327.食用モンスターの養殖1
魔法が使えなくなった!の他に、モンスターの生息数が減ってきて、
冒険者ギルドは死活問題となっていた。
327.食用モンスターの養殖1
宇宙船を爆破したことにより、魔法が使えなくなるという大きな問題が発生したが、
その他に大きな問題がもう1つ、そう、モンスターの数が目に見えて減ってきたことに、
リアは頭を抱えていた。
リア『ただでさえ魔法を使う職種の転職問題を抱えているのに、
冒険者が借りをしてくるモンスターが減ってきているのは冒険者だけでなく、
冒険者ギルドの大きな痛手だわ。』
冒険者ギルドの大きな収益の1つとして、冒険者から買い取ったモンスターを解体し、
食品業者や製薬会社などに下ろすことにより利益を上げていたのだが、
持ち込まれるモンスターが減ってきており、魔法問題の他にこの問題が大きな問題となってきている。
リア『モンスターではない家畜は、繁殖により個体数をふやすということで、
モンスターも繁殖をさせることはできないのかな?』
リアはギルド長室で自分の長い耳なでたり、軽く引っ張ったりしながら、
考え込んでいる。
リア『そうだ、モンスターの生体について東方冒険大学校で研究していたわね。』
リアは慌てて秘書に東方冒険大学校でモンスターの生体について研究している研究所の教授にアポを取るよう、指示を出した。
ーーー
5日後、リアは東方線で東方冒険大学校のある、コルトス駅に向かっていた。
秘書に大学校で研究している内容を調べてもらったところ、
ブラウンブルやトラウトキングサーモンの養殖の研究を行っている研究室が見つかり、
実際に試験飼育している設備があるとのことで、見せてもらうことにした。
コルトス駅で降りたリアは、親子連れで賑わう東方動物公園とは反対の駅の出口からロータリーへ出て、
バスに乗り込む。
冒険者ギルドのギルド長にもなると、専用で使える車と運転手が付き、それで移動できるのだが、
リアはそういった扱いが苦手で、どこか移動する時は、1人で電車などの公共交通機関を使い、
出かけることにしていた。
東方冒険大学校前というバス停でバスを降り、正面の大学の受付ゲートに向かう。
ギルド長の身分証を警備員に見せたところ、何もしていないのに、
「失礼しました!」と言われ、直立不動で挨拶をかわされた。
その後、東方冒険大学校長と研究室の教授が慌てて車で迎えに来た。
アンソン「東方冒険大学校長のアンソンとモンスター繁殖研究所の所長で教授のダントンです。」
車から2人は降りるなり、挨拶をする。
アンソン「ではモンスター繁殖研究所までお連れします。」
ダントン「この大学校、広い敷地でこの入り口から徒歩だと30分位かかります。
遠いので車で案内します。」
リアは車に案内され、車は走り出す。
アンソン「ここの施設は動物園のようにモンスターを飼育する施設が点在し、
水生モンスターも生息できるよう、大きな淡水池と塩湖もあります。」
実際に車は淡水池の辺りの通りを走る。
ダントン「ここの池はいま、商業価値の高いトラウトキングサーモンの完全養殖を目指して行っている池で、
卵から繁殖できる成魚まで育てており、今現在3世が誕生したところです。後で案内します。」
車は淡水池の辺りにある4階建ての大きな研究施設の建物に到着して、
入口付近の会議室に案内される。
会議室にはすでに数名の主任研究員が集まっていた。
リアは会議の挨拶で、
リア「最近急激にモンスターが減ってきており、今までギルドを通して食用に回していた仕組みが、
崩れつつあります。
ここの研究により、食用や薬用の価値の高いモンスターを増やし、繁殖させることにより、
この重大な問題を解決したいと思っています。」
リアはこの養殖で、職を失った魔法を使う職種のものも、
雇用することができると考えていた。
ただ、モンスターは、宇宙船が生息数を監視し、数をコントロールしていたが、
宇宙船を爆破したことにより、このバランスが崩れた…とは言えず、
あまりそこには触れないこととした。
そして、ダントン教授の研究の説明が始まった。
作者のうしねこです。
モンスターの養殖をすることにより、冒険者ギルドの収益問題を解決しようとしているリアであった。




