329.食用モンスターの養殖3_海のモンスター養殖
他にもここの研究所では海のモンスターの養殖に関する研究を行っているようだが…
329.食用モンスターの養殖3_海のモンスター養殖
ダントン「実は、海に出没する商用価値のあるモンスターの養殖もここで行っているんですよ。」
と彼は言う。
リア「と言うと?」
ダントン「では、いくつかご紹介します。」
といい、ダントンは今いる建屋を出て、斜め向かいの研究棟に向かう。
研究棟に入ると、いくつもの水槽が置かれ、研究員がモンスターにエサをあげたり、
卵を採取したりしている。
ダントン「まずご覧に入れるのは、トゲトゲというモンスターで、いくつもの長いトゲを持ち、
近づくとトゲを飛ばして来るモンスターなのですが、このトゲトゲのモンスターを割ると、
中からオレンジ色の卵巣や精巣があり、これが食べられ、高級なモンスターです。」
リア「知っているわ。海岸線の岩場や海底に普段いて、船が近づくと針を飛ばしてくるアレですね。」
しかしリアは違和感を感じた。
リア「ここで買われているトゲトゲは針を飛ばしてきませんね。」
ダントン「そうなんです。これは今回養殖の研究をしてみてわかったのですが、
十分食料を与えると、このトゲトゲ、トゲを飛ばしてこないんです。」
と言って、ダントンは見慣れた、葉っぱが丸まっているあの野菜を手に持ち、
葉っぱをもぎって、トゲトゲのいる水槽に入れた。
ダントン「エサはこのキャベジです。」
ダントンがあげたキャベジの葉を、トゲトゲが器用にトゲを動かし、
口?と思われるところに葉っぱを持ってきて食べている。
リア「可愛いですね。」
ダントン「まさかトゲトゲがキャベツを食べるとは思いませんでしたよ。
初めは乾燥海藻を水で戻したものを上げていたのですが、
偶然トゲトゲの水槽にキャベジの葉を落としたところ、トゲトゲが食べ始めたので、
こちらのほうがエサとしての入手性がいいので、今ではこちらの方を与えています。
こちらの方が、卵巣などの食べるところが多くなって、しかも甘みが出て、美味しいですよ。」
次にダントンは貝のいる水槽のところに行き、説明を初めた。
ダントン「こちらはミュール貝ですね。ギエフ民国の海岸線のある地域で食べられている貝で、
こちらも最近消費量が増えてきているものですね。」
ダントンは貝を取り出して見せてくれた。
貝は濃い紫色で、かつ細長い楕円形をしている。
中身はオレンジ色の身をしているらしい。
リア「こちらの貝、話は聞いたことがあります。殻が半開きの姿で岩場に降り、
敵が近づくと、飛びかかって殻に挟もうとしてくる攻撃や、メスの場合、
酸性の液をふきかけてくるというアレですね。」
ダントン「そうです。群生しているので、一斉にこの貝が襲いかかってくると、
ベテランの冒険者や漁師でも苦慮するという貝ですね。でも、美味しいですよ。」
リア「ここの養殖貝も凶暴ではないですね。」
ダントン「そうなんです。この貝もキャベジが好物のようで、
この葉を与えると、そういった攻撃はしてこないんです。」
とダントンは話しながら、キャベツの葉を水槽に入れる。
こちらの貝も器用に殻に挟みながら、キャベジの葉を食べている。
ダントン「こちらの葉っぱを与えると、殻の中でオレンジ色の身が膨れて、
甘く、美味しくなるんですよ。
キャベジはいつでも安く入手でき、食費が助かります。」
と彼は言う。
ダントン「ではとっておきの研究を見せますよ。」
と言って、研究棟の外に向かう。
そこには大きな人工の養殖池があり、魚のモンスターが泳いでいる。
ダントン「ここにいるのはツナカジキンです。」
リア「知っています。ウズマイールの名物ですね。
有名な食用魚モンスターですね。」
この魚モンスター、海中を時速100km/hを超える速度で泳ぎ、
頭に長い1本角があり、高速で泳ぎ、ジャンプして、この角で突き刺すことにより、
人やエルフ、ドワーフはもちろんのこと、船に大きな穴を開け、攻撃することは聞いている。
この魚の身は魚モンスターの中で非常に人気があることは有名だ。
だから危険でも、このツナカジキンを獲ろうとする漁師や冒険者は多い。
ダントン「これが養殖できれば、誰でもこの美味しい魚モンスターを食べることができるんです。
研究のし甲斐がありますよ。」
そう言うと、ダントンは間を空けて、
ダントン「しかし、研究がうまく言っていないんですよ。
高速で泳ぐので、人工養殖池の壁に激突して死んだり、稚魚を成魚に育てる段階での死亡率が、
今まだ非常に高く、卵から成魚に育てることがまだできていないんですよ。
この成魚も採卵用にズマイールから運ばれたもので、なんとか、卵から成魚まで成長させたいですね。」
と話す。
国王なら何か研究の参考になるヒントでも言ってくれるかな?
作者のうしねこです。この内陸国リールで、海のモンスターの養殖を研究するのは、一筋縄ではいかないようです。




