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3.はじめての城下町

<新規登場人物>

なし


<登場場所>

レンネ城仮設テント

イルン城下町

3.はじめての城下町


翌日朝起きると、程なくしてメイドが食事を持ってくる。


いわゆるミュースリー、燕麦とクルミのフレークではあるが、牛乳ではなく、水が入っている。

食事があるだけありがたい。


昨日の夢のことを考えていると、王子が顔を出す。


「どうしたんですか?そのような顔をして。」


余程の顔をしているらしい。

昨日の夢のことを相談するわけにはいかないだろう。


「ところで、今日、崩れかけた食糧庫から食料を取り出す予定です。」


「そうか。何日ぐらい持ちそうか?」


「2か月は持つとは思いますが、分かりません。近隣の町も被害を受けているようで、食料物資調達には時間がかかります。」


------------


居住用テントを出た後、会議場仮設テントに向かう。

昨日の会議室?に対し、物資で仕切られた部屋には、各大臣が執務を行う場所がある。


医療衛生大臣を捕まえ、城下町の状況を聞く。


「まだあまり被害の全貌が分かりませんが、町の人口8万人のけが人を医療院で賄うことはできず、4か所の広場で治療所を開設し、対処を開始しています。」


「疫病を発生させないため、遺体を早く埋葬するよう、指示を出してくれ。」


「はい。」


その後、建設大臣、内政大臣と城下町の地図を見、被害状況を確認する。


「町を高台から見ると、東西の傾斜部が大きい傾向があります。あと、ブルツブルグ川にかかる橋が全て落ちています。」


「鋼材等を調達する時、どこで入手すればいい?」


「鋼材?ですか?ああ、鉄材料ですか。ドワーフ製鉄工所で入手できると思います。

あそこはポルカ橋のわきにあり、建物自体は被害を受けていないようです。」


「あとで、ドワーフ製鉄工所に行くぞ。そこまでの道の状況はどうなっているんだ?」


「ところどころが瓦礫ふさがれていますが、行けないことはありません。」


早速町に向かうことにする。


------------


町へ続く道を下り、ドワーフ製鉄工所に向かう。町は谷の様な構造になっており、

川沿いの中心部に向かうにつれ、崩れた建物やダメージを受けてた建物が増える。


中には火事を起こした建物もある。


傾斜は緩やかなのだが、道幅が広くて3メートルしかない。

崩れた瓦礫が道をふさぐ。そのため、馬車や台車は通れない。


「これは復興後、道を広げなければならないな。家事の延焼を防いだり、建物が倒壊をしても、瓦礫で通れなくなるのを防ぐため。荷物運搬の台車や馬車が通れるようにでもある。」


ここは異世界の中世の都市。まだ車があるわけがない。だが、将来内燃機関が発明され、車が通れるようになることを見越してでもある。

今は誰にも言えないが。


「町の者はどうやって普段移動しているんだ?」


「陛下は町のことに対し、あまり興味がなかった様ですが、どうされたのですか?」

建設大臣が言う。


「この地震をきっかけに、町の者が使いやすいように再開発をしようと思う。」


とりあえず、質問をはぐらかすが、以前の国王、内政にあまり口出ししなかったようだ。


「私たち貴族は馬車での移動が主で、一般町民は徒歩での移動です。大きな荷物や建物の改修材料などを運ぶときは台車を借り、運びます。」


電気は当然ないので、路面電車は無いが、馬車軌道もないのか。


「水はどうしている?」


「水屋が売りに来た水を購入したり、雨水をためたものを使います。

ブルツブルグ川上流から分岐している水道が通っている地域は、この水を使います。」


「使った水は?」


「そのまま道に流します。」


道を見ると緩いV字状になっていて、ここを汚水が流れていく様だ。


知事として以前上水道局に何回か説明を受けたが、そこまでの物はできないにしろ、これは改善が必要と思う。


そのうち道は水道の上を小さな橋で通過する。水道の幅は1mほどの整備された川で、古代のローマの水道設備といったところだ。ところどころ水を使えるような洗い場がある。


「国王が町の設備に興味を持たれるとは。」


建設大臣と内政大臣が口々に言う。


町民の家には風呂はなく、週に数回程度、体を拭く程度。トイレもいわゆるツボにし、溜まったら道に流す。


先ほどからすえたにおいがするが、このせいであろう。

衛生的によくない。今回の地震が発端で、疫病が発生するかもしれない。


この上水道とともに、ガタガタし、所々ゆがんだ石畳も何とかしなければならない。


しばらくして、道を進むと町のあちこちの広場に避難民がいる。


知事の仕事をしていて、一度地震で建物の倒壊した地区に避難指示と仮設の避難所を指定した経験があるが、学校の建物は、こういったことを考慮し、強度を持たせたうえで、建設されている。


「ところで学校は?」


「は?学術指南所のことですか。例えば、今向かっているドワーフ製鉄工所に働く者の教育の場としてはありますが、一般の町民はこの様な施設はありません。我々貴族の者の子供が学ぶ施設はありますが。」


聞くと、貴族の学術指南所は、8歳で入学でき、6年間教育を受けるとのこと。

北方教会の運営。

ドワーフ製鉄工所や医療院といった教育の場は特に年数が決まっていないとのこと。


そういえば、教育担当の大臣っていなかったな。

内政大臣に聞いても、そのようなポストはないとのこと。


復興時、一般町民が学べる学校とそのシステムを作らなければならない。


それからしばらくして、川のたもとにあるドワーフ製鉄工所に着いた。


作者のうしねこです。

以前の国王、あまり内政に興味がなかったようですね。

部下の大臣も「どうしてしまったのか?」と、首をかしげています。

元知事、町の様子を視察して、経験から復興プランを検討しているようです。

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