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319.ロイド博士が戻ってきた

転送機のプログラムを改造したユリアだったが…

319.ロイド博士が戻ってきた


「当然この船は宇宙船なので、宇宙を航行する能力を持っているが、

ここにはいろいろなことができる機械がある。」


正直、前世でも成立していない技術がここにはある。


「例えば、モノを作り出したり、転送させたり、魔法を作り出したり、

できる機械がここにはあって…」


詳細を説明する。


一番驚かれたのは、この世界で普通に普及していた魔法がこの船で作られていたという事実だった。


「確かに理解できない技術ばかりではあるが、これらの技術を放置すると、

ロイド博士がこの時代に転送され、先程話したことが起こり得るということ。

この点に対し何か、作戦を考えなければならない。」


ユリア「放置しては行けないのは、具体的にはモノを作るジェネレータ技術ですね。

この機械や技術があると、ロイド博士がこの時代に転送されてきます。」


アリシア「もったいないわ。なにかロイド博士の転送を阻止する方法はないのかしら。」


ユリア「今は、転送機のソフトを改造して、いわゆる転送・ロイド博士の体を生成する命令に対し、

『故障して生成できない。』という、ダミーの命令を出してごまかしていますが、

もしそれがわかってしまったら、未来からこの時代の転送機を直そうとすると思います。」


「ロイド博士は未来から今の時代のどの位置に転送するという、命令も未来から送られてきているのか?」


ユリア「はい、座標データも含まれます。」


「ロイド博士の体が生成される時、生成場所をちょいと工夫することは可能か?」


ユリア「できると思います。」


「じゃあ…」


アリシア「国王?なにか考えています?」


ユリアは、転送機の機能アルゴリズムをカンファレンスルームのプロジェクションモニタに映し出す。


ユリア「転送機のプログラムを改造しますね。ここのジェネレータ用専用の関数群とスレッドをこうして…」


当然一同は???という顔をしている。

私は前世でコンピュータのプログラムについて、一般的な確立された技術だったので、

なんとなくわかる。


でも、私が亡くなってから700年以上経つコンピュータのプログラムと思われるのだが、

プログラム言語の原理と構造はあまり変わっていないのかな?

ユリアはそうした私の疑問を察したのか、


ユリア「国王の亡くなった時代からプログラムの構造の基本原理って、

あまり変わっていませんよ。

特定の領域にプログラムの記憶領域を確保したり、いくつもの小機能群の関数プログラムを用意して、

それを組み合わせて、一連のソフトウェアシステムを構築する。

この部分に関しては、今の時代も同じです。


国王の前世でスレッドやレジストリといった専用用語があると思うんですけれど、

今でもこれら用語は同じ意味で使われます。」


「そうなのか。で、改造とは、もし未来にいるロイド博士からの転送命令が送られてきた場合、

転送座標の部分を書き換える、ということだな。」


ユリア「そうですね。転送座標が転送機のレジストリに書き込まれる際、細工をして、

別のところに転送するように仕向けます。まあ、この転送命令は暗号化されているので、

暗号化の解除と組み換え、レジストリ格納、暗号化したアクノリッジ信号を未来のロイド博士の端末に返すところ、

一連のソフトの改造をします。」


とユリアは言い、プログラムの改造を始める。

プロジェクションモニタに出てくるコードをものすごい勢いで書き換えたり、

新たなローカル関数機能を作り、変数をつなげるといったタスクをこなしている。


30分ほどで、プログラムの改造は終わったようだ。


ユリア「転送時に人体以外は再構成されないよう、プログラムを作りました。」


「下着ぐらいはつけてあげなきゃかわいそうじゃないか?」


一同「「「???…。」」」


ユリア「では休憩がてら、ラウンジでコーヒーでもどうですか?」


とユリアは言い、一同はカンファレンスルームからラウンジへ移動する。

ユリアはジェネレータで一同のコーヒーとチョコレートを生成し、

一同に配る。


ユリアはラウンジのプロジェクトションモニタに転送機のモニタプログラムを開く。

一同が休憩を初めて10分ぐらいした頃、


ユリア「ロイド博士からの転送命令が来ました。」


一同の談話がやみ、ユリアに視線が集中する。

プロジェクトションモニタに映し出されている、

転送機のレジストリ格納ステータスのパーセンテージがものすごい勢いで上がっていき、

未来からのロイド博士の体を生成する原子や遺伝子情報が転送され、

この転送機のメモリエリアに転送されてきていることがわかる。


ユリア「ここからですよ〜。」


転送機のメモリバッファが100%になり、ロイド博士の体の情報がすべて転送されて格納された。


ユリア「この情報量、1人でなく5人くらいかな?」


転送されてきたロイド博士の体の情報をもとに、ジェネレータが原子構造を組み立てていく。


ユリア「外をご覧ください。」


ラウンジの窓から宇宙空間に目を向けると、船外の宇宙空間に人間の体のようなものが5人ほど生成されていく。


生成完了と思われた時、一瞬その体が動き、すぐに動かなくなる。


デルフィン国王「パンツ一枚の人間5体が外を漂っているねえ。」


タチアナ女王「下品だわ。」

そう言いながら、裸の5人をしっかりと眺めている。

作者のうしねこです。

ロイド博士の最後?でした。

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