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291.冒険者のためのキャンピングカー

冒険者が遠征するときは、以前は幌馬車が定番だったが、

リアは、急速に普及する雷の魔石を使用した車に置き換えられないか?

考えるようになった。

291.冒険者のためのキャンピングカー


冒険者ギルドが通販事業を始めて2か月、

イルンの冒険者ギルドはかつてないほどの高収益を上げていた。

リアは、主に冒険者をターゲットに通販のマーケティングを行ってきたが、

いまだに冒険者の間で長期遠征の時に使われている幌付き馬車を、

ここ数年で急速に広まっている雷の魔石を使った電気自動車ベースの物に置き換えられないか、

検討を続けてきた。

というのは、雷の魔石電気自動車は速度が速く振動が少なく乗り心地の良いものだが、

大量の物資や睡眠がとれない。

電気トラックにベッドを乗せてもいいのだが、ぜいたくを言えば、車内でベッドのほかに、

簡易的なキッチン、シャワー室とトイレ、食事をするためのテーブルがあれば、

冒険者の旅は数段に快適なものになると、考えていた。


そういうった商品を通販で売り出したいと思っていた。


そこで国王に相談したところ、そういった用途の車に心当たりがあるとのことで、

一度関係者が集まって、打ち合わせをすることになった。


ある日、集合場所のイルン設計事務所の会議室には、

私リアのほかに、国王、アシモフ、ディアンヌ、イリーナが集まった。


そこで、国王はコンセプトを説明する。


「冒険者が長期の遠征に出る時、今までは幌付き馬車が一般的だったが、

最近は電気自動車が増えてきている。

しかし、車内のスペースは椅子が4つに荷室という狭いもので、

寝たり、食事をしたり、シャワーを浴びたりといったことができない。

そこで、電気自動車にこういった設備を備えた車を作ろうと思う。」


「まずは水回りだが、台所には炎の魔石キッチンコンロとシンク、冷蔵/冷凍庫を備えたい。

台所の炎の魔石と水の魔石を利用して、隣にシャワールームを設け、水の魔石で生成された水を温めて、

シャワーを使えるようにしたい。」


ディアンヌ「水の魔石と炎の魔石の出力を制御できるような工夫が必要ですわ。

それぞれの魔石を入れた菅にスクロールを巻き、発呪の状態を制御できるような機構になるのかな?」


アシモフ「できればレバーや蛇口で水の量やお湯の温度をコントロールできる機構があれば便利じゃな。

ディアンヌ、少し一緒に考えてみようかの。」


ディアンヌ「そうですわね。」


アシモフ「あとシャワーやシンクで使ったお湯や水、そしてトイレの汚物を処理する仕組みも必要じゃな。」


ディアンヌ「それなら、浄化魔法で水を浄化してから、排水を蓄える仕組みが必要ですわね。

少し高価になりますが、ピュリフィケーションという聖魔法のスクロールを使い、

管を通過する水をこの魔法で浄化すればいいと思います。」


アシモフ「浄化された水はタンクに蓄える方式とするか。」


アシモフは黒板に車内のおおよその寸法図を描き、配管系統を図面に記入していく。


アシモフ「シャワー室とトイレはスペースがないので、まとめて設置するか。」


イリーナ「この台所とシャワー室、トイレのコンパクトにまとめられた設備は、今回のキャンピングカーだけでなく、

狭い住宅にも応用できそうですね。」


アシモフ「そうじゃな。規格化して、試作してみるとするかの。」


要するに、ユニットバスである。


アシモフ「こうやって水回りをまとめると、テーブルのスペースとベッドのスペースが捻出できそうじゃ。」


そういいながら、黒板にそのエリアをまとめていく。

アシモフ「あとはベッドの下はスペースがもったいないから、荷物置き場にするかの。」


ベッドの部分の断面図を書き、どのくらいのスペースがとれるのか、考え込んでいる。


しばらくして、

アシモフ「運転席の後ろに4人掛けのテーブル、その横が入り口と台所、シャワー/トイレスペース。

その後ろに2段のベッドエリアが2つ、こんな感じじゃな。」


アシモフは図面を大まかにまとめた。


図面を見ると、この異世界には雷の魔石、炎の魔石、水の魔石といったものがあり、

前世のキャンピングカーよりは高出力小型のエネルギー源?があるので、便利である。


図面を見ると、車の大きさは前世のマイクロバス程度の大きさとなっている。


「ベッドを2段式1つの車も設定して、4人乗りと2人乗りの2種類のキャンピングカーを作るというのはどうだ?」


イリーナ「工場からとしては、できるだけ部品を共通化したいですね。」


アシモフ「そこは大丈夫じゃ。ベッドスペースを車の進行方向に対し、横方向にとれば、車両長を抑えることができる。

空調をエンジンルームにもっていけば、居住エリアのスペースは減らさずに、車両をコンパクト化でそうじゃ。

車内が広いので、エアコンの性能、kW数を上げなければならないが、走行モータ駆動用の雷の魔石から供給し、

熱交換器の大きさも、かろうじて入るサイズじゃな。

炎と水の魔石から新たにエアコンの動力源を構築してもよいが、

すでに雷の魔石によって動く車用エアコンがあるので、流用する。


「あと問題は車高が高いので、運転時重心を崩しやすい。走行安定性が悪くなる。

冒険者は道のないところを運転することもある。

車両の重量はできるだけ下に持ってくる様にしよう。」


アシモフ「大丈夫じゃ。排水タンクをフロアパネルに持ってくる等、十分考慮しておる。

車が駆動するパワートレインとギア部分も、通常の車より多段ギアを設定し、

速度よりも重量を重視する設定を考えておる。」


アシモフ「あと、最後の目玉として、炎の魔石で作られた温水と水の魔石の冷水を動力源とした雷の魔石発電装置を搭載するつもりじゃ。」


国王は以前アシモフに教えたゼーベック効果を利用した熱電対を利用した発電機だとピンときた。

ゼーベック効果とは、金属片に温度勾配がある時、金属元素間で自由電子が起こるというもので、

これが電気の流れとなり、発電(雷の魔石を充電)することができる。


アシモフ「早速試作するので、工場のラインを開けといてくれ。」


イリーナ「わかりましたわ。最近スポット溶接の新しいラインを作りましたので、

こちらを使えるようにしますわ。」


リアの追いつけないところでどんどん設計がまとまっていき、マイクロバスとベースの4人乗りと、

バンタイプの2人乗りキャンピングカーが2か月ほどで施策ができるとのこと。


うまくいけば半年ぐらいで商品になると今から考えるリアであった。


作者のうしねこです。

魔法素材を使った、キャンピングカー便利ですね。

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