315.宇宙への招待
慌てて関係者メンバーに招集をかけ、ロイド博士の計画を説明することになったが…
315.宇宙への招待
国王一同が地上に戻った時には、もうすでに朝になっていた。
今回分かったことを受け、以下のメンバーに緊急会議の招集をかける。
ディディエ王子
ハーヴェ内政大臣
アリドラ軍務大臣
プレボー医療衛生大臣
ヒシーニ建設大臣
トーステン財政大臣
ホファー外政大臣
サヴァリアント情報局長
シモーネ科学技術大臣
オスマン運輸大臣
イリーナ技術開発営団長
ローネス立法大臣
ティベリウス司法大臣
クリスチーネコック長
ディアンヌ魔法錬金営団長
リア イルン冒険者ギルド長
イスナルド医療学校長
グルーヴェ教育大臣
アシモフ設計事務所長
ディアンヌの魔法の師匠 ミネア
アリシア王女
のほかに、
ギエフ民国タチアナ女王
ギエフ民国ドロシー王女
フクセンブルク公国デルフィン国王
フクセンブルク公国クリストフ王子
フクセンブルク公国キャロン王女
が急遽飛行機で駆け付け、
この打ち合わせに参加することとなった。
その日の夜、招集メンバーが集まり、
ロイド博士の計画と未来の技術と宇宙船について話をした。
タチアナ女王「遥か天空に浮かぶ船があるのですか?」
「確かに信じられないのは、わかる。
もともとはロイド博士の計画で、未来の世界から送られてきた船なんだが、
実物を見てもらった方が良いので、明日の朝、今説明をした宇宙というところまで行ける船で、
今ここにいる全員に、この後、その船に行こうと思っている。
信じるには自分の目で見てもらった方が良いと思っている。」
デルフィン国王「ローレント、今これから行くのか?」
「宇宙まで行けるシャトルという船は、未来の技術だ。
一般市民には見られない方が良い。イルン空港まで迎えに来てもらう手はずになっている。
空港からは一切ライトをつけずに飛び立つ手はずになっている。」
デルフィン国王「わかったが、今一つ信じられぬ。安全なのか?」
「大丈夫だ。」
打ち合わせが終わった後、27人はバスに乗り込み、イルン空港に向かう。
まもなく日が変わる時間であるが、交通量はそれなりにある。
イルン空港は最低限の人を残し、人払いをしている。
バスは空港のゲートを入り、滑走路の端に到着する。
全員を乗せるシャトルはもうすでに到着していた。
ユリア「国王、こちらです。」
シャトルのドアを開け、ユリアがメンバーを中に招き入れる。
シャトルは台形を立体化したような形で、車輪やブースターなどはない。
シャトルの中は、前世の小型航空機の様で、座席と側面に窓がある。
座席は左右2席づつの配列で真ん中に通路がある。
ただ前方のコックピットはオープンで、操縦席のコンソールが並ぶが、
ボタンやレバーなどの入力装置は一切ない。
これも脳波や粒子変動を検知し、操作するらしい。
全員が着席するのを見計らい、
ユリア「これから飛び立ちます。」
と一言、ゆっくりと期待は持ち上がる。
ユリア「粒子を空気を構成する物質にぶつけ、浮き上がる仕組みですが、
成層圏よりも上は、窒素を噴き出して宇宙空間まで移動します。」
とのこと。
窓の外の景色は徐々に地上の明かりが遠ざかり、
今ある航空機では到達できない高度に達する。
デルフィン国王「本当だったんだな。ローレントの話。」
「ああ。」
タチアナ女王「ついこの間、初めて空を飛ぶ乗り物に乗ったと思ったら、
今度はその乗り物よりもはるか上空を飛ぶ乗り物に乗っている、
私自体、今起きていることが信じられませんわ。」
やがて、成層圏を超えていくが、今は夜なので、外が良く見えない。
ユリアまもなく宇宙船です。格納庫に入ります。
徐々に船に近づいていくのが窓の外から見える。
窓際の者はその光景を凝視している。
シャトルは船の後ろの部分にある格納庫へと入り、格納庫のドアが閉まる。
ユリア「宇宙空間は呼吸ができないので、ドアを閉め、
この格納庫に空気を充填してからシャトルを降りれます。」
と案内をする。
やがて、格納庫の空気充填が終わり、シャトルのドアが開くが、
一同はまだ降りようとしない。
ユリア「もう大丈夫ですよ、降りれます。」
ユリアは全員を誘導する。
船の無機質で、今までにない物質でできた船体と内装に一同は黙ってあちこち見回している。
タチアナ女王「これが未来の船?」
ユリア「そうです。今から500年後の地球という惑星で作られました。」
ユリアはそう答える。
ユリアは廊下を歩きながら、
ユリア「皆さんをラウンジにご招待したいと思います。関係の食事を用意していますので。」
と話す。やがて、エレベータの前に来て、
ユリア「このエレベータ、15名ほどしか乗れないので、2組に分かれて乗ってください。
まずは前半の組ですね。ラウンジまで案内するので、後半の人はここで待っててもらえますか?」
「私は後半組で構わない。」
ユリア「では前半組を案内します。」
そういって、エレベータに案内をし、ドアが閉まる。
デルフィン国王「全く驚いた。ローレントにはいつも驚かされるが、今回は言葉が出ない。」
「私もです。」
クリストフ王子「今まで暮らしていたところは惑星の大きな丸いところだと聞いて、
ほんとに何を言っているのか?と思いましたが、本当だったんですね。」
キャロン王女「ローレント国王に失礼ですよ。」
デルフィン国王「わが娘、ファビエンヌも生きていて、この船に連れてくることができたら、
驚いただろうな。」
ディディエ王子「そうですね。母が生きていたら、全く違った世界が存在していた。
ひょっとしたら、ここの船の設備で助けられたかもしれない。そう思っています。」
デルフィン国王「そうだな、未来の技術があったら、娘も助けられたかもしれない。」
そのような話をしていると、ユリアが戻ってきた。
ユリア「では、後半組の人はエレベータに乗ってください。」
全員エレベータに乗り込み、数分でラウンジがあるエリアに到着する。
エレベータから出て、廊下を歩き、ラウンジのドアが開くと、
宇宙空間が窓越しに広がる。
前半に来たものは声も出さず窓から外を眺めている。
この船は高速で惑星を周回しているからか、今は丸い惑星が良く見え、海や山脈、平野や砂漠が見える。
デルフィン国王「これが我々の暮らしていた世界?」
タチアナ女王「そのようですわね。ユリアに聞いたのですが、あそこがフクセンブルク公国、そしてあそこがリール国、
そして、あそこがギエフ民国だそうです。確かに地図と同じ形をしてますわね。」
デルフィン国王「私の国はずいぶんちっぽけなものだな。」
地上からやってきた全員が窓に食い入るように、自分たちが暮らす国や街を見下ろしていた。
作者のうしねこです。
関係者を集め、ロイド博士の計画を説明するとともに、現実を信じてもらうため、宇宙船に招待することになった一同でした。




