表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
328/383

328.食用モンスターの養殖2_養殖価値のあるモンスター、養殖価値のないモンスター

ダントン教授の養殖哲学を聞いたリアだが…

328.食用モンスターの養殖2_養殖価値のあるモンスター、養殖価値のないモンスター


ダントン教授はリアに対し、自分の研究理論を語り始めた。


ダントン「まず、モンスターの養殖をするということは、いくつかのメリットがあるからこそ行うわけですが、

養殖の研究対象にするモンスターは、その条件を満たすものを行わなければなりません。」


ダントン教授曰く、その条件とは、


1.養殖したモンスターを売ることにより儲かること

2.養殖が安全で容易であること

3.養殖するにあたっての設備投資が少ないほうが良い

4.養殖に人件費がかからないこと


だそうだ。


例えば、食肉に人気があり定評があるワイバーンであるが、

あれは、高位の実力を持つ冒険者しか倒せず、

個体が巨大であり空を飛び、炎を吐く。


ということは、大きく頑丈で、天井も逃げ出さないような鉄格子があり、

1000度の炎に耐える素材で檻を作らなければならない、という莫大な設備投資がかかる。


もちろん、エサ代もかかり、安全なモンスターとは言えない。

したがってワイバーンの養殖は商業的ビジネスに現時点では乗らないとのことだ。


もう一つの例としてコカトリスだが、


ダントン「あれは養殖価値のあるモンスターで、唯一危険だった、

コカトリスの蛇の尻尾の処理方法が確立したから、一気に養コカトリス場があちこちに広がったのです。」

とのこと。


まずは、コカトリスの寿命は約20年。

1年に卵を1200個ほど生みます。

1個20ユニオンで売れたとして、20年間で24000個の卵だから、

48万ユニオンの売上があります。

エサ代や人件費を年間1万ユニオンとして、1匹あたり年間1.4万ユニオンの利益が上がります。

2万匹のコカトリスを養殖すれば、年間2億ユニオンの利益は確実なわけです。


経営がこの様に成り立ち、卵は美味しいので養殖価値があるのです。


コカトリスのひよこの時、しっぽの蛇に毒性はないので、

この時に切り落とす処理をしてしまえば、安全の面も問題がありません。


コカトリスは小型のモンスターなので、エサもそんなにたくさん必要ではなく、

檻も小さくていい。


養殖に相当な価値のある、モンスターなわけです。」


ダントン教授は熱く語る。


ダントン「そういったところから考えると、

私が有能だと思える養殖はブラウンブルやトラウトキングサーモンなんです。」


リア「確かにブラウンブルは美味しく、

私の身近の知り合いのコックが、非常に得意とする料理にこの肉がよく使われていますね。」


ダントン「そうでしょう!高く売れて、人気のある食材です。」


リア「ブラウンブルは早期に養殖化できそうなものですが。」


ダントン「ところが一つ問題があってな、肉質が問題なんですよ。」


リア「肉質?」


ダントン「そう。養殖をすると、肉に白い筋や点がまんべんなく入ってしまうんですよ。

冒険者によって狩りたてのブラウンブルは、肉が赤いでしょ?」


リア「白い筋や点?脂肪ですか?」


ダントン「そう。これがどうして入ってしまうのか、今、研究を行っているところです。

肉は赤みでなければ、最高の味とは言えません。

配合飼料の分量と成分をいろいろと変えて研究しているところです。

寸分の脂肪も許されない。」


リアは、ここにはクリスチーネは連れてこれないな、と思った。

もし彼女が来たら、教授と食肉論議でブレーキが効かなくなると思ったからだ。


ダントン「あとはトラウトキングサーモンですね。あれは高値で取引され、

卵なども高値で売れる。ただ、大きな水槽が必要で、卵からの孵化には成功する目処が立ったのだが、

その先の魚体を増やすところで、全滅してしまう、これが今の現状といったところだ。」


リアはこの話の後、実際にブラウンブルとトラウトキングサーモンの飼育研究施設を見せてもらい、

ブラウンブルの研究で養殖している生肉を見せてもらったのだが、

ほぼ赤みで、問題ないと思うのだが、教授のこだわりで駄目らしい。


また、トラウトキングサーモンの養殖水槽では、近くの川からの水を取り入れているが、

養殖水槽は水流がほとんどない。


そういえば、国王、養殖についても、いろいろと何かどうすればいいとか言っていたわね。

あとで相談しよう。


作者のうしねこです。

ダントン教授の食と肉質に対するこだわりは相当のものです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ