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304.地上とダンジョンのモンスター

謎のコンピュータ?に映し出されていた迷路を書き取り、先に進む一行であったが…

304.地上とダンジョンのモンスター


このダンジョンを制御するコンピュータ端末?で設定を切り替え、リアが書き写したマップをミネアのところに送り、このコンピュータのところまで警備要員を送ってもらうことにした。


マップを送ってから3時間ほどで警備要員が6人到着、国王一行はマップを見ながら、周辺の迷路を進み、

次の階層につながる階段へたどり着くことができた。


マーシャル「しかし国王、さっきの機械でこれ以上モンスターが出ない様にしたんでしょう?

なんか退屈よね。」


ルード「マーシャル、そのようなことを軽々しく言うものじゃない。目的はこのダンジョンが何の目的で作られ、

誰がここを管理していたのか、そして、建設中の地下鉄駅から湧き出していたスライムの原因を突き止めることが目的じゃ。

この依頼はモンスターを倒すことが目的ではない。国王もいるのじゃから、ダンジョンの進行に対し危険でないことが重要なんじゃ。」


シュミット「そうだ、マーシャル。もう少し考えてから話した方がいいぞ。」


マーシャル「そんなつもりで言ったんじゃないのよ。実はどこのダンジョンもこのような装置があり、

ダンジョンマスターに管理されていたとしたら、我々冒険者にとってこの機械はチートの様なものじゃない。

そういう意味で、チートは退屈といったのよ。」


リア「ダンジョンマスターね…」


そういってリアは少し考え込んでしまった。


「ダンジョンマスター?」


ディアンヌ「実際に確認されたわけじゃないけど、そういった存在が実はダンジョンにいて、魔物などを管理しているという話があるのよ。

実際にダンジョンの魔物は状況に応じて増減したり、どこからともなく現れたり。例えば我々は子供と大人っているじゃない。

当たり前だけれど。でもダンジョンの魔物はそう言った魔物の世代はなく、一律して大人の魔物?が現れるじゃない。」


リア「…」


「確かにそうだな。地上にいるモンスターのコカトリスは卵やヒナがいるな、確かに。でも、ダンジョンのモンスターはいない。」


長い階段を下りて、細長い通路を歩きながら、一行はそのような会話を続けている。


ディアンヌ「もしも、ダンジョンの長がいて、このようなダンジョンの環境を操っていたら、そのような存在はダンジョンマスターって、説が冒険者内にあるのよ。でも、今まで証拠が見つかっていなかっただけ。」


リア「…」


アリドラ「国防の観点からも、もしダンジョンマスターとダンジョンの環境を制御できる、さっきの様な環境があれば、ダンジョン内に一時的にモンスターが多くなり、冒険者に加えて軍が討伐に出ることも少なくなる、敵対している国のダンジョンの環境を変えてあげれば、といった戦略や軍隊の運用の観点からも重要になります。」


ルード「リア殿、先程から考え込んでいるようじゃが。」


リア「…仮にダンジョンマスターという存在がいて、ダンジョンの環境をコントロールする機器を操作しているのならば、冒険者の中にはダンジョンマスターを倒したり、環境を操作する機械を悪用する物が出てくるなと思って、考え込んでいたのよ。」


ルード「でもダンジョンと地上のモンスターの生態系は異なり、

双方行き来できない、冒険者の働く悪事はダンジョン内のみといったことにはならぬか?」


リア「ここのスライムは、建設中の地下鉄駅から地上に出てきたじゃない。

仮にここのダンジョンにダンジョンマスターがいたとしましょう。

ふつうは魔物は両方の環境を行き来できないのに、行き来できるようにした…ということができるんじゃない?

国王がさっき操作していた機械のbiological controllerというソフト、あれがこの先の魔物を生み出す装置を制御するものだったら、その装置に『地上でも魔物が行き来できる機能』がついていることになるのよ。


それまでほとんど何もしゃべらなかった長老スライムが話を始めた。


長老スライム「儂は生まれたころからすでにダンジョンにおったわけじゃが、なぜか『地上には出れない』といった知識があり、実際に地上に行こうとはしなかった。この認識はどこから発生したものか、儂にはわからぬ。

ダンジョンマスターという存在は、儂にもわからぬ。

でもダンジョンにいる者は、すべて同様の認識を持ち合わせて、地上には出ないものなのじゃ。

その知識や認識を書き換える、儂らにとってみればその装置は『洗脳』装置じゃな。

それがこの先にあるというわけか。」


ディアンヌ「実際に見てみないと何とも言えないけれども、気になるわ。その装置。」


やがて地図を確認していたリアがY字分岐路の右側を指さす。


リア「こっちね、その装置があるのは。」


「ではこちらを進もう。」


一同はリアが指をさした右側の通路を進んでいく。


床一面に丸い小さな穴があるが、先程の制御装置で罠の作動をOFFにしたので、作動しない。


リア「ここ、小さな矢が噴き出すエリアね。」


やがて作動しない罠がある通路を進んでいくと鉄の扉がある。


シュミット「扉が歪んで開かないですね。」


そういってシュミットはドアに体当たりを開始する。


「ちょっと待て。」


私国王はドアの脇に数字が書かれたテンキー入力があるのに気づき、声をかけた。


「この数字が書かれたボタンを正しく押すと開くんだ。…たぶん。」


ディアンヌ「でもどういった数字の組み合わせなのかしら。さっきのMaze Controllerでは数字が書かれていなかったわ。」


リア「待って、もう一度地図を確認してみる。」


そういってリアは地図を確認したのち、ある数字を押す。


リア「648128っと。」


見事にドアが開いた。


リア「酸性のスライムがマニュアルで648128って設定されていたじゃない。だから試してみたの。」


国王は、『よくその数字であっていたな』と思いつつも、部屋の中に入る。

部屋の中には複数の機械と、その機会から配線でつながれた丸いガラスの円筒の容器に薄緑色の液体が入っており、

その液体の中に魔物の出来損ない?が浮かんでいた。

作者のうしねこです。

人によって「モンスター」と呼んだり、「魔物」と呼んだり、人によっていろいろな呼ばれ方があるようです。

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