いよいよ電話がこの世界に登場します。
いま日本で使われている、デジタル方式の電話ではなくて、アナログ方式の電話です。




