326.魔道士、回復士の失業問題と職業訓練学校
魔法がなくなったインパクトは冒険者ギルドでも大問題だった。
326.魔道士、回復士の失業問題と職業訓練学校
魔法を発動していた宇宙船が無くなり1ヶ月が経とうとしていた。
一番影響の大きかった魔法錬金営団は依然として収集つかない状況であったが、
ここイルンで冒険者ギルド長を務めるリアも、頭を抱えていた。
それは魔道士、回復士の魔法が使えなくなり、もともと彼らは、
体力や力がある職業とは言えず、魔法で攻撃や治癒を専門としていた職業だったため、
パーティーで活躍の場が無くなり、失業する人やエルフ、ドワーフであふれていた。
リアは国王に状況を説明したが、国王の回答としては職業訓練学校を作って、
他の職業に転職を促す仕組みを作り、その間は税金で生活のための補助金を創設する旨、
話をしていた。
だが。
リア「そんなに長年就いていた職業をすぐには変えられないわよね。」
国王は話をしていたが、国王がいた前の世界でも、その職業が時代にそぐわなくなって、
職が無くなっていき、転職する例があったって。
なんて言ったかしら…電話交換士って言ったっけ?
今この世界にある電話は、人間やエルフ、ドワーフが回線をつなぎ、電話をつなげているが、
将来、自動的につなげる装置ができ、なくなっていく職業の一つの例って話していたわ。
失業魔道士や回復士の職業訓練って、まずその人、エルフ、ドワーフの特性を調べ、
その結果に合わせ訓練コースを選ぶと言ってたわね。
リアは国王に説明を受け、メモした紙を見る。
えーっと、薬学士などの医療関係、数学などの学校教師、教会の神父・シスター、機械加工などのエンジニア、
経理などの事務職、デザイナー…結構あるわね。
これからその職業訓練学校を作るため、グルーヴェ教育大臣やトーステン財政大臣と打ち合わせを行わなければならない…か。
正直私、こういうのは苦手なのよね。
でも、 失業した魔道士、回復士を考えたら、苦手なんて言ってられない状況なのよね。
やるしか無いか。
リアはギルド長室で頭を抱えていた。
その頃…
イルンギルドの受付で冒険者チーム、ブラックゲートのメンバーである回復士アーサーと魔道士ルードも頭を抱えていた。
ルード「魔法というのはこうやって唱える…のだが、なぜ使えなくなってしまったんだ。なぜだ。」
マーシャル「ルード、いや周りの者が魔法が使えなくなって、1ヶ月経つのに理由がわからない、ルードがかわいそう。」
アーサー「私もよ(怒)。なんで私は可愛そうじゃないのよ。」
ルード「おぬしは中級までとはいえ、薬の調合ができるから、調合士として活躍できると思うのじゃが、ワシは…」
シュミット「…(正直、かける言葉がない。年上というのもあるし。)」
マーシャル「噂じゃ職業訓練というシステムを立ち上げ、魔法を使う職業でサブクラスの職業を訓練してくれる仕組みができるらしいわよ。
アーサー「私はサブクラスの調合士をメインの職業にできるよう、職業訓練学校で学ぼうと思うわ。」
シュミット「じゃあ、チームを組めなくなるな。」
アーサー「1週間の内、2日は学校が無いらしいので、そこで冒険に出かけられるわ、場所は街の近く限定だけれども。」
ルード「……………………」
ルード「ワシは、わしはメインもサブも職業は魔道士で、しかもこの歳、ワシはどうすれば良いんじゃ。」
3人は慰めも含め、かける言葉もなかった。
作者のうしねこです。
冒険者の失業問題、深刻です。




